PRを学ぶ大学生サークル「PRSAS」の学生記者が、2025年12月11日に行われた「PRアワードグランプリ2024」の表彰式/受賞者プレゼンテーションのレポートを寄稿してくれましたので公開いたします。

 


こんにちは、PRを学ぶ大学生サークル「PRSAS」の水関(上智大学3年)です。

今回は、学生記者として、12月11日に行われた「PRアワードグランプリ2024」の表彰式/受賞者プレゼンテーションに潜入させていただいたので、そのご紹介をします!

(広報委員会執筆のPRアワードのレポート記事も公開されておりますので、ぜひそちらもご覧ください)

“2024年最も評価されたPR活動”の式典『PRアワードグランプリ2024』を観てきました!

 表彰式当日

会場に到着すると、すでに様々な企業のPR担当者が集まっていました。

印象的だったのは、みなさんが企業の枠を超えてお話していて、「こんなのがあったら面白そうですね!」という声があちらこちらから聞こえてきたことです。

PR担当の方々の「面白そう」という物事に対するフットワークの軽さに驚きつつ、「ここで新たなコラボレーションが生まれたりするのかな」とワクワクしていました。

いよいよ、プレゼンテーションが始まります。

各社の代表者がプレゼンテーションをしていくのですが、みなさんの熱い思いがこちらにまで伝わってきて、最初から最後まで聞き入ってしまいました。

大学生になってからは毎年、このアワードの受賞作品を確認していたのですが、

受賞プレゼンでは、エントリーシートでは語られていない苦労や努力の跡を感じることができて、とても刺激的でした。

そして、やっぱりPRは面白い!と再確認させられました。

 

受賞作品の感想

熱いプレゼンに触れて刺激を受け、会場を出てすぐにサークルメンバーに感想を語っていました。

そこで今回は、後日、同じくPRSASメンバーの多田さんと高田さんと受賞作品について感想を話した一部をご紹介します。

 

「座ってイイッスPROJECT」

水関:レジの人が立ちっぱなしって、当たり前すぎて問題意識を持ったことがなかったな。立っていることが悪いというよりは、社会の目線によって座っていることを悪いとされているのが良くないよね。

多田:一方で、腰に負担をかけるという理由で、ずっと座り続けることは身体に悪いとも言われているんだよね。

高田:立ちっぱなしも良くないし、座りっぱなしも良くないのか。だから、メッセージの伝え方は、「座りましょう」じゃなくて、「立っても座ってもいいよ」っていう両方の選択肢を与えるような表現なんだろうね。

水関:なるほど。だから「座って(も)イイッス」なのか。

水関:二人は、買い物をしていて座っている店員さんがいたら、正直どう思う?

高田:全然気にならないかも。

多田:座っていて感じ悪い、みたいには全く思わないし、むしろ自分も座って買い物したいくらい。

水関:でもたしかに。なんで抵抗感があるんだろう?って考えると、やっぱり自分が立っているのにお店の人が座っているのが違和感なのかもね。

高田:このプロジェクトで開発された椅子は腰掛に近いよね。

水関:そう考えると、そういう違和感がなるべく無いように工夫したのかも。

高田:IKEAとかコストコのレジも腰掛っぽいのじゃなかったかな?

水関:もっと昔の例で言ったら、宝くじとかタバコ屋さんとかも、お店の人が座っていて、お客さんは立っているイメージだよね。

高田:レジという場面以外では見慣れないだけで、他の場面では普通のこと。

多田:このプロジェクトの調査でも、お客さんの8割以上は「気にならない」と回答しているみたい。

水関:こういう、人が何となく持っている「当たり前」を変えるっていうのは、PRの醍醐味だよね。

高田:今回の事例も、認知変容、態度変容、行動変容までが綺麗に行われた事例だね。

 

「情熱があれば、だれでも音楽家。「だれでも第九」プロジェクト」

水関:どこまで自分でやることを演奏っていうんだろう?っていう難しさがあって、面白かったね。

高田:こういう自動と手動の話って、音楽に限らずよく議論されるものな気がして。自動運転とかも、走っているだけで喜びを感じられる人と、運転することで喜びを感じる人といるよね。

水関:たしかに、どこに面白味があるのかっていう。

多田:僕は楽器の演奏経験があるんだけど、演奏の本質って「音楽への能動的な参加」だと思ってるんだよね。そう考えてみると、叩いたりなぞったり、楽曲と一体化した動きをしている音ゲーって、一番簡単に触れられる演奏だよなって。それに音程や動きを加えて高度化したものが、一般的な「楽器演奏」だなって思う。

高田:なるほど。演奏の本質が「音楽への能動的な参加」なら、その手段の一部に自動化があっても良いんじゃないかな。

水関:うんうん。私、聴覚障害の人が音楽を楽しむにはどうすればいいのかを、高校時代に研究しようとしたことがあって。その先行研究の中に、振動でリズムを伝えてあげることで、合奏に参加できるっていうのがあったんだよね。

多田:光に変換するってやつは見たことある気がする。

水関:そうそう、だから、音楽って聞こえたものが全てじゃないんだなと思うし、演奏の方法だって、色んなあり方が認められると思うんだよね。このプロジェクトも、完全にサポートするんじゃなくて、数か月練習期間があって、少し背伸びしているのが印象的だった。

多田:でも、こうしたテーマのPR施策を行うのって、場合によっては「感動ポルノ」として批判され得る危うさもあって。この「どこまでが演奏か」っていうところに真剣に悩んだ過程や、当事者に寄り添おうとする企業の真摯な姿勢があるからこそ、成り立っているとも言えるよね。

水関:たしかに。それでいうと、演奏のあり方は自由だって言うのであれば、健常者的な演奏方法の枠を超えて、それぞれの障がいにあった方法を模索するっていうのもできたかもね。

 

「ウチの実家」

多田:単品だと分かりづらい、物の歴史のストーリーを可視化した事例だよね。例えば、使い古した振り子時計の場合、それ単体で見るとただの中古の時計かもしれないけど、「実家」っていう、人の生活感を感じられる場所に置くことによって、物が持っている歴史というか、今の状態になるまでの時間の流れや出来事を想像しやすくなる。ストーリーマーケティングに似ている気がするな。

高田:あと、タイミングで言えば、レトロブームの流れにうまく乗ることができた事例だよね。

水関:たしかに。でも、実際考えてみると、メルカリのPRって、難しいよね。商品が形としてあるわけじゃないから。目的として設定されるのも、利用者を増やすことか、ブランド・イメージを向上するとかって感じになるよね。

高田:今回の場合はブランド・イメージの向上ではなくて、利用者拡大が目的かな。開催されたのが12月初めだから、大掃除で大量に出るゴミに注目して練られたんじゃないかな。

「2531佐藤さん問題」

高田:「2531佐藤さん問題」は自分ごと化するのが上手だよね。みんな佐藤さんになるって聞いたら興味をひかれるもん。

多田:データ自体は、そうはならんやろ!ってツッコミたくなるものなんだけど、むしろ「数字データを付ける」っていうプレスリリースの手法を、セルフパロディ的に利用した表現になってる気がする。

水関:ちょっと笑っちゃうからこそ、誰かに話したくなるよね。

 

おわりに

他の受賞作品についても、あれこれと話したのですが、今回はここまで…。

今年1年間で行われた優秀なPR事例が集まっていることもあり、インパクトだけでなく緻密に考えられた戦略が垣間見えて非常に面白かったです。

来年度はどんな作品が生まれるのか、とても楽しみです。

文責:PRを学ぶ大学生サークル「PRSAS」水関(上智大学3年)※取材時

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