広報PRの仕事を志し、願いかなって希望の仕事に就いた人たちは、一体どのようにしてその仕事にたどり着き、どんな風に働いているのか。

家業を継ぐ前に広報の経験を積む

人材サービス会社の株式会社ビースタイル ホールディングスに新卒で入社し、希望する広報に配属になった川﨑さんには、自分の将来像について決めていることがあった。それは滋賀県で数珠を製造している家業を継ぎ、自分のブランドを持つことだった。その目標に向かって、学生時代に起業するなど積極的に活動し、さまざまな人と交流をしながら経験を積んできた。起業はしたものの、家業を継ぐ前には就職して、社会人としての経験を積むことも決めていたという川﨑さんに、広報を希望したいきさつと現在の仕事について聞いた。

自社の魅力を語る熱量に動かされた

川﨑さんが広報に興味を持ったきっかけは、大学の授業だった。「大学2年のとき、たまたま姉が勤める会社の広報さんの話を聴く機会があったんです」。そこで川﨑さんは初めて広報の仕事内容を知り、広報担当者が自社の魅力について語るその熱量に心を動かされて、広報という仕事を意識し始めたと話す。

自分が広報に向いているのか検証しようと、川﨑さんは就職活動をはじめる周囲をよそに、大学3年の夏〜冬にベンチャーのPR会社でインターンとして働いた。インターンと言ってもスタッフの一人として実際のプロジェクトに飛び込む形だった。

社員と一緒に働きながら、日々様々な人と関わり、多くの情報に触れる広報という仕事の良い意味での「目まぐるしさ」が自分に合っていると感じた。そして、SNSでダイレクトに担当案件の反応が分かり、広報の仕事の影響力を実感できることに、大きなやりがいを感じたと振り返る。気づくと、「広報の仕事で経験を積みたい」と感じるようになっていた。

「爪痕を残せない」

川﨑さんは2021年春、ビースタイル ホールディングスに入社する。経営者と会社の雰囲気が決め手だったという。入社直前の1月に内定者インターンを始めた時に広報業務を経験し、入社後もそのまま「運良く」広報に配属された。メディアリレーションズはもちろん、現場の情報収集や賞への応募、自社調査機関のアンケートの作成、プレスリリースの作成など、担当する業務は多岐にわたる。

入社当初は、1本のリリース作成に1カ月近くかかっていたが、その後スピードはアップし、7月を迎える段階では、数日で完成することもでてきた。

順調そうに感じられるが、本人の胸の内はそうでもないらしい。

会社から発信するリリースネタを考える企画会議では、「案を出すものの、なかなか採用されません」と川﨑さん。1つのニュースでも、切り口や表現を変えるだけで、こんなにも大きく印象が変わるのかと驚き、学ぶことが多いと話す。

またコロナ禍で、メディア担当者との情報交換もオンラインが多く、上司と相手との会話に入ることが難しい。

「なかなか爪痕を残せないんです」と悔しさをにじませる。

やりがいは現場の人たちが喜んでくれること

川﨑さんは上司から、広報は売上や利益に直結する仕事ではない分、メディア露出等を通じてポジティブなイメージを醸成し、事業に貢献していくことが役目だと教えられた。その通りだと受け止めたという。

メディア掲載をきっかけに、ユーザー数が伸びたり、テレビで取り上げられたりするとみんなのモチベーションアップになったりもする。「社員の皆さんが喜んでくれるのがやりがいです」。現場へ成果を還元することを常に意識して、広報の仕事に取り組んでいる。

最後に、今の目標は?

「社会的に影響力のある番組に自分の力で取り上げてもらい、社内の新人賞を獲得したいです。そして、35歳までには家業を継ぎたい。目指している人物像は、DeNA創業者の南場智子さんと(タレントでアパレルブランドの経営もしている)小嶋陽菜さん。柔らかい雰囲気の中にしっかりした芯がある姿に憧れています」