広報・PR ミニ用語辞典

ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行ワ行

ア行の用語

ISO30414

2018年にISO(国際標準化機構)によって発表された企業の人的資本(Human Capital)に関する情報開示を目的とした国際規格。従業員のエンゲージメント、教育・研修、健康・安全、ダイバーシティなど、組織の持続可能性に関わる人的資源の貢献を可視化し、内部・外部のステークホルダーに対して透明性を高めることを目的としている。企業の「人」に関する価値を定量・定性の両面から評価する点が特徴となっている。

IoT(Internet of Things)

「モノのインターネット」。コンピューターなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。

ICT(情報通信技術)

Information and Communication Technology の略語。通信技術(IT/Information Technology)を使って広がる、人とインターネット、人と人がつながる技術の総称。SNSなどでの情報共有、インターネットサイトでの情報検索、インターネット通販などは、ICTの発展によって実現した。日本ではITとほぼ同義として使われているが、国際的にはICTが広く使われている。

IP(Intellectual Property)/知的財産権

人の精神的な創造行動から生まれた創作物や、営業上の信用を表した標識など、経済的な価値を有したモノの総称。これらを守る法制度上の権利としては著作権、特許権、意匠権、商標権などがある。また、広義ではインターネットのドメイン名、肖像権、著名標識、営業秘密なども含まれる。昨今エンターテインメント業界、各種ライセンスビジネス、キャラクターの商品化、海賊版など不正商品の対応、商標登録の分野でも注目される。一方、原作を元に原作者とは別の第三者が創作したものを二次的著作物(二次創作)といい、リミックスやカバー曲、パロディーなどがある。ただし二次創作は著作権問題が発生しやすいため注意が必要。

アカウンタビリティー(Accountability)

説明報告責任。情報開示責任。企業や公的機関およびそこに所属する個人の行動に対して明確に説明する責任。もとはアカウンティングとレスポンシビリティーの合成語で、会計主体(企業、公的機関)が利害関係者に対して負う責任のこと。

アクティビスト(Activist)

企業の株式を一定数以上保有し、その企業の経営に積極的に関与しようとする投資家のこと。一般的に「物言う株主」とも呼ばれる。アクティビストは、企業の経営陣に対して、より効率的な経営や株主への還元を求めるなど、さまざまな提言を行い、時には、経営陣の交代を求める場合もある。アクティビストが企業に与える影響は多岐にわたり、効率的な経営や新たな事業展開を促し企業価値を高めたり、情報開示を促し経営の透明性を高める効果がある。一方で、短期的な利益追求に偏ったり、経営陣との対立が激化し、企業の混乱を招くことで企業の安定経営を阻害する可能性もある。

アドフラウド(Ad Fraud)

広告詐欺。自動化されたプログラム(bot)などを使用した無効なインプレッション(表示)やクリックを行い、広告効果を水増しする不正のこと。近年対策が求められている。

アドベリフィケーション(Ad Verification)

Web広告でDSP(Demand-Side Platform)などを使って配信した広告が、広告主のイメージ低下を招くようなサイトに配信されていないか、ユーザーから認識される場所にあるかを確認してコントロールする取り組み。2017年10月にアドベリフィケーション推進協議会が発足し、Web広告の価値毀損に関わる問題の正確な現状把握と本格的な対策を推進している。

アナリスト(Analyst)

元来は精神分析を行う学者を指したが、現在では一般的に、証券業界において、産業や企業の経営動向、将来性についての調査を行う分析家を指す。また、ビッグデータ利用の進む最近では、データ分析の専門家をデータアナリストと称する。

アニュアル・レポート(Annual Report)

企業が株主・投資家を始めとしたステークホルダーに、1年間の事業活動を伝えるための重要なコミュニケーションツール。かつては、決算データを中心とした定量的な内容が中心であったが、現在では経営としての将来ビジョンやコミット課題の把握と対応方針などが、重要な要素となっている。

アフィリエイト・プログラム(Affiliate Program)

個人などのサイトに企業サイトとリンクをはり、訪問者がリンクを経由して商品やサービスを購入すると、サイトの管理者に報酬が支払われるプログラム。アソシエイトとも呼ぶ。成果保証型広告と同じような仕組みだが、アフィリエイトの場合には、商品やサービスに関する情報を掲載するサイトが対象であり、そのサイトの信頼性が重要なファクターとなる。企業にとっては、潜在的に商品に関心を持つ層に効果的に到達でき、費用対効果の高いマーケティング・プログラムである。

アンコンシャスバイアス

日本語では「無意識の偏見」と訳されることが多く、先入観による思い込みや周りの環境などで、自分では気づかないうちに思考プロセスが画一化してしまう概念。近年、ダイバーシティーの推進に取り組む企業が多い中、働き方改革の一環として注目されている。

ES(Employee Satisfaction)

従業員満足。顧客が満足する製品やサービスを提供するためには、従業員がその企業に対して満足していることが大切であるという観点から論じられる。関連用語は顧客満足(CS:Customer Satisfaction)。CSとは、製品やサービス、その他の企業活動についての顧客の満足度を調査・数値化し、自社のレベルを客観的に評価するもの。

ESG(Environment Society Governance)

企業がE(Environmental 環境)、S(Social 社会)、G(Governance 企業統治)といった課題に適切に配慮すること。これに則った責任投資を行うことを宣言したものが「責任投資原則(PRI)」である。

イシュー・マネジメント(Issue Management)

企業が将来起こり得る社会的課題や問題を事前に把握し、対応策を検討・実施することで、危機の顕在化を防ぐ取り組み。特に広報・PR担当者は、経営幹部と連携し、社会の変化に迅速に対応する力が求められる。

意匠権(Rights of Design)

工業上で利用可能なことを前提とした物品の形状、色彩、模様、あるいはその組み合わせを「意匠」というが、この意匠の保護および利用を図ることで意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与することを目的にした権利。意匠権は「意匠登録出願」による審査の決定後に発生する。権利の保護期間は15年で、期間の延長はできない。〈TM〉マークは、そのデザインが意匠権によって保護されていることを示す。

IFRS

(P.51国際財務報告基準参照)

インサイダー取引(Insider Trading)

企業の内部関係者(経営者などの会社関係者や情報受領者)が未公開情報を利用して、不公正に行う証券取引。1980年代半ばにアメリカやわが国で不正取引が相次いだため、1989年よりわが国でも規制が強化されている。

インターナル・コミュニケーション(Internal Communication)

社内コミュニケーションともいう。社内報、社員公聴会など、円滑なインターナル・コミュニケーションにより、「職場の連帯感と相互信頼」「社員への企業理念の浸透、共通認識と価値観の醸成」「社員の活性化」「新しい体質と文化の創造」「社員の声が経営トップに届くボトムアップ経営」などの成果が生まれる。

インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション(Integrated Marketing Communication=IMC)

統合マーケティングコミュニケーション。マス広告、PR、セールス・プロモーション、パッケージング、ダイレクト・マーケティングなど、企業が必要とするコミュニケーションをマーケティングとして統合的にとらえる考え方。

インバウンド消費

外国人旅行者による日本国内での消費のこと。2024年は年間3,687万人という過去最高の訪日来客数となり、総消費額も8兆1,257億円と過去最高額を記録した。オーバーツーリズム対策も課題となっている。

インフィード広告

インターネット広告の一種。上から下に読み進めていく形式のアプリ、サイトによく用いられる。コンテンツとコンテンツの間に掲載先のデザインと同様に表示されるため、記事と混同されないガイドラインづくりも実施されている。

インフォデミック

SNSなど主にネットを通じて、デマや不確かな情報が流布し、社会に影響を及ぼす現象。「情報(Information)」と、感染拡大を意味する「エピデミック(Epidemic)」を組み合わせた造語。コロナ禍で特に問題となり、世界保健機関(WHO)が警戒を呼び掛けた。

インフルエンサー(Influencer)

特定の分野に詳しい専門家や評論家、インターネット上で強い影響力を持つ人物など、ステークホルダーの行動に大きな影響を与えることのできる人物を指す。インフルエンサーを活用したマーケティング手法を「インフルエンサー・マーケティング」と呼び、「口コミによる、ファンがファンを呼ぶ仕組み」として注目されている。

インベスターズ・ガイド(Investors’ Guide)

アナリスト、機関投資家、株主などへの情報開示の一環として、自主的に経営方針、営業戦略、財務状況、業界情報などの経営情報を定期的に紹介する情報発信ツール。事実関係(ファクト)を客観的に説明することからファクトブックとも呼ばれる。

インベスター・リレーションズ(Investor Relations=IR)

株主・投資家を対象にした企業の自発的なコミュニケーション活動。1993年に設立された日本IR協議会は「IRは投資判断に必要な企業情報を適時、公平、継続して提供する活動」であり、「建設的なコミュニケーション活動によって、企業は投資家の意見を経営に反映させ、成果は投資家に還元される。IRは経営の一部であり、企業価値向上の拠点といえる」としている。

ウェルビーイング(Well-being)

個人の権利や自己実現が保証され、身体的、精神的に良好な状態にあることを意味する概念。短期的・瞬間的な幸せを意味する「Happiness」や「Joy」と異なり、人生にわたる長期的、持続的な幸せの実現を意味する。そのため、個人のウェルビーイングもあれば、地域・コミュニティ全体としてのウェルビーイング、社会全体としてのウェルビーイングもある。

運用型広告

膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法のこと。検索連動広告や一部のアドネットワーク、DSP/アドエクスチェンジ/SSPなどが典型例。

ACR調査(Audience and Consumer Report)

㈱ビデオ・リサーチが行っている調査。新聞・雑誌・ラジオ・テレビおよび交通機関との接触状況、各種商品の所有・使用状況、生活意識などについての調査が行われている。

ABC部数(Paid Circulation)

日本ABC協会が第三者として公査・認証した新聞・雑誌等の部数。販売または配布の事実が帳簿監査により裏付けられており、媒体普及の指標や広告料金の基準となっている。

エシカル消費(Ethical Consumption)

倫理的(ethical)消費。社会の健全性向上を積極的に支援し、環境、人権などの社会的課題に配慮して消費することを意味する。具体的には環境負荷の小さいエコ商品やフェアトレード商品の購入、被災地復興のための応援消費、ホームレス自立支援のための雑誌購買など。

SRI(Socially Responsible Investment)

企業は利潤をあげるだけではなく、法令遵守、企業倫理、環境、人権、男女の機会均等、地域への貢献など、より幅広い社会的責任を負うことが求められるとの概念に従い、その活動レベルの高い企業を選別して投資すること。

STPマーケティング

セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字をとったもので、マーケティング目的・目標を達成するための手法。S(セグメンテーション)では、市場の中で共通のニーズを持つ顧客層を明確にし、T(ターゲティング)では、調査データから標的となる消費者像を導き出す。P(ポジショニング)では、競合他社と比較して差別化し、優位性を確保する。この3ステップを通じて、企業は「誰に」「何を」「どう伝えるか」を戦略的に設計する。

EDINET*(Electronic Disclosure for Investors’ Network)

金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム。米国SECのEDGARシステムの日本版システムとして金融庁主導で2001年6月より稼働開始、2004年からすべての企業に有価証券報告書の提示と開示が義務付けられた。

NFT(デジタル資産)

Non Fungible tokens(非代替性トークン)。ブロックチェーンの技術を使い、デジタルデータの真正と所有権を保障する仕組み。これにより、アートや音楽、アイドルカードなどのデジタル資産市場が生まれ、投機対象ともなった。

NGO/NPO(Non Governmental Organization/Non-Profit Organization)

NGOとは民間開発協力団体のこと。もともと市民の海外協力団体として国連において指名された820余の国際民間団体を指していたが、近年軍縮や人権、開発、環境などのさまざまな分野で各国の民間団体が国連や政府などと協調して活動を展開するようになっている。NGOと環境・福祉・教育などの非営利活動を行う住民団体を合わせて非営利団体(NPO)と呼ぶ。

エバンジェリスト(Evangelist)

IT関連企業を中心に注目されている専門人材のこと。自社製品の特徴からITトレンド、最新テクノロジーをわかりやすく説明して広く伝える新しい職種。もともとはキリスト教における伝道者のことをいう。

FSC(Forest Stewardship Council)

森林管理協議会。「森林認証」制度を推進し、環境保全の観点から、適切かつ社会的・経済的に継続可能な森林作りを目指す。設立にはWWF(World Wide Fund for Nature=世界自然保護基金)が関わり、世界的にFSCの認証制度を推奨している。消費者は、FSCマークの入った製品の購買により間接的に森林保全に関与することができる。

MR(Mixed Reality)

複合現実。現実空間と仮想空間を混合し、現実のモノと仮想的なモノがリアルタイムで影響しあう新たな空間を構築する技術全般を指す。ミクスト・リアリティー、複合現実感とも。AR(拡張現実)(P.43参照)とAV(拡張仮想)を包含する概念。

MBO(Management Buyout)

会社経営陣が株主から自社株式を譲り受けたり、事業部門統括者が当該事業部門を事業譲渡されたりすることで、オーナー経営者として独立する行為。

LGBTQ+

性的マイノリティーを指す言葉。Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダー、Qはクィアまたはクエスチョニングで自分の性認識や性的指向が定まっていない、あるいは意図的に定めていないセクシュアリティー、+はその他のセクシュアリティーを含むことを示す。多様性意識の高まりや、世界各国での同性婚合法化が進むなど、性的マイノリティーへの理解や対応が求められている。

O2O(Online to Offline)

オーツーオー(OtoO/On2Offとも)。主にEコマースの分野で用いられる用語で、企業・店舗のネット上(オンライン)での情報や活動が、実店舗(オフライン)での集客・購買活動に影響を及ぼす施策・活動を指す。

ODM(Outdoor Media)

アウトドア・メディア。駅構内・電車・バス車内の交通広告や、街中・商業施設の屋外広告など、家庭以外の場所で接触するメディアによる広告の総称。OOH(Out of Home アウト・オブ・ホームメディア)とも称される。映像や文字を表示するデジタルサイネージの普及により、新たなメディアとして活性化している。

オープンデータ(Open Data)

許可されたルールの範囲内で、商用も含めて自由に複製・加工や再配布などができ、インターネットなどを通じて容易に入手できるデータ。さらに総務省は▽営利・非営利目的を問わず二次利用可能なルールを設定▽機械判読に適する▽無償――のすべてを満たすと定義している。各種統計やハザードマップなど国や地方自治体が保有する公共データのほか、研究基盤としての科学データなどがある。定義に沿って自治体などが公開する写真やイラストなどもあるが、一般的な「フリー素材」は必ずしもオープンデータとは言えない。

オピニオンリーダー(Opinion Leader)

世論や社会的価値判断の形成に影響力を持つ人々(学者、文化人、評論家など)のこと。企業はこれらのオピニオンリーダーと常に良好な関係を保てるよう、懇談会への参加、シンポジウム、セミナーの開催、PR誌の制作などで協力を得るなどのコミュニケーション活動を行うことが重要である。インフルエンサー(P.43「インフルエンサー」参照)との違いは、インフルエンサーは主にネット上で活動し、オピニオンリーダーはリアルな社会でも影響力を持つという違いがある。

オフレコ

Off the Record(オフ・ザ・レコード)の略で「記録しない」という意味。記者会見やインタビューの際に発表当事者が微妙な内情や背景を腹蔵なく打ち明けるが、紙面などには公表しないと約束すること。「オフレコ」と断って話した場合は、記者は道義的に公表しないことが原則。

オムニチャネル(Omni Channel)

小売業における顧客との接点のあり方のひとつの形態。オムニ(omni)は「あらゆる」「さまざま」という意味があり、実存する店舗での商品販売とインターネット上のバーチャル店舗での販売を連携させた、新しい購買スタイルやそれらの取り組み。

オンブズマン制度

国や自治体の行政に対する国民の苦情を受け付け、中立的な立場で問題の解明と是正処置を講じ、その解決を図る専門委員制度。オンブズマン(Ombudsman)とは、「護民官」を意味するスウェーデン語で、北欧をはじめ世界各国で導入されている。日本では1990年に川崎市が初めて行政全般を対象にした市民オンブズマン制度を設置。

カ行の用語

カーボンフットプリント

製品の原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでに排出されるCO2排出量を、製品に分かりやすく表示する仕組み。

海外ロードショー(Road Show)

欧米の金融主要都市で開催する投資家向け会社説明会。国内では単に「会社説明会」という。

格付け会社

国や企業およびそれらが発行する債券に関して、信用度を調査しランク付けをして公表する民間企業。現在世界の大手はムーディーズ・インベスターズ・サービス、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチ・レーティングスの3社。欧州危機は格付け会社がギリシャ国債を一気に3段階格下げ、「投資不適格」の烙印を押したことに端を発した。それ以後、欧州諸国で格下げが相次ぎ、格付け会社の存在が市場や国際経済に大きな影響を与えるようになってきていることから注目を浴びている。

カスタマージャーニー(Customer Journey)

顧客がどのように商品やブランドとの接点を持って認知し、関心を持ち、購入や登録に至るのか、そのプロセスを旅に例えた言葉。顧客の動向を可視化やパターン化して分析することで、顧客の理解を深め、ブランドの一貫性の維持につなげるなど、マーケティング活動の最適化を図ることが重要とされる。各接点で顧客が認知する企業やブランド、サービスを購入・利用する体験は「カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience=CX)」で、CXの向上は顧客ロイヤリティーを高めることにつながる。そのためにはカスタマージャーニーに沿って可視化したサービス設計が必要とされる。

カスタマー・リレーションズ(Customer Relations)

顧客PR。企業が消費者や株主、金融機関、関連会社、販売店などに対して自社製品やサービス、その他の企業活動を、PR誌や工場見学などを通じて広報することをいう。

株主価値(Shareholders’ Value)

企業の利益が株主・投資家から得た資本コストを上回ることによって得られる付加価値。コーポレート・ガバナンスの視点から、株主価値の向上が企業の命題とされ、株主価値を指標化したEVA(P.49「経済付加価値」参照)やMVAなどの増加を経営目標に掲げる企業が増加している。

株主代表訴訟

株主が取締役などを相手に、会社に対する損害賠償を請求する訴訟。1993年の商法改正以来、一般株主が訴訟を起こしやすくなり、株主代表訴訟は増加傾向にある。

環境会計(Environmental Accounting)

環境保全に対する活動を数値化し、その費用対効果を明確にする手法。これまで漠然としていた環境活動の評価を経済価値に置き換えることで環境管理の状況が明確になり、企業経営における環境対策を事業の一環として積極的に位置付けることが可能になる。欧米企業が先行していたが日本企業でも導入する企業が増えている。

環境ラベル(Environmental Labels)

国際標準化機構(ISO)が「製品の環境側面」について策定した広告表現や製品表示に関する国際ルール。1999年にISO14021として制定。環境ラベルの使用法や広告表現について詳細に規定したもの。審査や認証を伴わない “自己申告” ルールだが、その規定が広く公表されており、虚偽の表現はNGOなどの批判にさらされるため、これまでの広告規制に比べて強い規制力を持つ。

機関投資家*

年金基金や個人などから資金を預かり、まとまった資金を投資する法人投資家のこと。大量の資金をまとめて運用するので市場に与える影響も大きい。一般的には投資信託会社、投資顧問会社、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行などの資産運用会社を指す。

企業価値向上表彰

東京証券取引所が、市場開設者としての立場から望ましいと考える企業価値の向上を目指した経営の普及・促進を図ることを目的に上場会社を表彰する制度。

記者会見(Press Meeting)

トップ人事や合併、新規事業、新製品開発など、企業活動に動きがあった場合に、記者クラブに申し入れて行う。なお、記者クラブへの申し入れは、原則として幹事会社を通して行う。

記者クラブ

各省庁、都道府県庁、市役所、警察署、団体などの記者室に置かれた取材のための機関のこと。企業にとっても、記者との重要な接点となっている。もともとは、「各公共機関に配属された有志が集まって親睦、社交を目的とするものであり、取材上の問題に関与しないものとする」とされている(日本新聞協会方針)。しかし、次第に取材機構として制度化してきた。情報を提供する側にとっては、1カ所で同時発表できるメリットもある。

記者説明会・記者懇談会

記者説明会は、新商品や新サービスの発表や企業の事業戦略の説明などを主な目的とする。記者に対して正式な発表や質疑応答を行う。広義の意味での記者会見や記者発表に含まれる。記者懇談会は記者クラブや担当記者との情報交換や懇親などを主な目的とする少人数の懇談会。記者と会食などをしながら説明や質疑応答を行う。

記者発表(Press Announcement)

新製品の発売時などに、それをニュースとして取り上げてもらうため報道機関に発表すること。一度に多くのマスコミに情報伝達ができるので、効率的かつ有効なパブリシティー活動といえる。記者発表には、「レク(レクチャー)付き」と呼ばれている共同発表と、発表用資料を記者クラブなどの報道機関に配布または送付する資料配布の2つの方法があるが、その選択はニュース素材の内容や社会性などによって決定される。

「議題設定機能」仮説

マスメディアが報道する内容が、人々が何を重要な争点と認識するかに影響を与えるという考え方。報道されたテーマは社会的に重要とみなされ、特に直接経験できない問題ほどメディアの影響を受けやすいとされている。

キャップ(Captain)

主に新聞社で使われている用語。デスクが本社で取材を指揮するのに対して、記者クラブや取材現場などの出先で取材記者を指揮し、適切な判断を下すベテラン記者をいう。

キュレーション

英語のキュレーター(curator:博物館などの学芸員)が語源。インターネット上のさまざまな情報を収集し、特定のテーマに沿ってまとめ、編集することを指す場合が多い。政治・芸能関連のニュースや、そのニュースに対する意見など個々の情報を、ひとつひとつ集めては見やすく一覧にまとめる作業がキュレーションである。該当するWebサイトを「まとめサイト」と呼ぶ。

クライシス・コミュニケーション(Crisis Communication)

不測の事態を未然に防止するための、そして、万一不測の事態が発生した場合にその影響やダメージを最小限にとどめるための「情報開示」を基本とした、ステークホルダーへの迅速かつ適切なコミュニケーション活動。

クラス・アクション(Class Action)

集団訴訟。商品やサービスによって多数の人が被害を受けた場合、同じ立場にある不特定多数の中の一人もしくは数人が、全員を代表して訴訟を起こし、判決を同種の被害者全員に適用させるための訴訟。

グリーンウォッシュ

企業や組織が自らの環境配慮や社会的責任について、実際には取り組んでいないか、取り組みが不十分なのに、誇大な主張や宣伝をしている場合に使われる用語。環境配慮の象徴的な言葉であるグリーンと、見せかけや隠ぺいを意味する英語「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語で、1986年に米国の環境活動家ジェイ・ヴェステルフェルト氏が、エッセイで用いたのが始まり。1992年の国連環境開発会議(リオサミット)前に、国際環境団体のグリーンピースが「GREENWASH」という本を出版し、この言葉を世界に広めた。

グリーンエコノミー

自然資本の考え方を取り入れた新しい経済 のこと。自然生態系の再生力や吸収力を超えない経済、経済成長に伴って環境負荷が増大しない経済の仕組みの構想。

グリーン調達

環境負荷の少ない製品やサービスを優先的に選定・購入する調達方針であり、企業が環境保全に貢献するための戦略的な取り組み。近年では、市場取引を基盤とした企業選別の仕組みとして機能しており、環境対応力の高い企業が市場で選ばれ、競争優位を得る一方、対応力の低い企業は取引機会を失う可能性が高まるなど、企業の「存在価値」を再定義する新たな市場メカニズムとなっている。

GX(グリーントランスフォーメーション)

脱炭素社会を実現するための取り組み。化石燃料によるエネルギー供給・利用は多くの炭素排出を伴うため、エネルギー源のシフト、利用方法の変革が求められている。経済活動・生命活動はすべてエネルギーの利用を前提としているので、その変革に関係しない企業組織はひとつもない。「脱炭素行動に取り組まない企業には投資しない」という金融界のメッセージはもはや珍しくなく、これからの企業経営にとってGXを行えるか否かはまさに未来の生命線である。

クリッピング(Clipping)

新聞や雑誌などに掲載された記事をチェックし、内容や必要に応じて切り抜いてストックすること。PRの業務のうち、メディア・リレーションズのベーシックな業務のひとつ。PRの効果測定のひとつとして、記事の露出量や論調を元に算出する手法があり、クリッピングはそのベースとして欠かせない作業である。

グループインタビュー

複数の参加者に対して同時に質問を行い、意見や反応を引き出す調査手法。参加者同士の対話を通じて、個別では得られにくい深い洞察、多様な視点やインサイトを得ることができる。

グローバルサウス

主に経済的に発展途上である国々を指し、経済格差や社会的課題に焦点を当て、国際的な格差や不平等を議論する際に用いられる。一般的に、「グローバルノース」と対比されて使用される。具体的な国々の分類は時折変化する。一般的には基準としては、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアなどの新興国・途上国を指す言葉として使われる。

経験価値マーケティング

商品やサービスそのものの機能や価格ではなく、消費者がそれを通じて得る「体験」や「感情的価値」に焦点を当てたマーケティング手法。広報・PR活動においても「情報の伝達」から「感情の共有」へと進化しており、ブランド構築や信頼関係の形成において重要な役割を果たしている。

経済付加価値(Economic Value Added=EVA)

株主への貢献度を重視した経営指標。具体的には、投下資本利益率が資本コストを上回ったときに生み出される企業価値のことで、プラスなら株主の期待以上の利益を上げたことになる。米国のスターンステュアート社により開発され、欧米有力企業が導入、経営改革と株価の上昇に成功している。日本でもEVAの増加を経営目標とし、報酬制度と結び付ける企業が増加しつつある。同様の概念を率で表したのが日本で開発されたCCR(キャッシュフロー資本コストレシオ)。

景品表示法

過大な景品の提供によって、不当に購買心や射幸心をあおる行為を禁じた独禁法の補完法。違法行為に対しては公正取引委員会が排除命令を出せる。1996年4月には、従来の景品規制の一般ルールとその運用基準が改正され、景品の上限が廃止、または緩和された。

決算説明会*

決算発表時期ごとに、今期の業績の分析および今後の経営戦略などについて説明する。四半期決算が導入されたことを受け、電話会議なども活用して四半期決算説明会を開催する企業もある。主に証券アナリストやファンドマネジャーが対象だが、IRサイトで公開する企業もある。

KPI(Key Performance Indicator)

広報・PR活動の効果を測定するために設定する指標の中で、特に重要なものを指す。広報・PRにおける効果測定の指標には、人件費や予算などのコスト指標、発表件数や取材への対応件数などの活動指標、記事件数や記事量、広告換算指数等の定量指標、論調分析等の定性指標、ステークホルダーの意識や行動の変容を示す指標など、さまざま。目的などにあわせて設定することが重要である。

健康経営銘柄

経済産業省が「日本再興戦略」による取り組みの一環として、東京証券取引所と共同で、2015年3月より選定している。長期的な視点からの企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業を紹介するもので、今後多くの企業が「健康経営」への取り組みを促進することを目指す。2016年には「健康経営優良法人」の認定制度を創立。このうち大規模法人から選定する「ホワイト500」は2021年3月時点で500社ある。

公益通報者保護法

内部告発者の保護を目的に2006年4月に施行された。企業が公益通報(事業者の法令違反を不正の利益を得る目的でなく通報すること)をした労働者(公益通報者)に対して、解雇・降格などの不利益な取り扱いをすることの禁止を定めている。通報先としては、①事業者内部(内部通報)、②処分の権限を持つ行政機関(監督官庁や警察・検察など)、③その他外部(マスコミや消費者団体など)があるが、外部に対する通報は、それが誤りだった場合に風評被害に遭う恐れがあるため、通報の保護条件が厳しくなっている。

公称部数(Publisher Estimate)

新聞社や出版社が自社で発表する発行部数。印刷部数や流通部数など実態のある部数を用いている場合や、実態の伴わない部数の数倍を発表している場合がある。

広聴機能

広報の重要な機能の1つ。公衆の声を聞き、経営に反映させる世論の収集活動(社外情報のインプット)とともに、社内の情報収集、蓄積(社内情報のインプット)も行う。

降版協定

新聞各社の過度なニュース競争を避けるため、一定の時間が過ぎたら新しいニュースを紙面化しないように定めた日本新聞協会の協定。大きな事件や事故などが発生した場合でも、タイムリミットを過ぎてからのニュースはその日の朝刊や夕刊には載せられない。ただし、加盟社の申し出により解除することもできる。また、紙面より先に自社ウエブサイトに載せるウェブ・ファーストの拡大により、有名無実化している面もある。

コーズ・マーケティング(Cause RelatedMarketing=CRM)

コーズ・リレーテッド・マーケティングとも呼ばれる。企業が商品やサービスを消費者に提供する際に、社会貢献に結び付くような仕掛けを取り入れるマーケティング手法で、ブランドイメージや企業評価の向上を図ることができる。日本では、1960年にスタートした「ベルマーク運動」がその先駆けといえる。

コーポレート・アイデンティティー(Corporate Identity=CI)

企業イメージ統合戦略。総合的なコミュニケーション手法を用いて、公衆や社会に自社の経営理念や企業活動を伝え、理解され、信頼される企業としてのよりよいイメージを育てるための活動。CIの導入により、「自社に対する公衆、社会の認識向上」「他社との差別化」「社員の共通した価値観の醸成」などが促進できる。

コーポレートガバナンス・コード(Corporate Governance Code)

コーポレートガバナンス(企業統治)のあり方を改革し、持続的な成長と企業価値の向上に向け、会社の意思決定の透明性・公平性を担保しつつ、迅速・果断な意思決定を実現するため、2015年3月に金融庁及び東京証券取引所が公表した指針。

コーポレート・コミュニケーション(Corporate Communication)

社会や消費者に対し、企業の理念や活動内容、情報を伝達する活動。PR・広報、広告、IRなどを中心に、オープンハウス(P.46参照)やファクトリー・パーク、地域社会への貢献、エコロジーへの取り組みなどという形で実践される。企業活動の支持・理解を得ることで、マーケティング上の戦略につながる。コーポレート・コミュニケーション(CC)という言葉が使われるようになったのは、米国の経済誌「FORTUNE」が1972年に「コーポレート・コミュニケーションズセミナー」を開催し、企業と社会の摩擦をいかに緩和していくかを論議してからだといわれている。この考え方が米国企業を中心に取り入れられ、組織の名称にも使われるようになるのは80年代に入ってからで、日本では80年代後半から大手流通業を中心に導入が始まり、90年代になると広報部門の組織名としてさかんに使われるようになった。

コーポレート・シチズンシップ(Corporate Citizenship)

企業市民、企業の市民活動を意味する。企業も地域社会におけるよき市民として存在し、社会に貢献すべきという考え方。1969年にIBMが宣言してから、先進諸国の企業でも一般化。日本企業が1980年代後半から活発に海外進出するなかで、現地社会の健全な発展に対し、一市民として、環境や教育、文化など多方面にわたる融和が重要な課題であり、高い関心が持たれた。

コーポレート・ブランド(Corporate Brand)

企業価値を高める原動力として、人、モノ、金、情報に続く第5の経営資源として注目されている概念。米カリフォルニア大学名誉教授のデヴィッド・A・アーカーが提唱。人々がその企業に抱くイメージを決定付ける無形の個性であり、他社と差別化するための存在感や信頼感を与えるとされる。

コーポレート・レピュテーション(Corporate Reputation)

ステークホルダー(マスメディア、一般生活者、株主・投資家、従業員、取引先、NPO/NGO、学生など)から見た企業の評判。経営に大きな影響力を持つため、企業は、多様化・複雑化するコミュニケーション環境に対応し、好評判獲得のための戦略的な取り組みを求められている。

国際財務報告基準(国際会計基準)(IFRS=International Financial Reporting Standards)

国ごとに異なる会計基準を国際的に統一し、国際間比較を容易にしようという目的で国際会計基準審議会(IASB=The International Accounting Standards Board)によって設定されたグローバル・スタンダード。2005年よりEU域内市場で統一基準として採用された。日本でも2009年に「選択適用」が認められた。

黒板協定

記者発表が予定されている内容について、取材・報道を禁じた記者クラブ内の紳士協定。企業などのニュース提供者が、記者クラブの幹事会社に記者発表を事前連絡すると、記者クラブ内の掲示板に日時・内容などが書かれる。その時点で協定が発効することに由来する。

コンシューマーリズム(Consumerism)

消費者主義、消費者運動。消費者や市民生活の立場を考慮に入れ、それを最優先させる考え方、またはその運動そのものを指す。1960年代半ば、消費者の権利を守る活動が盛りあがるにつれて、使われるようになった。アメリカのラルフ・ネーダーが中心となった消費者運動が有名。日本でも1970年代に入ってから、消費者の意識の高揚に伴い活発な消費者運動が起こり、現在に至っている。

コンティンジェンシー・プラン(Contingency Plan)

不測事象対応計画。企業が策定すべき長期経営計画の一部であり、有効なリスク・マネジメントの方策。今日のように環境変化の激しい時代では、長期計画は策定された後も常に柔軟な見直しを必要とする。コンティンジェンシー・プランでは、あらかじめ発生確率が低い事象に対しても複数の代替計画を準備し、不測事象発生の際、迅速に対応できるようにしておく。

コンテンツ・マーケティング(Content Marketing)

有益なコンテンツを作成し、それらを消費者や利用者から見つけてもらう、調べてもらう、シェアしてもらえるようにするマーケティング手法。消費者自らが検索エンジンを利用して調べ、購入した商品や利用したサービスの感想をソーシャルメディアで発信することが日常化したことが背景にある。

コンプライアンス(Compliance)

法令遵守。法律を守ることのみと解釈されがちだが、企業市民として企業倫理をきちんと守り、ステークホルダーと良好な関係を築くための基本的な考え方のこと。要点は、企業活動を監視するルールの制定と、それを企業の内外からチェックするシステムの確立である。透明性を担保し、企業情報をステークホルダーに誠実に伝えるための取り組みが重要な鍵を握る。

サ行の用語

サステナビリティ(Sustainability)

企業が持続的に発展するために、明確なビジョンのもと、社会・環境・経済の3つの側面に配慮し、ステークホルダーの支持を得ようという考え方。欧米ではまず、社会的責任投資(P.44「SRI」参照)の基準として「持続的発展の可能性」が重視され、企業価値向上のための取り組みとして定着しつつある。日本でも、日本版401Kの導入や欧米の年金基金への組み入れをにらみ、IRの一環として注目を集めるようになった。取り組みを伝えるツールとして、サステナビリティ・レポートを発行する企業も増えつつある。

SASBスタンダード

米国の非営利団体SASB(Sustainability Accounting Standards Board)が策定したESG情報開示の基準で、特に「投資家向け」に焦点を当てている。特徴は、業種別に重要なESG課題を整理し、財務に影響を与える可能性のある項目に絞って開示を求める点であり、企業の財務パフォーマンスに直結するサステナビリティ情報を、投資判断に活用できるよう設計されている。

サプライ・チェーン・マネジメント(Supply Chain Management)

製品が、原材料からさまざまな工程を経て消費者の手に渡るまでのすべての工程をサプライ・チェーンと呼び、この効率を高めるための計画・管理をサプライ・チェーン・マネジメントという。経営効率を高めるための情報共有化や物流システムの構築などよりも、CSRの観点から、環境や人権、品質と安全、地域貢献などのファクターを組み込んで再構築する企業が増加している。

3C分析

ミクロ環境要因の中で、特に自社企業(Company)、顧客市場(Customer)、競合他社(Competitor)の3つの視点からの分析手法を、英語の頭文字を取って「3C分析」と呼ぶ。自社分析では、財務や研究開発、営業などの部門横断的な連携を前提に、強みや弱みを定性的・定量的に評価。顧客市場分析では、潜在顧客の把握や戦略顧客のニーズ、購買行動の理解が重要。競合分析では、競合企業の売上や市場シェア、経営資源などを比較し、相対的な優位性を見極めるプロセス。企業理念や経営戦略との整合性を保ちながら、変化する市場環境に対応する柔軟な戦略構築が求められる。

GRI(Global Reporting Initiative)

企業・組織が社会的責任を果たしていることをステークホルダーに伝えるために、全世界で通用するガイドライン立案を使命とするNGO。アムステルダムに本部を置き、UNEP(国連環境計画)の公認協力機関である。GRIは同様の活動をする世界中のさまざまな団体や組織と連携しており、日本においては、NPO法人「サステナビリティ日本フォーラム」が緊密に連携している。

CRM(Customer Relationship Management)

個々の顧客の嗜好や性癖を把握し、対応を徹底する経営手法。これまで町の商店がお得意さまに提供してきたようなきめの細かいサービスをITの力を借りて組織的に実現する。インターネットの普及に伴い、CRMは大企業から中小企業へ、クローズドからオープンへと発展しつつある。

GRP(Gross Rating Point)

ある期間中に放送したテレビCMの各回世帯視聴率の合計。「延べ視聴率」ともいう。主としてCMが必要量に達しているかを判断する目安として用いられる。

CSR(Corporate Social Responsibility)

企業が果たすべき社会的責任。企業が自らの社会的責任を明確に定義し、それを社会に向けて発信、実践することによって、競争力を高め、持続的な発展につなげていくのが基本的な考え方。サステナビリティー(P.52参照)や広い意味でのコーポレート・ガバナンス(企業統治)と同義で、より長期的な視点に立った、企業とステークホルダーの間の信頼関係作りに寄与する。

CSRD 企業サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive)

2022年にEUが策定した企業向けの新しい報告義務であり、企業が環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する情報をより詳細かつ統一的に開示することを求める指令。従来の非財務情報開示よりも厳格な基準が設けられ、企業は自らのサステナビリティへの取り組みを、ステークホルダーに対して透明性高く説明する責任を負うようになりる。こうした報告義務の強化が、企業の信頼性やブランド価値の向上に直結する重要な要素と位置づけられており、単なる情報開示ではなく、社会との信頼関係を築く戦略的コミュニケーション活動として捉えられている。

CSV(Creating Shared Value)

ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・E・ポーター教授が提唱する経営フレームワーク。企業活動を通じて社会課題の解決に貢献しつつ、企業も継続的成長に必要な経営資源を獲得し、社会と企業が共有できる価値を生み出すことを目指す経営コンセプトである。

CGM(Consumer Generated Media)

消費者による消費者のためのメディア。インターネットの発達によって登場したブログやSNS、YouTubeなどの新たなコンテンツの総称。消費者個人の自由な意見や情報がインターネットを介して共有され、それが消費者の考え方や購買行動などに大きな影響力を持つようになってきた。

CCO(Chief Communication Officer)

企業におけるコミュニケーションの統括責任者。コミュニケーションが経営戦略においてますます重要度を増す中で、欧米ではCCOを任命する企業が増加している。CIO(Chief Information Officer)と呼ぶ場合もある。

G20/OECD コーポレートガバナンス原則

1999年にOECDが制定し、2023年にG20と共同で改訂された原則。改訂では、企業の持続可能性や強靭性の向上を目的に、サステナビリティ、株式保有の集中化、サイバーセキュリティ、多様性、機関投資家との対話などに関する新たな規定が導入され、企業は「何を」すべきか(リスク管理・透明性の確保)を明確にし、「誰が」(取締役会)が「どのように」(自主的にチェック・改善)取り組むかが示され、「いつ」(継続的に)「なぜ」(企業価値向上のため)行うべきかが強調されている。

GDPR(General Data Protection Regulation)

EU一般データ保護規則。2018年5月施行された欧州経済領域(European Economic Area:EEA=EU加盟28カ国およびアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)の個人データ保護を目的とした管理規則。日本に本社があるWebサイトで、EEA所在者に対して商品やサービスを販売する企業は、GDPRが適用される可能性があるので注意が必要。

GPIF(年金積立金管理運用 独立行政法人)

日本において厚生年金と国民年金の年金積立金を管理・運用する機関。厚生労働省が所管する独立行政法人で、年金給付の財源として年金運用で得た収益を国庫に納めている。

シェア・オブ・ボイス(SOV=Share of Voice)

声のシェア とは、競合企業や競合製品・サービス間における広告出稿量やメディア露出量のことを指す。もともと広告の世界で用いられてきた言葉で、製品・サービスのシェアは、広告の絶対量ではなく、同じカテゴリーにおける競合製品やサービスの広告出稿量との比較で決まるという考え方に基づいている。近年、IMCの考え方に基づき、広告出稿量だけでなく、パブリシティーによるメディア露出を含めてSOVを算出するのが主流となっている。

シェアサービス/シェアリングエコノミー(Sharing Service/Sharing Economy)

ソーシャルメディアの発達により可能になったモノ、お金、サービス等の交換・共有により成り立つ経済のしくみ。個人が保有するモノや場所などの遊休資産や技術などの無形なものの貸出しを仲介する。貸主は遊休資産の活用により収入が得られ、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある。

SR(Shareholder Relations)

企業が株主との良好な関係を築くために行うコミュニケーション活動で、IR(Investor Relations)が投資家全般を対象とするのに対し、SRはすでに株式を保有している株主に特化した活動となる。企業は株主総会での議案説明や質疑応答、株主通信の発行、個別面談などを通じて、株主の理解と信頼を得ることを目指す。

JPX 日経インデックス 400

東京証券取引所、日本取引所グループ、日本経済新聞社の3社が共同で開発・算出している株価指数。ROEの高さなどをもとに選んだ400銘柄で構成され、毎年8月に見直し、入れ替えを実施している。

自社株買い*

一度発行した自社株式を企業が自己資金で買い戻すこと。自社株買いにより、一株当たりの利益は増加する。株主への利益還元を機動的に行えるとして、ROEの向上に活用する企業もある。

肖像権(Right of Portrait)

自身の肖像に関する独占的な使用権のこと。他人の肖像を使用する場合、本人、または、その肖像権代理人に許可を受けなければならない。また、企業内施設で一般顧客の肖像が写った写真を、広報資料として配布する場合にも注意が必要とされている。

消費者インサイト

消費者の行動や態度の奥底にある意識構造など、消費者が製品やサービスに対して抱いている心理的な側面のこと。消費者調査における従来の定量調査、定性調査の制約を補完する手法として、注目されるようになった。

商標権(Trademark Rights)

文字・図形・記号など、自社商品の目印として使用するマークあるいはデザインを保護する権利。「商標登録出願」による審査の決定後に発生する。権利の保護期間は10年で、規定の手続きを行えば期間を延長することができる。®マークは指定商品あるいは指定役務が商標権で保護されていることを示す。

商品化権(Merchandising Rights)

著作権などの知的財産権を有するものを商品に使用して複製する場合の権利。通常はライセンサーまたはエージェントと商品化を希望するライセンシーの間で商品化(ライセンス)契約を結ぶ。ちなみに企業のイメージアップやイベントなどで使用する場合はプロモーション契約あるいは販売契約と呼ぶ。

人権デューディリジェンス

企業活動における人権への影響の特定、予防・軽減、対処、情報提供を行うこと。強制労働やパワーハラスメント、差別的表現を含むCMやSNSでの発信などはリスクとなり、顧客や一般市民からの信用喪失、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報判断による投資対象からの除外など企業の存続すら危うくする可能性もある。反対に、企業が率先して人権尊重の姿勢を示し取り組みを行うことは、企業価値やブランドイメージのアップ、労働環境の向上による優秀な人材の獲得・定着、従業員やサプライヤーの生産性向上など、レピュテーション向上につながる。

人的資本経営

組織や企業が従業員が持つ知識や能力を重要な資本と捉え、それを最大限に活用して組織の成果や競争力を向上させようとする経営の手法。従業員のスキル、知識、経験、能力、モチベーションなどの要素を組織の戦略的目標に合わせて最適に活用することを重視する。従来の経営は人材を「資源」として捉えているのに対し、人的資本経営では人材を「資本」とみなしている。

新聞広告倫理綱領

日本新聞協会が1958年に制定した新聞広告掲載に関する倫理基準。新聞広告の及ぼす社会的影響を考え、不当な広告を排除して、読者の利益を守ること。また、新聞広告の信用を維持、高揚させるために定められた。基本的原則として、「真実を伝える」「紙面の品位を損なわない」「関係諸法規に違反しない」の3つがある。

新聞倫理綱領

日本新聞協会がその指導精神として1946年に制定(1955年補正)した倫理基準。記者および新聞社の使命、また、その行動を律する基準として、「新聞の自由」「報道・評論の限界」「評論の態度」「公正」「寛容」「指導・責任・誇り」「品格」の7項目をうたっている。

スクープ(Scoop)

本来は「シャベルで掘り出す」という意味。新聞・テレビ・雑誌などの報道機関が、ライバル社を出し抜いて独占的に重大ニュースを掲載・放送すること。またはその記事。

スコープ3

脱炭素経営を進めるうえで、企業が排出している炭素量をカウントするための方式用語である。排出源をもとに3つのカテゴリーに整理されており、自社で使った化石燃料からの排出をスコープ1、電力消費からの排出をスコープ2、そのほか製品の原材料調達から製造、販売、消費、廃棄に至るまでの過程において排出される量をスコープ3としている。スコープ3の範囲は多岐にわたるため15のカテゴリに分けられている。スコープ3は、サプライチェーンの「上流」と「下流」に分類されており、原材料の調達や輸送・配送などが「上流」、製品の使用や廃棄が「下流」と分けられている。

スチュワードシップ・コード(Stewardship Code)

英国で、企業の株式を保有する機関投資家向けに定められた行動規範。資産運用の委託者の利益を実現すると同時に、投資先企業の長期的な成長を経済全体の発展へとつなげるために、機関投資家は積極的に役割を果たすべきだとする概念に基づいている。

ステークホルダー(Stakeholder)

利害関係者の意。もともと掛け金を守る第三者という意味だったが、実際には従業員や株主、地域社会、消費者、取引業者、さらには行政など、企業経営上重要な影響力を持つ第三者、という意味で使われる。企業活動を行ううえで、これらステークホルダーとのコンセンサスを得ることは今後ますます重要で、広報活動の大きなテーマのひとつである。

ステルスマーケティング

広告であることを隠したまま商品やサービスを宣伝すること。略して「ステマ」ともいう。具体的には、商品やサービスの広告を通常の広告枠で行わず、記事の中や番組の中で自然な形で紹介したり、宣伝と気付かれないように口コミで発信・伝播を図ることをいう。消費者庁は、このような行為が景品表示法の不当表示にあたるとして、令和5年10月1日から規制している。規制の運用基準では、広告であることを明示する例として、「広告」「PR」などの文字やハッシュタグを表示する事があげられている。

ストーリーテリング

生活者が製品やサービスに対して深い理解と共感を持てるようにするための重要な手法。単なるスペックや事実の羅列ではなく、製品が生まれた背景、企業のビジョン、社会的課題とのつながり、開発者の想いなどを物語として構築することで、情報が記憶に残りやすくなり、購買意欲やブランド支持といった態度変容を促す。この手法では、「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」といった5W1Hの情報整理が重要であり、納得感のあるストーリーは生活者の信頼を得るだけでなく、彼ら自身がブランドの語り手(ストーリーテラー)となって情報を拡散する力を持つ。また、広く共感される社会的テーマを取り入れることで最大公約数的な共感を得る一方、コアターゲットに向けた文脈や感情的な要素を加えることで、より深い共鳴を生み出すことも可能となる。

ストラテジスト(Strategist)

アナリストの中でも投資環境を分析し、資産配分などの戦略情報を投資家に提供する者をいう。

ストリーミングサービス

インターネットを通じた動画や音楽の配信で、データを小さく分けて受信した分から順次再生する技術。ダウンロード配信と違い、配信先にデータは残らない。あらかじめ用意されたファイルから利用者が自由に選んで視聴できる「オンデマンド配信」により、Netflix、Amazonプライムビデオなどの動画配信サービス市場が急拡大している。

スポークスパーソン(Spokesperson)

報道機関に対して、掌握している情報を適宜発表する広報責任者のことで、緊急事態の発生時などに用いられ、一般には広報部長や広報担当役員が選任される。

生成AI

生成AI(Generative AI)は、人工知能(AI)の一分野で、自然言語処理技術(人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる技術)でさまざまなコンテンツを生成するAIのこと。米国のAI開発企業 OpenAI が2022年11月に公開した対話型のAIサービス「ChatGPT」が公開1カ月で世界のユーザー数が1億人に達するほど急速に拡大したことを機に、広く知られるようになった。生成AIは大量のデータを用いて学習し、高度な文章(テキスト)、画像、音声、音楽、動画などを作ることができる。コンピュータープログラムの内容を文章で入力してプログラムコードを生成したり、システム開発のために必要なテストデータを作ったりすることもできる。

製造物責任法 PL法(Product Liability)

「消費者が製品の欠陥により被害(生命、身体、財産への損害)を被った場合、消費者の故意、過失の有無を問わず、製造者が損害賠償の責任を負う」とする考え方を示した法律で、1995年7月に施行。自社製品の欠陥によって、その責任を追及されるため、こうした問題に直面しないよう適切な製品開発・使用マニュアル作成・販売を行うとともに、アクシデントに遭遇した場合の危機管理システムの構築も求められる。

生物多様性(Biodiversity/Biological Diversity)

地球上に多様な生物が複雑な生態系を形成していること。現在多くの生物の絶滅が危惧される状況にあり、要因は人間の活動、中でも生息地の環境破壊が大きい。人類存続の基盤ともいうべき生物多様性を将来において確保するため、わが国でも2008年5月に「生物多様性基本法案」が成立、総合的かつ計画的な環境保全策を打ち出している。

セルサイドアナリストとバイサイドアナリスト

セルサイドアナリストとは、証券会社などに所属し、企業の業績や市場動向を分析して投資家に情報を提供する専門家。彼らの分析は、主に株式の売買を促す目的で行われ、企業のIR活動(投資家向け広報)においては、適正な株価形成を支える存在として重要視されている。一方、バイサイドアナリストは、投資信託会社や保険会社、年金基金などの資産運用機関に所属し、自社の投資判断のために企業分析を行う専門家。彼らは第三者の資産を運用する責任を負っており、企業のIR活動においては、長期的な株式保有を促す重要な対象とされている。

総合視聴率

(P.58「タイムシフト視聴率」参照)

ソーシャルビジネス(Social business)

社会的課題の解決を事業とするビジネス。2008年4月に経済産業省が取りまとめた「ソーシャルビジネス研究会報告書」では、社会性、事業性、革新性をその要件としている。事業性のないボランティア活動や既存の法律等で活動内容が規定された福祉、医療、教育などの事業は該当しない。

ソーシャルメディア

LINE、X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、YouTubeなど、ネット上でユーザー同士が情報を発信し合うことで形成されているメディア。実名で利用するものとそうでないものがあり、実名制のFacebookなどでは、ビジネス上の関係者とソーシャルメディア上でもつながりをつくり、業務で使う人も増えている。ユーザーそれぞれが発信する情報は、誰でも見られる場でも、特定のメンバー限定でも設定できる。社員や関係者がコンプライアンスに違反する情報を発信する事件は後を絶たず、企業としても全社的な教育とルールの徹底が不可欠である。

ソーシャルリスク(Social Risks)

ステークホルダーがFacebook、X(旧Twitter)や各種ブログなどソーシャルメディア上に発信した情報をきっかけとして、情報漏えい、風評被害、名誉毀損、反社会的な行為や犯罪行為の露呈などが複合的に発生し、当該企業に対して信用失墜、取引停止や企業価値の低下など致命的なダメージを与えるリスクをいう。

ソーシャルリスニング(Social Listening)

ソーシャルメディアに投稿されている情報(ビッグデータ)を企業が分析活用すること。数値集計とテキストマイニングの組み合わせ分析により、ブランドモニタリングやリスクモニタリング、商品改善、CS調査、競合分析などへの活用が多い。災害情報分析などの使途もある。

ソサエティ5.0(Society 5.0)

狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させた最新テクノロジーの活用によって実現すべき新たな社会。政府が策定した第5期科学技術基本計画に基づき、日本が目指す未来社会「超スマート社会(Society 5.0)」に向けたさまざまな取り組みが始まっている。

タ行の用語

タイムシフト視聴率/総合視聴率

従来、テレビ番組の視聴状況を知るために利用していた「視聴率」はリアルタイムの視聴状況を示していた。新たに加わった指標「タイムシフト視聴率」は7日間(168時間内)の視聴状況の実態を示す。また「総合視聴率」は「リアルタイム」または「タイムシフト」いずれかでの視聴を示す。これにより視聴状況を多角的に捉えられるようになった。

地方創生

地方自治体が、いまの日本が直面している大きな課題「人口急減・超高齢化」に対し、それぞれの特徴を活かした自律的で持続可能な社会をかたちづくること。自治体PRは、観光誘客・地域産品購入促進のPRだけでなく、その先にある「移住・定住促進」を目指すものとなっている。

著作権(著作隣接権)(Copyright)

文学、学芸、美術、写真、音楽などの著作物に対して、著作者がその著作物を独占的に利用できる権利。複製権、上演権、放送権、翻訳権などの財産権と、公表権、氏名表示権などの著作者人格権がある。原則として著作者の死後50年間権利が存続する。また、実演家、レコード製作者、放送事業者には、著作物を伝達する媒体として創造的な活動を行っているとして、著作権に隣接する権利(著作隣接権=録音権・録画権など)が認められている。

「沈黙の螺旋」仮説

人々が自分の意見が少数派だと感じると、孤立を恐れて沈黙し、結果的に多数派の意見がさらに強まるという理論。企業内では同調圧力により少数意見が表明されにくく、メディア報道がきっかけで告発が増えることもある。

DSP(Demand Side Platform)

インターネット広告において、広告主の効果の最大化を目指すプラットフォーム。広告枠の買い付けや配信、クリエイティブ分析までを自動で行い、最適化を行う。媒体側のプラットフォームSSP(Supply Side Platform)と連携しながら機能する。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること。企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること。

DMP(Data Management Platform)

インターネット利用により蓄積されるビッグデータやログデータなどを一元で管理分析し、「ターゲティング広告」などに生かすための基盤。

TOB(Take Over Bid)

株式の公開買い付け。企業買収を図る際に、株式を不特定多数の株主から公募で買い付けること。証券取引法に則り、買い取りの期間や買い取り株数、価格を公表して行われる。上場企業や、一定の条件を満たす企業の株を5%以上買う場合、TOBでの買い付けが原則。対象となる企業の同意を得ない買収は「敵対的TOB」。

ティザー広告

広告やCM、Webサイトなどで、商品の情報を全体ではなく、少しずつ公開することで、消費者やユーザーの興味や関心を引くことを意図したプロモーション手法。

ディスクロージャー(Disclosure)

企業・組織が、ステークホルダーに対して、経営活動や財務内容についての情報を開示すること。情報開示。一般的には、証券取引法に基づいて、投資家の保護を目的とした開示制度を指す。

TD net*(Timely Disclosure network)

東京証券取引所が、会社情報の広範かつ迅速な伝達を目的として運営する「適時開示情報伝達システム」のこと。一般投資家にも閲覧できるようにした電子ライブラリー。

データサイエンス(Data Science)

データから知識や知見、洞察を抽出するプロセスやシステムについての学際的な領域を指す。取り扱う領域は幅広く、確率モデル、機械学習、統計解析、データマイニング、オペレーションズリサーチ、パターン認識、予測分析、人工知能、データベース、IT技術を包含する。

データジャーナリズム(Data Journalism)

データを分析して、新たなニュースを発掘し、デジタルメディアなどで伝える新しい報道のカタチ。膨大なデータや、読み解きが難しいデータでも、デジタル・ビジュアライゼーションを駆使するインフォグラフィックスでわかりやすく伝えられるのが特徴。

データドリブン・マーケティング

顧客の行動データや市場のトレンド、売上実績などの客観的な情報に基づいて、マーケティング戦略を立案・実行・改善する手法。経験や勘に頼るのではなく、各種データを起点に意思決定を行うことで、より精度の高い施策が可能になる。

データマイニング(Data Mining)

膨大なデータの中から、ビジネスに役立つ価値あるデータや情報だけを掘り出す(マイニング)こと。インターネットやPOSから得られる属性情報やトラッキングデータなどはCRM(P.53参照)に積極的に活用されている。

データマン(Dataman)

雑誌社などで使われている呼称で、もっぱら取材や資料集めに専任し、データ原稿を作成する記者をいう。最終原稿を書くアンカーマンと区別して用いられている。

デザイン経営

ビジネスの主戦場がIoTやAIを組み合わせた新たな領域へと急激にシフトする中で、これまで以上に顧客体験の質を高めることが求められるようになり、その手段として、世界の有力企業が戦略の中心に据えているのがデザインである。「デザイン経営」とは、このデザインを重要な経営資源として認識し、活用することで、ブランド価値を生み出し、イノベーションを創出させ、企業の産業競争力向上に寄与する経営手法をいう。

デジタルネイティブ

1980~95年に生まれた「ミレニアム世代」や、1996~2015年に生まれた「Z世代」など、青年期や生まれた時からネット環境やスマホなどが普及し、その存在や使用が当たり前の世代。ただしITリテラシーには大きなバラつきもある。

デスク(Desk)

新聞や雑誌で取材・編集の指揮、入稿責任を持つ者。通常は各部の副部長・次長クラスが担当する。現場の記者に指令を出し、集まった複数のニュースを記事として作成したり、企画や編集を行ったりする。

電子情報開示(Electronic Disclosure)

企業の情報開示には法定開示と任意開示があるが、提出された開示書類について、インターネット上においても閲覧を可能とするもの。EDINET(P.44参照)により、インターネットで情報を容易に得られるようになったことから、投資家の利便性の確保や企業の負担の軽減、市場の効率化がなされた。2004年6月からは電子情報開示が原則となり、上場/店頭公開企業に開示を義務付けている。任意開示については、すでに多くの企業がインターネットにIRサイトを設けるなど個別に情報発信をしている。一部の企業では、ストリーミングやウェブ・コンファレンス、コンファレンス・コールなどの形で、リアルタイムの情報発信に取り組み始めている。

統合報告書(Integrated Report)

社会的存在としての企業の全体像を、企業の存在価値である生産活動、そこでのステークホルダーとの関係、企業活動の持続可能性などを簡潔明瞭に伝える基本的なツールとして「国際統合報告評議会(IIRC)」が提唱したもの。

統合マーケティング

(P.42「インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション」参照)

投資家面談(インフォメーション・ミーティング)

投資家向け企業説明会。企業の活動状況や決算内容、将来の展望などの企業情報を積極的に投資家に説明し、株式の保持、購買を促すもの。情報開示責任(ディスクロージャー)の浸透とともに国内外でインフォメーション・ミーティングを開催する企業が増加している。

トリプルボトムライン(Triple Bottom Line)

企業や組織が持続可能な社会の実現を目指す際に重視すべき3つの価値軸「経済(Profit)」「社会(People)」「環境(Planet)」を指す考え方。財務的成果だけでなく、社会的責任や環境への配慮も企業価値の重要な構成要素と捉え、バランスよく経営判断や広報・PR活動を設計・評価することが求められる。この概念は、SDGsやESG投資、CSR活動などと密接に関連しており、企業は統合報告書やサステナビリティレポートを通じて、経済的成果だけでなく、環境負荷の低減や社会的貢献の取り組みを積極的に情報発信する必要がある。

トレーサビリティー(Traceability)

追跡可能性。Trace(追跡)とAbility(可能性)を合わせた造語。製品の流通経路を、生産段階から、例えば食品であれば最終消費段階、家電品であれば廃棄段階に至るまで、追跡が可能な状態。とりわけ、消費者にとって、BSE問題や偽装表示、食品アレルギーなど、食の安全に関わるトレーサビリティーは生活に直結する重大事である。

ナ行の用語

ナショナル・ブランド(NB)とプライベート・ブランド(PB)

ナショナル・ブランド(NB)は、主にメーカーが開発・製造し、全国規模で流通・販売されるブランドを指す。高い認知度や品質保証、ブランドイメージを武器に、広告や販促活動を通じて市場での差別化を図ります。NBは、ブランド拡張やライン拡張、マルチブランド戦略などを積極的に展開し、消費者との信頼関係を築くことを重視する。プライベート・ブランド(PB)は、小売業者や流通業者が独自に企画・開発し、自社店舗などで販売するブランド。PBは価格競争力や独自性を活かし、NBとの差別化を図る。近年では、品質やデザイン面でもNBに迫るPBが増加しており、NBとの競争が激化している。PBはNBの成功事例を参考にした商品開発や、新規カテゴリーへの進出などを通じて、消費者ニーズに迅速に対応する柔軟性を持っている。

ナレッジ・マネジメント(Knowledge Management)

組織の目的・目標を達成するために、価値創造に結び付く知識を発見し、理解し、共有し、活用する体系的なアプローチ。適切な時期に適切な人が、知識をスムーズに移転し、活用できるようにする効果的な仕組みを構築し、運営すること。部門横断的な諸問題の解決、過去の業務実施方法に固執する現場の意識変革、他社の成功事例を自社の社風に合致した形で導入する前提となるフレームワークの提供などに効力を発揮する経営変革手法で、米国において導入が進んでいる。

ニュースリリース(News Release)

企業活動で発生するニュース素材を報道機関に知らせるために、その内容を簡潔にまとめた通信文書のこと。パブリシティー活動の最も代表的な手法となっている。

「認知的不協和」仮説

1957年に社会心理学者のフェスティンガーにより提示された仮説。人は自分の行動や信念に矛盾する情報に直面すると不快感(認知的不協和)を覚え、それを避けたり、自分の選択を正当化する情報に接触することで不協和を低減しようとする行動。広告やメディアはこの心理を利用し、既存の態度を補強する役割を果たす。

ネイティブ広告(Native Advertising)

デザイン(見た目)、メッセージ(機能・文脈)、導線(リンク後の体験)を含めて、自然な形でメディア上の周囲のコンテンツに溶け込ませることで、生活者に不快感を与えず自然に情報を届ける広告手法。JIAAのガイドラインでは「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告を指す」と定義。

ネーミング・ライツ(Naming Rights)

施設命名権。競技場やホール、公園、美術館など公共的集客施設に企業名や商品ブランド名などの名称を付けることができる権利。企業側は企業/ブランド名を訴求する効果を期してこの権利を購入する。国や地方自治体の財政状態が厳しくなるにつれて、施設の所有機関がこの権利を企業などに販売し、運営資金などに充当するケースが増えている。

ネット・コンシューマリズム

インターネット上で消費者の権利や主張を展開する新しい消費者運動の形態を表す造語。インターネットというメディアの特性により、個人からマスへ直接の情報発信が可能になったことや、特定の問題が短期間に加速度的に広がることがこの形態を可能にした。従来マスメディアが果たしていた情報発信の役割をコンピューター・ネットワークが果たすことになったが、情報の発信者の匿名性や真偽の検証が困難であることなどの問題点も指摘されている。

ハ行の用語

パーセプション・ギャップ(Perception Gap)

認識のずれ。外交上では互いの国に対する認識の違いを指すが、PR/IRにおいては、企業とステークホルダーの間で“自分の考える自分”と“他人の考える自分”の認識の差を指す。このギャップは企業にとって潜在的なリスクであり、ギャップ解消のためのコミュニケーション活動は非常に重要なPRの役割である。

パーソナル・コミュニケーション(Personal Communication)

マスコミュニケーションに対比される概念で、電話や私信、会話など個人間のコミュニケーションのこと。広報的には、コーポレート・コミュニケーションを個人(社員)レベルで実践する企業コミュニケーションのひとつとする場合が多い。

バズ・マーケティング(Buzz Marketing)

「口コミ」を活用したマーケティング手法。バズとは、もともと、ハチなどが飛ぶ時のブンブンいう羽音のこと。それから転じて、ワイワイガヤガヤとしたうわさや世間話を指す。インターネット上では、ブログやSNSを介して、企業やその製品・サービスなどの情報が、企業の知らないところで飛び交っている。”バズ” のメカニズムを分析し、情報をコントロールすることによってマーケティングに役立てようというものである。バイラル・マーケティング(Viral Marketing)も同義。バイラルとはウイルスのことで、ウイルスが伝染していくように情報が拡散していく様を表している。

働き方改革

働き方改革自体は目的ではなく、その目的・手段の総称。個々の多様で柔軟な働き方と、事業・企業成長を加速させる働き方双方の実現を目指す。長時間労働の是正、ダイバーシティー推進、生産性向上、イノベーションの促進など、企業や組織の課題に応じ、目的が設定される。主として、制度・ルール、オフィス、IT・インフラの3つの観点で総合的な取り組みが必要。

パブリシティー(Publicity)

企業や団体が、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各種の媒体(客観的な報道機関)に対して、その意図している方針、商品の特質などの情報を自主的に提供することにより、対象媒体の積極的な関心と理解のもとに、広く一般に報道してもらう方法、およびその技術。

パブリック・アフェアーズ(Public Affairs=PA)

企業と社会との緊張関係を処理し、緩和しようとする活動。具体的には、社会を構成する各種環境主体(消費者、地域社会、行政、報道機関など)との積極的コミュニケーション手段をいう。PAの基本的ステージとしては、①社会の動向を分析し、企業の意思決定に反映させる、②企業の状況、意思決定、意見などを社会に積極的に知らせていく、③社会に貢献する活動を計画し実践する、の3つの段階がある。1970年代以降に顕在化した、企業と消費者の緊張関係を背景に、パブリック・リレーションズに代わる概念としてアメリカで使われるようになった。

パブリック・インボルブメント(Public Involvement)

元来、アメリカの都市再開発においての住民参加システムを指す。行政側が計画に関する議論のたたき台をキックオフレポートとして準備し、それに対する住民の意見をボイスレポートとしてまとめ、双方を踏まえた有識者などの意見をもとに新しい計画を立案、公表する。日本では、1998年の建設白書に初めて盛り込まれ、街づくりの意思決定に市民が参加する仕組みができ、2002年の都市計画法改正などでの住民参加の動きにつながっている。地方自治と広報の役割を考えるうえでも重要な仕組み。

バリュー・クリエイション・マーケティング(Value Creation Marketing)

顧客の消費価値、従業員の労働価値、企業の存在価値という3つの価値要素を創造していくことがマーケティングの基本であるという理念。従業員の労働価値を強調していることがこれまでのマーケティング理論との大きな違い。サービスを提供する従業員の知識や能力、モチベーションがサービスのクオリティーに大きな影響を与えることから、従業員満足を重視するマーケティング理論として注目されている。

バルセロナ原則3.0(Barcelona Principles)

AMEC(P.72参照)と米のPR研究所IPR(Institute for Public Relations)が2010年6月に開催した「第2回効果測定に関する欧州サミット」で、AMECが提唱したPRの効果測定に関する7原則。2020年に改定され、「バルセロナ原則3.0」となった。(1)ゴールの設定は、コミュニケーションのプランニング、測定、評価に絶対的に必要なものである。(2)測定と評価はアウトプット(施策の成果)、アウトカム(目標に対する成果)に加え、潜在的なインパクトを明らかにすべきである。(3)ステークホルダー、社会、そして組織のために、アウトカムとインパクトを明らかにすべきである。(4)コミュニケーションの測定と評価は、質と量の両方を含む必要がある。(5)広告換算はコミュニケーションの価値を測定するものではない。(6)包括的なコミュニケーションの測定と評価には、オンラインとオフラインの両チャネルを含む。(7)コミュニケーションの測定と評価は、学びとインサイトを導くため、誠実さと透明性に基づくべきである。

PRイベント

主に企業のイメージアップを図る目的で開かれる、文化・スポーツ催事や発表会、展示会、講演会などの総称。メディアで報道されることで、さらに効果が高まる。コロナ禍で非対面のオンライン開催も増えた。

PR誌

企業や行政機関、各種団体などが、自社製品の販売促進やその理念、企業活動を地域住民や社会に広く伝えるために発行している媒体。パブリック・リレーションズ(PR)の一環として、ステークホルダーと良好な関係を築くためのコミュニケーション活動として行われる。

BCP(Business Continuity Plan)

企業が災害や事故などの不測の事態に見舞われても、重要業務を可能な限り中断させず、中断した場合においても、目標とする復旧時間内に重要事業を復旧させるための計画(事業継続計画)。BCP策定に際しては、以下の5点を明確にする。①優先して継続すべき中核事業の特定、②緊急時における中核事業の目標復旧時間の決定、③緊急時に提供できるサービスレベルの協議、④事業拠点や生産設備の代替案の用意、⑤従業員との事業継続についてのコミュニケーション。これらの対策と、教育訓練を通した改善活動を実施することで、常に経営環境に即したBCPを維持できる(=BCM)。

PDCAサイクル

業務改善や品質管理に用いられる継続的な管理手法で、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」の4段階を繰り返すことで、目標達成とプロセスの最適化を図る。

PBR*(Price Book-Value Ratio)

株価純資産倍率。株価を1株当たり純資産(BPS)で割ったものであり、株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを示す。一般にPBRが1を割っている企業は「解散価値(企業が解散するときに株主が受け取る価値)」を下回っており、著しく割安だと評価される。

ビッグデータ(Big Data)

実社会における人の活動やモノの動きから得られる、膨大で多種多様なデータのこと。各種センサー類やスマートフォン・携帯端末などから、高頻度、リアルタイム(Velocity)に収集・蓄積されるデータは、多種多様(Variety)で、大量(Volume)である。解析することで人や社会の実態を把握でき、価値(Value)が生まれる。データサイエンティストの存在も注目される。ビジネスや社会貢献への活用が期待されているが、個人情報や行動履歴などへの配慮が課題となっている。

ファクトチェック

真偽の不確かな情報や言説を検証し、正確か、事実に基づいているかなど、調査結果を明らかにする取り組み。ニュースや情報だけでなく、政治家の発言などもチェック対象となる。日本では大手ニュースサイトなどが支援する非営利団体・FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)が普及活動に取り組み、全国紙なども賛同している。

ファクトブック(Fact Book)

会社の経営内容や財務状況、業界におけるポジショニングなどの事実関係(ファクト)を図表などを使って客観的に記載した冊子。会社案内の一種だが、アナリストや機関投資家、報道機関などを対象に、年に1回発行される。最近は、会社の沿革や関連市場の動向なども収録した手帳サイズのファクトブックを社員向けに作成するところも出ている。

ファンド・マネージャー(Fund Manager)

投資信託の対象銘柄選定や売買タイミングの決定を行う運用担当者。顧客から集めた巨額の資金を運用する責任者として高い専門性が求められ、優れた運用実績を発揮するファンド・マネージャーはスタープレイヤーとして厚遇されている。

VI(Visual Identity)/BI(Brand Identity)

VI(Visual Identity)は、企業やブランドの視覚的な統一感を示す要素であり、ロゴや色、フォントなどを通じて印象や認知を形成する。BI(Brand Identity)は、企業の価値観や理念、個性を表す概念で、顧客との関係性や信頼構築の基盤となる。

フィンテック(FinTech)

金融を表す「Finance」と技術「Technology」を組み合わせた造語。従来はクレジットカード決済には専用の端末が必要だったが、スマートフォンを使うことで可能になった機能や、資産運用、ビッグデータ、AI(P.43参照)などの最新技術を駆使した金融・財政サービスを指す。

風評被害

根拠のない噂のために受ける経済的被害のこと。社会に広がる噂やデマなど、マスコミによる事実誤認・憶測・誹謗中傷などの報道は、企業にとって大きなリスクとなる。金融商品取引法(2006年に証券取引法から改題)では、投資家が投資判断するために企業情報は十分に開示されなければならないと規定。一方で「風説の流布」と呼ばれる、投資家の投資判断を惑わすような虚偽の情報や未確認情報を流す行為は禁じられている。違反すると10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処される。企業は「風説の流布」の動きを知ったとき、証券取引等監視委員会に通報することができる。

フェアトレード

従来の貿易とは異なるアプローチで開発途上国の原料を適正な価格で継続的に購入することで、立場の弱い生産者や労働者の生活改善と自立を支援する活動のことを指す。フェアトレードを通じ、生産者は将来の計画を立て、生活を改善する機会ができる。生活の安定は、より良い原料や製品提供を促し、消費者にもメリットがある経済システムとして、生産者と消費者をつなぐ、「貿易のパートナーシップ」とも言われる。

フェイクニュース(Fake News)

メディアで意図的に発信・拡散される、事実ではない虚偽のニュースのこと。正確性を見極めるためには、日付や著者、情報ソースを確認することなどが必要とされる。

フォトセッション

芸能人などセレブリティ(広く注目されている人物)が出席する記者発表会などの広報・PRイベントの最後で、パブリシティー用の写真を撮影する場面、時間を設定すること。イベントに参加するメディア関係者の注目を集めることにより記事や放送への露出の機会を獲得し、パブリシティー効果を高めることが狙いである。企業や製品などのロゴマークが市松模様に配置されたバックパネルを用意し、その前で実施されることが多い。

ぶら下がり(取材)

会見など公式な取材を受けない相手を、記者が追いかけながら話を聞くこと。相手が立ち止まれば「囲み(取材)」となる。ただし近年は、取材対象者が移動経路にあらかじめ設定された場で立ち止まり、短時間の取材に応じるケースも「ぶら下がり」と呼ぶようになった。

ブラック・ジャーナリズム(Black Journalism)

相手の弱みに付け込み、取材した情報を利用して利益を得ようとするジャーナリズム活動。

プラットフォーマー

GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon の総称)をはじめとするネット上のプラットフォームを提供するIT企業のことを指す。自らのプラットフォームで事業をするため、競争環境が歪められたり、競合を回収していくことでデータを独り占めして肥大化していく。こうした問題を防ぐために、主要各国では、規制や解体に関する論議が活発になっている。

ブランドアクティビズム

企業やブランドが自らの価値観や政治的スタンスを表明し、社会変革を目指す積極行動主義。昨今、国によって、さまざまな社会課題があるが、ブランドも社会変革に参画することにより社会により良いインパクトを与えブランドイメージを向上させようとする事。

ブランド・エクイティ(Brand Equity)

企業や製品のブランドが持つ無形の資産価値を指し、消費者の認知、信頼、イメージ、ロイヤルティなどがその構成要素となる。これは単なるロゴやネーミングの印象ではなく、ブランドが市場や生活者に与える影響力や競争優位性の源泉であり、企業の長期的な利益や株主価値にも直結する重要な概念となる。

ブランド・ジャーナリズム(Brand Journalism)

ブランド(=企業)自らが取材をし、編集した記事やストーリーを自らのウェブサイトやソーシャルメディアなどを通じて、直接生活者に発信していくことで、ブランドがジャーナリスティックな視点と手法で情報を拡散することを意味する。

ブランド・マネジメント(Brand Management)

ブランドに企業理念、哲学、ビジョンといった経営要素を持たせ、それを育成・確立していくことで主体性を持った市場戦略を展開する経営手法。企業活動のグローバル化に伴う競争の激化や企業のガバナビリティーがより重要視されてきたことなどが“強いブランド”の重要性を高めている。ブランドの価値を数値化するブランド・エクイティーの概念は、企業価値や株価に大きな影響力を持つ。

ブランド・ロイヤルティ(Brand Royalty)

消費者が特定のブランドに対して継続的な支持や愛着を持ち、繰り返し購入・利用する態度や行動を指す。広報・PR活動やマーケティング・コミュニケーションの成果指標として重視されている。ブランド要素の一貫性(ロゴ、カラー、スローガンなど)や卓越した品質・イメージ、顧客体験、情緒的・社会的価値の訴求によって醸成され、広報・PRの実務では、ターゲット設定やストーリーテリング、SNS活用、体験型イベントなどを通じて、ブランドへの共感と信頼を育てることが求められる。ブランド・ロイヤルティの評価には、リピート率、推奨意向(NPS)、ブランドイメージ調査などのKPIが活用され、施策の効果測定にも組み込まれている。

ブリーフィング(Briefing)

要領報告。企業などがマスコミに対して行う状況説明。レクチャーと同義語。

フリーペーパー(Free Paper)

広告収入だけで制作され、無料で配布されている新聞。大手新聞社や地域に根ざした企業などが配布地域を限定し、地域の生活情報を提供する場合が多い。

プレスウォッチ(Press Watch)

緊急事態の発生時などに時々刻々と変化する報道内容をその都度モニターし、マスコミの論調を掌握すること。通常の報道記事分析と使い分けて用いられることが多い。メディアウォッチングとも。

プレスキット(Press Kit)

ニュースリリースをはじめ、関連する資料・写真などを添付したファイル、またはその資料一式。通常のパブリシティー活動ではあまり使わないが、新製品発表などの記者会見では記者の便宜を図るために用意する場合が多い。

プレスキャラバン

企業または業界団体、自治体などが、重要な広報課題をマスコミ関係者に訴求するために、相手先を巡回訪問して説明する活動。キャンペーンやイベントなどのPR活動で実施することが多い。訪問先で記者に対して、プレゼンテーションやデモンストレーションなどを行うことにより記事掲載に結びつけてゆく。キャラバンの対象範囲は広報課題により決定する。

プレスプレビュー(Press Preview)

話題性のあるイベントや展示会の開催、公共施設や大型建造物の竣工、テーマパークやミュージアムのオープンなどに際して、一般公開や本格稼働に先駆けてマスコミに公開し、その事実を記事として報道してもらう手法。「記者向け内覧会」などとも呼ばれている。

プレスランチョン(Press Luncheon)

企業活動に対する理解促進のために実施するメディアリレーションズの1つ。経営幹部がマスコミと懇親し、相互理解を深める目的で昼食などをともにすることをいう。

プレス・リレーションズ(Press Relations)

マスコミ・報道機関との関係を密接にし、相互理解を進め好意的な報道を期待する活動。日常からの人間関係、パブリシティー記者会見、懇談会、ニュースリリース、PR誌の配布、工場見学などいろいろな方法がある。

ブロック紙(Block Paper)

日本の新聞は、幅広いニュースを扱う一般紙と、特定の業界やテーマを扱う専門紙(業界紙)に大別されるが、一般紙のうち、全国をカバーするものを全国紙、特定の地方をカバーするものを地方紙と呼ぶ。地方紙の中でも、北海道全域をカバーする北海道新聞や中部地方をカバーする中日新聞、九州をカバーする西日本新聞のように、より広い範囲をカバーする発行部数の多いものをブロック紙と呼んでいる。

「プロバイダー責任制限法」改正

正式には「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」。2021年4月に改正法が成立。SNSでのひぼう中傷による被害を防ぐため、投稿者に関する情報開示を速やかに進める新たな裁判手続きを創設した。従来はSNSの運営会社と投稿者が利用するプロバイダー(接続業者)に、それぞれ裁判手続きが必要だったが、改正法では一元化された。プロレスラーの木村花さんがSNS上でひぼう中傷を受け、自殺した問題をきっかけに、総務省の有識者会議で改正の議論が進み、実現した。

プロパガンダ

ロシアのウクライナ侵攻に絡んで再注目された。狭義では、国家が自らの正当性を主張するために仕掛ける情報戦。異論を封じるため、内向けには情報統制を伴うことが多い。

プロボノ(Pro Bono)

ラテン語のPro Bono Publico(公共善のために)に由来し、社会的・公共的な目的のために仕事で培ったスキルや経験を活かしたボランティア活動を意味する。一例として、NPOなどを対象に、効果的なウェブサイトやパンフレットの制作を支援することがあげられる。

ペイド・パブリシティー(Paid Publicity)

記事体広告ともいう。新聞や雑誌などの広告スペースを購入し、企業の文化性や社会性などをアピールする目的で記事風の広告を出稿すること。広告の一種だが、広報活動の一環としてとらえられている。

ペインポイント

顧客の悩みの種のこと。仕事や日常生活での不便や不満、無駄な時間や労力と感じていることのうち、対価を払っても解決したい需要を指す。ビジネス、特に新規事業を考える視座としては、濃淡のある「ニーズ」より、切実さという意味でむしろ重要とされる。悩みを知ることなしに解決案は提案できず、米シリコンバレーのスタートアップ企業ではこの考え方が浸透しているという。

PESO(Paid, Earned, Shared, Owned)

統合メディアコミュニケーションのフレームワーク。Pは Paid media で「買う」メディア(広告やイベントのスポンサーシップなど)。Eは Earned media で「獲得する」メディア(ニュースメディアにおけるパブリシティなど)。Sは Shared media で「共有される」メディア(ソーシャルメディアやブログなど)、Oは Owned media で「所有する」メディア(コーポレートサイト、ブランドのソーシャルメディアアカウント、広報誌、店舗やミュージアム施設など)。

ヘッジファンド(Hedge Fund)

富裕層や機関投資家から資金を集め、ハイリスク・ハイリターンの運用をする投資組織のこと。相場が思わぬ方向に動いたときのリスクヘッジ(危険回避)になると言われる一方、大きな損失が生じる可能性もある。

編集権(Editorial Rights)

新聞の公共目的(編集方針を決定し、報道の真実を確保し、論評の公正を図り、適正に公表する)を達成するために必要な、一切の管理的機能をいう概念。1948年に日本新聞協会が発表した「新聞編集権の確保に関する声明」によると、「編集内容を理由として、印刷・配付を妨害する行為は、編集権の侵害である」としている。同様な主旨で、放送分野の用語に「編成権」がある。

放送倫理基本綱領

日本放送協会(NHK)と日本民間放送連盟が1996年に定めた放送に関する倫理規定。放送の公共性を重んじ、社会的影響の大きさを自覚して、公正を保持し適正で品位ある表現を心がけること、報道は事実を客観的かつ正確、公平に伝えること、民間放送の場合は広告の内容が真実であり視聴者に役立つように注意を払うことなどをうたっている。

報道分析

新聞や雑誌などのメディアで報道された記事の件数や、その内容を定量的かつ定性的に分析すること。露出状況から広報活動の課題を明確化し、課題解決への活用が目的とされる。具体的には、記事傾向や論調のウォッチング、インプット(情報発信)に対するアウトプット(露出)の確認、ベンチマークとの露出状況の比較、そして露出状況の定点観測などを行う。最近は、件数やスペースに写真掲載や1面での扱いを加えた「露出指数」や、記事の論調にブランド報道やCSR報道を加えた「論調指標」、さらに記事を広告と見なした場合の「広告料金換算値」を算出し、これらの数値に基づいて「広報効果測定値」を算出するところも出ている。

ポジションペーパー(Position Paper)

「立場表明書」の意味。クレームトラブルが発生した時、クレームの相手と見解の相違や意見の対立などが起きた場合に、事態の発生から直近に至るまでの経緯を時系列にまとめた報告書。その時々の対応や話した内容、相手の主張や要求などを詳細に書き込み、相手側の一方的な主張に対して、その相手をはじめ、マスコミや消費者団体などの第三者へ会社側の正当性を主張するために用いる。公正で透明性があることを訴求できる内容にするため、相手側の主張や論点も時系列に沿って書き込み、その上でこちら側の反論、主張を明示し、会社側の正当性をアピールしていくことが大切となる。

ホワイトペーパー(白書)

企業もしくは団体が特定のテーマについてまとめた報告書。もともとは政府が発行する年次の公開報告書を指す言葉だったが、近年では企業が自社で行った統計調査の結果や技術資料、市場の動向、事例集などを整理し、ホワイトペーパーとして定期的に発信されている。メディアや業界関係者に向け、企業の専門性や取り組みを広く伝える手段として活用されている。

マ行の用語

マーケティング・ミックス(4P)

製品やサービスを市場に効果的に提供するための基本的な戦略要素を体系的に整理したフレームワーク。企業が顧客に価値を届けるために考慮すべき4つの要素「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」から構成される。「Product(製品)」は、顧客のニーズを満たす商品やサービスそのものを指す。製品の機能や品質、デザイン、ブランド、パッケージ、保証などが含まれ、顧客にとって魅力的であることが重要となる。「Price(価格)」は、製品やサービスの販売価格に関する戦略。価格は顧客の購買意欲に直接影響を与えるため、競合との比較やターゲット層の購買力を踏まえた設定が求めら、割引や支払い方法などもこの要素に含まれる。「Place(流通)」は、製品を顧客に届けるためのチャネルや仕組みを指す。店舗販売、オンライン販売、代理店、物流などが含まれ、顧客が製品を手に入れやすい環境を整えることが目的となる。「Promotion(プロモーション)」は、製品やサービスの認知度を高め、購買を促進するための活動。広告、販売促進、PR、SNS、イベント、口コミなどが含まれ、ターゲットに合わせた効果的な情報発信が求められる。この4つの要素をバランスよく設計・運用することで、企業は市場での競争力を高め、顧客との関係を築くことができる。

マクロ環境とミクロ環境

ミクロ環境は企業が直接コントロール可能な要因であり、「自社」「供給業者」「仲介業者」「顧客市場」「競合他社」「利害関係集団」などが含まれる。マクロ環境は企業が直接コントロールできない外部要因であり、「人口動態」「経済」「自然」「技術」「政治」「文化的要因」などが挙げられる。マーケティング戦略は、短期的な施策(例:競合対策、顧客ニーズ対応)に活用されるミクロ環境分析に加えて、長期的な方向性(例:新市場参入、製品開発方針)を決定する際にマクロ環境の動向を予測することで中長期的な成功につながるとされている。

マスコミサーベイ(Mass Communication Survey)

企業が担当記者などの報道機関に対して行う戦略調査。企業イメージや広報活動に対する評価を調べ、課題を抽出することで、広報活動の見直しや経営戦略の立案に役立てることを目的にしている。マスコミサーベイは定点観測やベンチマークとの比較が大切であり、2~3年に一度の割合で定期的に実施することで、企業イメージの変化や広報活動に対する評価がより鮮明に浮かび上がってくる。

メディアトレーニング(Media Training)

マスコミの状況を把握し、スムーズなインタビュー対応などを実現するために、経営陣や広報担当者に対して講習・訓練を行うこと。

モラル・ハザード(Moral Hazard)

道徳的危険。もともとは保険用語。企業が反社会的な行動をした際に、「経営倫理の欠如」として論じられるようになった。

ヤ行の用語

UI/UXデザイン

UIとは User Interface の略で、人とモノ(デバイス)をつなぐ接点となる外観やデザインなどのこと。スマートフォンに表示される画面ボタンはその一つ。UXは User Experience の略で、サービスや製品を使う際に得られるユーザー体験を示す。実際にユーザーが接触する部分を設計するのがUIで、ユーザーが取り巻く環境全体を設計するのがUXとも言える。UXはUIを包括する概念とも考えられている。

USP(Unique Selling Proposition)

競合他社にはない「自社だけが提供できる独自の価値や強み」を明確に示すマーケティングの概念。消費者が数ある選択肢の中から自社の商品やサービスを選ぶ理由を具体的に伝えるためのもの。たとえば、ある製品が「業界最速の配達時間」や「唯一無二の素材を使用している」といった特徴を持っていれば、それがUSPとなる。

ユニバーサル・デザイン(Universal Design)

言語や文化、性別、年齢などの違いや能力の差、障害の有無などを問わず、誰もが容易に利用できる商品やサービス、機能、情報、設備をデザインすること。障害者を対象としたバリアフリーの概念を発展させたもので、「できるだけ多くの人々が利用可能なようにデザインすること」がその基本コンセプトである。ノースカロライナ州立大学で提唱されたユニバーサル・デザインの7原則とは①誰でも公平に使えること②使ううえで自由度が高いこと③使い方が容易でわかりやすいこと④必要な情報がすぐにわかること⑤うっかりミスが危険につながらないこと⑥身体への負担が少ないこと⑦接近や利用のための十分なスペースを確保すること-である。

4C分析

マーケティングや広報・PR活動において、顧客視点から戦略を立てるためのフレームワーク。従来の「4P(Product, Price, Place, Promotion)」が企業側の視点であるのに対し、4Cは消費者中心の考え方に基づいている。具体的には、Customer Value(顧客価値)、Cost(顧客が負担する費用)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの要素で構成される。信頼関係の構築やブランド価値の向上に直結するため、単なる情報発信ではなく、顧客との双方向の関係性を築くことが重視され、特に「Communication」の役割が重要視される。

ラ行の用語

ライフサイクル・アセスメント(Life Cycle Assessment=LCA)

製品の生産から廃棄まで、あるいは企業活動の影響がおよぶすべての範囲で、一貫して資源枯渇量、廃棄物の内容、環境への負荷などを定量的に調査、分析、評価すること。環境管理標準規格ISO14000シリーズの中核を成す規格(ISO14040)。企業活動が環境に与える影響を把握し、最小限に食い止めることを直接の目的とする。

リアルタイム・マーケティング(Real-Time Marketing)

もともとは「その時点で顧客が何を求めているかを把握して、最も効果的な情報を送るマーケティング手法」。ソーシャルメディアが普及した昨今では、ソーシャルリスニング(P.58参照)をもとに、多くのユーザー間で瞬間的に盛り上がっている話題を捉え、瞬時に関連づけた形で企業・ブランドメッセージを届ける意味合いで使われることも多い。

リーク(Leak)

「漏れる」(Leak)という意味からニュースとなるような情報を特定の報道機関に流すことをいう。社会的な反響を見るために意図的に情報が漏らされることもある。

REIT(不動産投資信託)(Real Estate Investment Trust)

投資家から集めた資金で不動産を運用し、賃貸料、売却益などの収益を分配する投資信託。

リスク・マネジメント(Risk Management)

危機管理。環境の変化、事故、災害などが発生した事態を想定し、それぞれの事態に対応した策を講じておくこと。不測の事態の例としては、国際関係、政治的、経済的、社会的、業界、社内的、自然界の変動や法的規制がある。広報においては日ごろから可能性の高い緊急時を想定し、社内広報体制、確認事項と発表内容、報道関係者への施設提供、電話対応、緊急時の連絡リストなどをまとめた緊急広報マニュアルを作成しておくことが望ましい。

リスティング広告

インターネット上の運用型広告の一種。ユーザーのキーワード検索やサイト履歴などの行動に連動して表示される。検索連動型広告。

リッチメディア広告

インターネット上の広告に、音声や動画を用いたり、ユーザーからの応答を受け付けられる仕組みを付加したもの。Webページ上に配されるバナー形式とメール送付形式の二種類が一般的。アンケートに答えられるようになっているなど、インタラクティブ性が付加されていることも多い。サイトの上部に表示される「ビルボード」、Web面を門型に囲むように配置される「エントランスアド」、比較的大型の正方形に近い形で表示される「レクタングル」などがある。

リレーションシップ・マーケティング(Relationship Marketing)

新規顧客獲得を主眼としたマーケティングに対して、特定の顧客との間で、より良好な関係を構築しようというマーケティング手法のこと。顧客の関心や興味の所在を把握し、それにマッチした商品やサービスを効果的に提供する。顧客との長期的な関係構築を目指すという意味で、ライフタイムシェアの発想と呼応するもの。この手法を可能にしたのはインターネットをはじめとした通信技術の発達である。データベースによる顧客情報管理やeメールによるダイレクトコミュニケーションが、マスを対象にしながら、顧客別にきめ細かく対応することを可能にした。

®マーク(Registered Trademark)

登録商標。一般にマルアールと呼ばれ、登録された商標であることを表示している。関連した用語にサービス・マーク、©マークがある。サービス・マーク(Service Mark)とは、運輸・金融・飲食業など、いわゆる「サービス」を提供する会社が、自社の業務内容を他社と区別するためのマーク(標章)。これに対し商標は他社の「商品」と区別するためのマーク。1992年から商標と同じく商標法で保護されている。©マーク(Copyright)は版権登録、著作権所有の意味。一般にマルシーと呼ばれ、著作権を所有していることを意味している。

レジリエンス

困難やストレスに対して耐え、回復し、成長する能力。組織のレジリエンスは、企業の評価指標の1つで、不測の事態や変化に対して、迅速かつ適切に対応できる能力を指す。自然災害やテロ攻撃、経済危機など、様々なリスクに対して、事前に計画を立て、迅速な対応を行うことが求められる。さらにレジリエントな企業は従業員の健康管理やコミュニケーション力の向上、製品・サービスの品質管理など、総合的な経営力の強化も必要とされている。

レピュテーション・マネジメント(Reputation Management)

企業の評判向上のための戦略的な取り組みのこと。評判とはステークホルダーが企業に対して抱く評価であり、ステークホルダーの間で共有され、広く社会に流通する。その意味で、好評判獲得とは、ブランドの確立と同義である。

レベニュー(Revenue)

本来は収入、所得を意味するが、欧米のPR業界専門誌が毎年発表しているエージェンシーランキングは米国会計基準に基づくレベニューが基礎となっている。日本では売上高でランキングを示すことが多いが、欧米のPR会社のランキングはフィー収入にマークアップ(仕入原価への上乗せ分=営業管理費)を加えたものとなっており、日本の売上総利益や粗利に近い数字となる。

ROI(Return on Investment)

投資利益率の略で、広報・PR活動における費用対効果を測るための指標。具体的には、「リターン÷投入コスト」で算出され、マーケティングROIの場合は「売上総利益÷マーケティングコスト」として計算される。売上総利益は、売上高から売上原価とマーケティングコストを差し引いたものであり、ROIが高いほど効率的な投資であったことを意味する。

ロイヤルカスタマー

「ロイヤルカスタマー」は、企業やブランドに対して高い忠誠心を持ち、継続的に商品やサービスを利用し、他者にも積極的に推奨する顧客を指す。広報・PRの文脈では、こうした顧客は単なる購買者ではなく、ブランドの価値を広める「共創者」として位置づけられ、企業との関係性を深める重要な存在。これに対して「トライアルユーザー」は、製品やサービスを試用している段階の顧客であり、まだ継続的な利用やブランドへの忠誠が確立されていない状態。体験を通じて満足度が高まれば、ロイヤルカスタマーへと育成される可能性がある。一方、「潜在顧客」は、まだ商品やサービスを認知していない、あるいは興味はあるが行動に移していない層を指す。広報・PR活動では、まず潜在顧客に情報を届けて関心を引き、トライアルユーザーとしての体験を促し、最終的にロイヤルカスタマーへと導く流れが理想的な顧客育成プロセスとされている。

ロイヤルティー(Royalty)

キャラクターや作品などの商品化権許諾契約の際に、ライセンサー(許諾者)とライセンシー(被許諾者)の間で決定される著作権や特許権の使用料。出版業界の印税と同様にロイヤルティー方式がとられ、商品価格に対し一定の率が設定される。支払い方法はさまざまで、一括払いや売り上げ(収益)における一定割合の使用料(ランニング・ロイヤルティー)を定期的に支払う場合などがある。

LOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainability)

健康と環境を重視した新しいライフスタイル。その顕著な特徴として、エコロジーや教育に関心が高く、自己啓発意欲や知的好奇心が旺盛、全地球的な発想から無理や無駄を省く、宗教や人種に左右されない商品を嗜好する、健康管理に気を遣う、企業の社会的責任を重んじる、などの傾向を持つ。その中核となる人々をカルチュラル・クリエイティブズ(生活創造者)と呼ぶ。

ロビー活動(Lobbying)

企業や団体の意見や要望を、議会や政府の関係者に働きかけること。ガバメント・リレーションズにおいて重要な役割を果たす。こうした働きかけをする人をロビイストと呼ぶ。米国ではロビイストは登録制で、活動内容の報告義務を負っている。

論調分析

メディアやSNSなどにおける発言や記事の内容を収集・分類し、それらが肯定的・否定的・中立的のいずれかであるかを評価する手法。企業や団体の評判や世論の傾向を把握し、広報戦略やリスク対応に活用されている。

ワ行の用語

ワイヤーサービス

ニュースリリースなど企業・団体が開示する情報を、世界各地のメディア、財務情報の情報開示システム、投資家、ポータルサイトなどへ配信するサービスで、日本では数社が行っている。近年では市場のグローバル化に伴い、メディアや大企業のみならず、ベンチャー企業や中小企業、各種団体も利用することが増えている。

ワン・トゥ・ワン・マーケティング(One to One Marketing)

市場のシェアを求めたマス・マーケティングに対して、特定の顧客との関係を重視し、より深い関係の構築を目指すマーケティング手法。背景には顧客のニーズの多様化やパソコン・ネットワークの進歩によって顧客と双方向でのコンタクト、継続的な関係作りが可能となったことがあげられる。