公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会
理事長 牧口 征弘
新年挨拶
新年あけましておめでとうございます。皆様にとって幸多き一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
さて、話は変わりますが、昨年末に東京から九州への移動をしました。帰省のためです。しかも移動のピークと言われる12月29日。手段は新幹線です。
御想像に難くなく、車内は終始満席。途中停車駅で席が空いても、すぐにまた別のお客さんがその席を占めるという状態で、改めて、新幹線の座席予約システムの秀逸さに感心したものです。
そのような状況ですから、周囲に座る人たちは実に様々です。家族連れの中にビジネス客が少々混じり、一人田舎に帰る若者たちもちらほら。それも、入れ替わり立ち代わりということになるので、見ず知らずの人間同士が多々混交しているわけです。
そんな中思い出したのは、この歌です。
「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」
小倉百人一首の中の蝉丸による作です。
思い起こせば、人は昔からこのようにして、知らない者同士が行き交い、お互いの姿を眺め見たり、会話の端々を耳にしたりしながら、日常とは異なる刺激を取り込んで、自らの想像力を膨らましつつ暮らしてきたのではないでしょうか。
そう考えると、混雑した車内も、苦ばかりではないと思えるようになってきました。
我々の携わるパブリックリレーションズの仕事の基本は、一人一人の人間です。その人間同士をつなげる。そこに成立する関係性をより良いものにしていく。更に深い絆へと昇華させていく。人と人が出会い、触れ合い、関わり合うという出来事とパブリックリレーションズの仕事とは、根っこの部分で濃い共通性があるような気もします。
新しい年は、ここ数年と異なり、人との接触が増え、そこで生まれる関係性のありかたも新たなものになる可能性があります。そういった環境下で、パブリックリレーションズの仕事の役割についても、期待が改まることは必至です。
当協会も、皆様の御期待に応えるべく、事業を進めて参ります。引き続き、なお一層の御支援を賜れれば幸いに存じます。
末筆となりましたが、本年もよろしくお願いいたします。
令和5年1月吉日