公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)は、“ひとり広報”の当事者と有識者が集まり、“ひとり広報”の現状と将来について語り合うMEET UPイベントを20231030日(月)に開催いたしました。

先日協会より発表した「“ひとり広報”実態調査」のデータから現状を浮き彫りにし、当事者ご本人に体験を語っていただくとともに、“ひとり広報”をテーマとする書籍を出版している著者も交えたパネルディスカッション、さらには参加者同士の交流会を実施。会場とオンラインのハイブリッド開催で、非会員を含む66名に参加いただきました。

“ひとり広報”だけでなく、組織的に広報活動を行っているご担当者にとってもヒントが散りばめられていた当日のイベントの模様をレポートいたします。

左からセコム竹内さんとリスト田尻さん

多様な“ひとり広報”の姿を、調査レポートと実例で共有

はじめに事務局長の青田浩治より、20232月に実施した「“ひとり広報”実態調査」レポートを元に解説。経営トップの広報の理解や広報予算、他部署との連携状況や、ひとり広報のメリット・デメリットを共有し、多様な“ひとり広報”の姿が浮き彫りになりました。(結果レポートの詳細はこちらからご覧ください)

続くプログラムでは「“ひとり広報” 事例紹介」として、リスト(株) 広報部次長の田尻有賀里さんと、セコム(株) コーポレート広報部担当課長の竹内昭彦さんがご登壇。田尻さんからは、ゲーム業界から不動産業界まで、ひとり広報として広報立ち上げを経験してきた実例を元に「少人数での広報機能で成果を最大化するコツ」をテーマにお話いただきました。

広報で成果を出すためには社内からの情報収集や協力を得ることがとても重要です。そして、市民権を得るためには広報の目的をトップと握ること。そうすることでキーパーソンとの信頼関係が構築できるようになります。業種や規模に関わらずインナーコミュニケーションは共通して大切なことだと思いますね(田尻)

続いて竹内さんからは「実質ひとり広報だった担当者がPRSJの正会員になるまで」をテーマに、セコム社にてどのように広報への学びに目覚め、PRSJに出会ったのかというお話をいただきました。

前任だった広報のキーマン退職をきっかけに、必要に迫られて外部のセミナーや勉強会に参加し始めました。今までのやり方は正しいのか?と疑問を持ちながら、学んだ施策を実行して成果が出始めるとだんだん面白くなっていきましたね。念願叶って日本パブリックリレーションズ協会に入会しましたが、まだまだ勉強だと思っています(竹内)

これからの“ひとり広報”をどう展望するか

プレシャスパートナーズ北野さん

事例紹介を終えた後は、『人のつながりで成果を呼び込む!ひとり広報』著者である()プレシャスパートナーズ 執行役員CMOの北野由佳理さんをスピーカーとしてお招きし、PRSJ理事の渡邊香織がコーディネーターを務めるパネルディスカッションを実施。

調査結果でも表出していた“成果を数値化しにくい”という課題や、“経営TOPへの理解をどう促すか”という問いについて、各々の実体験に則した的確な回答をいただきました。

定量数を追うのであれば掲載数だけでなく、自身で目標達成が可能であるリリース数やメディア開拓数なども指標におけると良いですね。また、広報である前にいち社会人として評価される人材かが大切で、数字とロイヤリティのどちらを重視するのか、どちらも重要なのかなど評価の軸をきちんと把握しておくことも重要だと思います(北野)

さらに渡邊さんから“ネットワークづくりで意識していること”を問いかけると、竹内さん、田尻さんからは、コミュニティや繋がりたい人への地道なコンタクト活動について自身の経験談を語っていただきました。

それに対して北野さんからも「広報の横のつながりは大事だけど、企業対企業で築く関係であるということを忘れないでほしい。つながりは会社の資産なので“くれくれ”君になってはいけない」とネットワークづくりの注意点をアドバイスいただきました。

 

最後にキャリア観や今後の展望をそれぞれ語り「一緒に広報の価値を高めていきましょう!」という力強い共通のメッセージでパネルディスカッションを締め括りました。

“ひとり広報”を考えることは、広報の原点を再考すること

PRSJ本田哲也理事

全てのプログラムを終えたあと締めの言葉として、海外よりオンライン参加していたPRSJ理事の本田哲也さんより締めの言葉をいただきました。

 

“ひとり広報”を考えることは、実は広報・PRの原点を再考することにつながりますね。ひとりだからこそ、経営者と併走し、いかに「みんな」を巻き込むかを考える。パブリックリレーションズの基本に立ち返るべき示唆がありました。これからも広報というバリューチェーンが広がっていくと思うので、引き続きこのテーマは追っていければと思います(本田)

リアル参加の方々は、会場協力をいただいた近畿大学東京センターのスペースをお借りして、交流プログラムも実施。“ひとり広報”の方々にとっても、組織的な広報活動を行っている担当者にとっても、良い出会いと気づきを得られる場となったのではないかと思います。

日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)では、今後も“ひとり広報”の皆さまに有益な情報提供や意見交換の場となるような企画やイベントを検討して参ります。

 

文責:久保 圭太(株式会社PR Table

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