日本パブリックリレーションズ協会が「PR業実態調査」を実施
 ■取り扱いが増えた“情報収集”“効果測定”と“リアルイベント”
 ■今後ニーズが伸びると予想されるのは“危機管理”関連
 ■業務課題は“AIの活用”“他社との連携”
 ■経営課題は「他社との提携」

公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(東京都港区、理事長:山口恭正、略称:PRSJ)はこのほど、2024年度のPR業実態調査を実施いたしました。本調査は、PR業各社の業務傾向などからPR業界の最新の潮流を探ることを目的に隔年で実施しているもので、今回で通算10回目となります。

調査対象社は、PR業とPR関連業の当協会会員社(197社)および非会員社(24社)の合計221社で、62社から回答が得られました。有効回収率は28.1%でした。

今回の調査結果で注目されるのは、
■前回調査(2022年度)から取り扱いが著しく伸びたのは「情報収集」「効果測定」などの
“インテリジェンス活動”と“リアル(対面)のイベント”
■今後ニーズが増えると予想されるのは「危機管理」関連。逆に、前回より著しく下がっ
たのは“SDGs”“DE&I”“CSR”関連業務
■業務上の課題は「生成AIの活用」「他のPR会社等との業務連携」
■経営課題で著しく率が上がったのは「他社との提携」

調査結果の概要は以下の通りです。

<PR業実態調査の概要>

◇調査対象  :日本パブリックリレーションズ協会の会員企業197社、非会員企業24社、計221社
◇調査方法  :郵送法
◇回収率   :28.1%
◇調査実施時期:2025年3月
◇調査実施機関:株式会社ハミングバード

<PR会社のプロフィール>

◇回答したPR会社の従業員数は「19人以下」が55%。「100人以上」は11%
◇従業員の男女構成比は男性49:女性51で、女性比率が若干高い
◇管理職における女性比率は平均で44%。前回37%より上昇
◇2025年春の予定採用人数は平均で5.8人。前回(8.5人)から減少

<今後の見通し(売上・景況感)>カッコ内は前回

◇2024年度のPR業界市場規模(売上、推計値)は1,391億円
◇58%が売上は今後増えると回答。前回(58%)と同様
◇現在の景況感は31%(前回20%)が「よい」と回答。コロナ前の景気実感に戻りつつある様相。
今後の見通しは、「現在よりもよくなる」が29%に対して「変わらない・横ばい」が37%。景気の先行きについては悲観論が強めに。

<取り扱い業務傾向>

◇広報・PR業務の取り扱い上位項目(複数回答)※カッコ内は前回

パブリシティ企画・実施 82%(79%)
(リアルでの)記者発表会/PRイベントの企画・運営 81%(74%)
リテナーでのPRコンサルティング 74%(70%)
マスコミ対応 73%(72%)
情報収集分析 73%(61%)
モニター・クリッピング 69%(65%)
(オンラインでの)記者発表会PRイベントの企画・運営 69%(65%)
広報・PR効果測定 68%(58%)
(リアルでの)セミナー・シンポジウムの企画・運営 68%(60%)
オウンドメディアやソーシャルメディアの企画・運営 66%(63%)

網掛は前回より伸びが著しい項目

・取扱い上位項目は前回とあまり変わらないが、前回より大きく増えたのは「情報収集分析」(+12%)、「広報・PR効果測定」(+10%)のインテリジェンス系業務と、「(リアルでの)セミナー・シンポジウム」(+8%)、「(リアルでの)記者発表会/PRイベント」(+7%)の“リアル”イベント。

◇今後、ニーズが増える業務トップ10(複数回答)※カッコ内は前回

動画の制作・プロモーション 55%(51%)
インフルエンサーを活用したコミュニケーション 55%(56%)
オウンドメディアやソーシャルメディアの企画・運営 52%(58%)
リスクコンサルティング/クライシスコンサルティング 44%(32%)
パブリシティ企画実施 40%(39%)
リテナーでのPRコンサルティング 39%(35%)
マーケティングコンサルティング 39%(39%)
(危機管理関連の)メディアトレーニング 39%(32%)
グローバル広報 39%(46%)
広報・PR効果測定 37%(40%)
インフルエンサー向けイベントの企画・運営 37%(42%)
危機管理広報(メディアトレーニング除く) 37%(35%)

― 前回からの伸びの目立つ、ニーズが増える業務(複数回答、伸び率)

リスクコンサルティング/クライシスコンサルティング +12%
(危機管理関連の)メディアトレーニング +7%
動画の制作・プロモーション +4%
リテナーでのPRコンサルティング業務 +4%

― 前回トップ10で今回外れた業務(複数回答)※カッコ内は前回

SDGs/ESG投資関連コミュニケーション 36%(61%)
ダイバーシティ・インクルージョン関連コミュニケーション 31%(51%)
CSR/CSV関連コミュニケーション 21%(46%)

・ニーズが増加するとみられている項目では、ベスト3が「動画の制作」「インフルエンサー活用」「オウンドメディア、ソーシャルメディア企画」と、ネット上のコミュニケーションに関わるものが上位を占めた。伸び率が高いのは危機管理関連。
反対に、前回から大きく率を下げ、トップ10から消えたのはSDGs/ESG、ダイバーシティ/インクルージョン、CSR/CSVなどの社会課題対応に関する業務であった。

<広報・PR業務の重点課題/経営課題>

◇広報・PR業務の重点課題

広報・PR業務を進める上で今後の重点課題は、「人材育成・確保」「新しい広報・PR手法の開発」が前回と変わらず上位に挙げられている。ただし、前回は項目になかった「生成AIの活用」が初登場で3位に入り、「他のPR会社や協力会社との業務との提携」は最も伸び率が高く、4位に位置付けられた。ITの急速な進化とそれに伴うPR業務の多様化、深化への対応が喫緊の課題となっていることがうかがわれる。(複数回答)※カッコ内は前回

人材育成・確保 68%(72%)
新しい広報・PR手法の開発 63%(58%)
生成AIの活用 48%(前回ナシ)
他のPR会社や協力会社との業務提携 42%(32%)
業務そのものの質的向上 39%(54%)

網掛は前回から著しく伸びた、または初登場の項目

◇経営の重点課題

企業経営における重点課題については、前回同様「売上拡大」「社員のモチベーションアップ」が上位にきているものの、「他社との連携」が前回から最も大きく率を伸ばして3位に入った。PRビジネス環境の急激な変化を受けて、もともと小規模な会社が多いPR会社が業容の拡大・再編に迫られていることがうかがわれる。(複数回答)※カッコ内は前回

売上拡大 66%(67%)
社員のモチベーションアップ 50%(65%)
他社との提携 47%(28%)
即戦力の中途採用者の確保 42%(51%)
働き方改革 36%(51%)
(人事・経理・業務管理の)DX化 32%(30%)
経営者の後継者育成 27%(32%)

網掛は前回から伸びが著しい項目

<参考>

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