9月22日(月)に実施された「緊急記者会見トレーニング」では、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー弁護士の鈴木悠介氏を講師にお招きし、危機管理対応の現実感・緊迫感を体感する緊急記者会見シミュレーション・トレーニングを行いました。

【講義】危機管理広報と緊急記者会見について

鈴木氏は、元TV局の報道記者として、事件・事故、企業の不祥事などを担当していました。弁護士となってからは、報道記者の経験を活かして危機管理広報が重要となる危機対応案件を担当。危機管理広報マニュアルや不祥事公表基準の整備、模擬記者会見トレーニングなど、企業に対して幅広くアドバイスを行なっています。

講義の中では、危機管理広報において、「企業のレピュテーション低下の底を打たせることが初動として大事」と話し、最近では止血になるはずの記者会見が「エンタメ化」していることが落とし穴になっていることを事例を踏まえながら指摘。記者会見の形式や社会からの注目度の変化などについて解説しました。

昨今の炎上リスクに伴い、「炎上させない」ポイントとして、記者会見場の選定や日時設定、記者への対応一つとってもトリガーになりうる重要な要素であることなどについても解説しました。その上で、通常の定例会見などとは違い、不祥事記者会見の場だからこそ発生する記者の質問傾向についても参加者に伝授。記者会見をトレーニングとして実施することの大切さを語りました。

【グループ討議】

グループ討議では、実際の緊急記者会見トレーニングに臨むため、あらかじめ設定されたA~D4グループごとに、事案概要の基本設定や事実経過などが書かれたシナリオを読み込み、①社長②人事総務本部長③工場長④広報部長―の4名それぞれの役割を設定。参加者は事業会社で長く広報に携わる人から経験の浅い人までさまざまで、それぞれの経験や視点を活かしながら、企業の立場で登壇者が読み上げるステートメントや想定問答などを作成していました。

【演習】

グループ討議を踏まえて、緊急記者会見のシミュレーショントレーニングを行いました。本番さながらのフラッシュ撮影が行われる中、登壇側を担当したグループの参加者が‘会見場に入室。グループ討議の中で作成した冒頭ステートメントの読み上げや事案概要の説明、質問者の指名や30分のタイムマネジメントなどを実施しました。記者役の鈴木氏や参加者から質問が投げかけられると、丁寧な口調で質問に答える姿や、鋭い質問に対して登壇側が考え込むような姿も見られました。同じ事案でも、登壇側になった2グループが異なる内容の記者会見になっていることが、大変興味深く感じられました。

【講師講評】

最後に鈴木氏より講評がありました。模擬会見の様子を撮影した動画を参加者と確認しながら、この会見を誰に伝えるのか、それを意識してどんな言葉やメッセージを発信するのがいいのか、法的リスクは何かなど、様々な視点から記者会見のポイントを解説しました。参加者は鈴木氏からのアドバイスを聞き漏らさないようメモをとっている姿が印象的でした。
模擬会見を行った参加者からは「30分の模擬記者会見が非常に長く感じた。実体験に近いものを体験させてもらい大変勉強になった」といった声や、「いつも使わないような言葉や言い回しをどう表現するのが良いのかわからなかった。トレーニングしておかないと難しいのだと思った」と今回の講義を受講する意義を強調していました。

文責:株式会社サニーサイドアップ 櫛引 万里子

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