公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)では様々なセミナーを開催しております。
今回は広報委員有志メンバーがPRアワードグランプリ表彰式&プレゼンテーション当日の様子をレポートいたします。
開催の様子
去る2024年12月11日、東銀座の時事通信ホールにて公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(以下、PRSJ)主催の「PRアワードグランプリ2024」表彰式&プレゼンテーションが開催されました。
その模様をPRSJ広報委員の杖村が視察してきましたのでレポートいたします。
※許可をもらって撮影しています
開催場所は時事通信ホール
東銀座駅を降りてすぐ近く。時事通信社のビルの中に時事通信ホールがあります。外観はオフィスビルですが、中は立派なホールです。
![]() |
![]() |
入口で受付を済ませ、パンフレットをもらって入場します。
![]() |
![]() |
※パンフレットはこちらからもダウンロードできます
いよいよ開会です。
まずは開会の辞
まずはPRSJ理事長の山口恭正氏から開会の挨拶。
審査団の話によると、議論は白熱、年々レベルが上がっているのだそうです。
山口理事長いわく、PRアワードグランプリでは、受賞するとPR活動の認知だけでなく企業の認知やバリューも上がっていく。また他のアワードの受賞きっかけにもなる連鎖反応が起きる良い機会。
本年度の受賞をきっかけに来年の応募にも繋がるような活動に励んでいただけると、PR業界全体のレベルアップにも繋がるのではないか、とのこと。
こうした活動で各企業のバリューが上がることで他の企業の経営者も無関心ではいられなくなるだろう、と語っていました。
審査委員長の本田哲也氏から講評
審査委員長は昨年に続き、本田哲也氏が務めました。
本田委員長の言葉を借りるなら、審査の観点は以下の3つ。
【パーパスはあるか?】
ビジネスの目的もさることながら、世の中や社会とどう向き合っていくか、社会的な意味・意義が感じられるパブリックリレーションズ活動かどうか。
【自分らしさはあるか?】
社会を良くする活動だったとしても、その企業ならではの活動になっているか。社会的意義の発揮とその企業らしい活動というのはセットになっていなくてはならない。
【巻き込んでいるか?】
素晴らしいパブリックリレーションズ活動であれば、自ずとメディアのみならず様々なマルチステークホルダーが巻き込まれていくはず。そのような設計や活動であるかという点がPR広報の観点としては重要。
「本当に粒ぞろいのエントリーばかりで我々も嬉しい悲鳴。
特にグランプリとゴールドは、当初から審査団の間でも高い評価が与えられていました。
グランプリのマイナビさんは、先ほどの審査の観点から言っても隙が無く、突っ込みどころの無いバランスの取れた活動だったと思います。
ゴールドの島田電機製作所さんは、日本国内に数多いBtoB中小企業。そのパブリックリレーションズは非常に難しい。
BtoC成功例は様々ありますが、BtoB中小企業で広報の上手な事例を聞かれると私も言葉に詰まる。
そんな中、実に鮮やかで素晴らしく、社員全員が関わる広報だった点が高く評価されました。
もちろんシルバーやブロンズを受賞したエントリーもすべて素晴らしい活動ですので、皆さま楽しみに聞いていただければと思います」(本田委員長)
一方で、世間を賑わせたPRパーソンの不祥事についても触れ、
「2024年は、こうした素晴らしいパブリックリレーションズ活動があった一方で、残念なPRの話題もあったというのが記憶に新しいと思います。
世の中における間違ったパブリックリレーションズの理解や間違った解釈は、真のパブリックリレーションズの成果を世に出していかないと正していけないと考えています。
このアワードと皆さんの活動の成果は、そうした中長期的な観点からも素晴らしいものだと思います。
今日ここに集まった皆さんはパブリックリレーションズの同志だと思っていますので、来年以降もぜひパブリックリレーションズ活動と業界の発展に向けて、一緒に頑張っていければと思っています」と結びました。
シルバー受賞企業のプレゼンはどれもユニーク
シルバーの受賞は以下の7点。(発表順)
・情熱があれば、だれでも音楽家。「だれでも第九」プロジェクト
・メルカリで出会えるもので作った「ウチの実家」
・睡眠計量e-SPORTS CUP「SLEEP FIGHTER」
・「池袋ハロウィンコスプレフェス」10年にわたる地域とのコミュニケーションが築いた“聖地”
・選択的夫婦別姓を企業や生活者と考える 「Think Name Project」
・世界そして未来へ。「ドン・キホーテ」の根強いネガティブイメージを変革する5年間のブランディング活動
・海外評判で透明醤油に再注目をつくる「透明醤油 市場浸透プロジェクト」
良い意味で「これがシルバーなの?」というものばかりでした。
どれもユニークで面白く、かつ社会的意義に満ちたプロジェクトで、本田委員長の言う「粒ぞろいで嬉しい悲鳴」とはこのことか、と納得。
各発表を聞いていて感じたのは、事例は様々でも、関係各所への調整を丁寧にしている点です。
本田委員長の講評にもあったように、社会的意義のあるパブリックリレーションズ活動には「いかに多くの人を巻き込めるか」という課題が必ず存在します。
直接的な収益に繋がらなくても、社会的意義をもって中長期的な成果に繋がる。
この点を理解してもらうために、皆さん労を惜しまず一生懸命に取り組んでいる印象を受けました。
ゴールドはBtoB中小企業が受賞
今年のゴールドは1点のみで、エレベーター部品を製造する株式会社島田電機製作所が受賞しました。
・無名だったBtoBのニッチな下請け町工場を、毎月2000 人以上が殺到する人気企業に変えた“ファンづくり活動”
島田電機製作所の活動は、インナーブランディングで社員一人ひとりの参画意識を高めたり、社員全員が広報となって自分自身の言葉で会社をPRするなど、「社員も顧客も社会も“丸ごとファン”にする」という観点から考えた「ファンづくり活動」です。
中でも話題になったのが、2024年7月にオープンした「OSEBA」。
「子どもはボタンを押したがる」というニーズに着目し、「押す」をテーマにした遊び空間をつくりました。
毎月2000人以上が来場する人気施設となり、認知度の低かった同社を一気に人気企業へと飛躍させました。
グランプリは“立ち仕事”に着目した活動
グランプリに輝いたのは、株式会社マイナビの“立ち仕事”を考える活動。
・アルバイトの立ちっぱなし問題解決を目指す「座ってイイッスPROJECT」
最初に登壇者から会場へ、こんな質問が投げかけられました。
「いつの間にか“立ち仕事”は、立つことが仕事になっていないでしょうか」
ずっと立ちっぱなしでしている接客を、もしも座ってすることができたら。
身体の負担が減ることで働ける人が増えたり、心の余裕が生まれてフレンドリーな接客ができるのでは?
こうした観点から、接客の場で軽く腰掛けられる「マイナビチェア」を独自に開発。
小売店を中心とした企業での導入を実現し、多くの露出獲得だけでなく400社以上からの問い合わせにも繋がりました。
導入事例の一部は厚生労働省のホームページでも紹介されています。
最後は表彰式
いよいよ各賞の表彰式です。
表彰式は、最初に審査員特別賞、その後ブロンズ、シルバー、ゴールド、グランプリの順に各賞の表彰が続きます。
審査員特別賞とブロンズのプレゼン発表はありませんでしたが、タイトルを見ただけで面白そうなものばかり。受賞エントリー一覧を載せておきますので、そちらでご確認いただければと思います。
閉会の挨拶は、PRSJ顕彰委員長の佐藤圭一氏から。
「今回は80のエントリーの中からグランプリとゴールドが1件ずつ、シルバーが7件、ブロンズが6件、審査委員特別賞が1件ありました。
グランプリ審査会では皆さまのプレゼンテーションの熱い想いが伝わってきましたが、審査団の議論も熱く真剣に審査して最終結果に至りました。
PRアワードグランプリでは表彰だけでなく、PRパーソンの皆さまにこの事例をしっかりと今後の仕事の糧にしていただくために、受賞事例の公開セミナーなども企画しています。」(佐藤圭一氏)
PRアワードグランプリを観た感想
今回初めて観覧しましたが、表彰式だけでなく受賞者のプレゼンテーションがあるので、とても見ごたえのあるアワードだと感じました。
皆さん、基本的にはスライドを使って発表しますが、ユーモアを交えたり動画を流したり、各社各様に個性的なプレゼンテーションが楽しめます。
様々な課題に対する独自の視点から「どうしたら現状を変えられるか」という取り組みの数々が素晴らしく、パブリックリレーションズを学ぶ者には打ってつけの内容ばかりでした。
しかも受賞者自身が実際に関わってきた活動なので、発表には熱意とリアリティが溢れています。
そのため、プロのスピーチではないものの、聞いている人をどんどん引き込む説得力がありました。
広報パーソンはもちろんのこと、経営に携わる方々にも多くの学びがあるのではないかと思います。
秀逸なPR事例をたっぷり堪能できる濃厚な時間。おすすめです。
文責:杖村 紳吾(広報委員会)
(参考)
「PRアワード受賞事例公開セミナー」が 2025年3月10日(月)に開催されます。
こちらをご覧ください。
https://prsj.or.jp/event/award-seminar2025/
<開催概要>
PRアワードグランプリ についてはこちらをご覧ください。
https://prsj.or.jp/pr-award/
2024年度 受賞エントリー一覧 はこちらをご覧ください。
https://prsj.or.jp/pr-award/list/praw2024list/
PRSJ主催セミナーの詳細はこちらをご覧ください
https://prsj.or.jp/event-search/
日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)では、今後も会員の皆さまに有益な情報提供や活動の様子をお知らせして参ります。