日本パブリックリレーションズ協会が「PR業実態調査」を実施
PR業売上高(2022年度)は推計1,479億円
コロナ禍の前回(2020年度)に比べて33.1%の伸び

公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(東京都港区、理事長:牧口征弘、略称:PRSJ)はこのほど、PR業実態調査を実施いたしました。本調査は、PR業各社の業務傾向などからPR業界の最新の潮流を探るとともに、PR業全体の売上規模を推計(※1)することを目的に隔年で実施しているもので、今回で通算9回目となります。

調査対象社は、PR業とPR関連業の当協会会員社(206社)および非会員社(25社)の合計231社で、57社から回答が得られました。有効回収率は24.7%でした。

PR業全体の売上高(2022年度)は推計で約1,479億円となり、前回調査(※2)の約1,111億円を大きく上回る結果となりました。前回から約368億円、約33ポイント伸びており、コロナ禍によるダメージから回復し、PR市場が拡大傾向にあることを示しています。ちなみに、コロナ禍以前の前々回調査(2019年実施)との比較では14.7%の伸びとなっています。

※1 回答が得られた各社の売上高合計を基に、PR業各社の従業員数(中央値)などを勘案してPR業全体の売上高を推計しています。
※2 調査実施:2021年、対象期:2020年度

調査結果の概要は以下の通りです。

<PR業実態調査の概要>

◇調査対象  :日本パブリックリレーションズ協会の会員企業206社
非会員企業25社、計231社
◇調査方法  :郵送法
◇回収率   :24.7%
◇調査実施時期:2023年3月
◇調査実施機関:株式会社ハミングバード

<PR会社のプロフィール>

◇PR会社の平均従業員数は85.2人(前回は84.7人)
ただし小規模会社が多いため中央値は20人
◇従業員の男女構成比は男性51:女性49で、女性比率が前回より若干下回った
◇管理職における女性比率は平均で36.7%
◇2023年春の予定採用人数は平均で8.5人。前回(3.9人)から倍以上増加

<今後の見通し(売上・景況感)>カッコ内は前回

◇58%が売上が増加傾向にあると回答、前回(49%)に比べて明るい見通し。
◇現在の景況感は19%(前回11%)が「よい」と回答。
低いとはいえコロナ後の回復の兆しが見える。今後の見通しは、「現在よりもよくなる」が47%で最多。
「変わらない・横ばい」が32%、「現在より悪くなる」は7%で、景気の先行きについては楽観論が優勢に。

<取り扱い業務傾向>

◇広報・PR業務の取り扱い上位項目(複数回答)

– パブリシティ企画・実施 79%
– (リアルでの)記者発表会/PRイベントの企画・運営 74%
– マスコミ対応 72%
– リテナーでのPRコンサルティング業務 70%
– モニター・クリッピング作業 65%
– (オンラインでの)記者発表会/PRイベントの企画・運営 65%
– オウンドメディアやソーシャルメディアの企画・運営 63%
– 情報収集分析 61%
– 動画の制作・プロモーション 60%
– (リアルでの)セミナー・シンポジウムの企画・運営 60%
– 編集タイアップ広告 60%

・取扱い上位項目では、パブリシティ業務やマスコミ対応業務などが中心的業務となっていることに変わりはないが、前回は上位に入らなかった動画制作が目立っている。

◇今後、ニーズが増える業務トップ10(複数回答)

– SDGs/ESG投資関連コミュニケーション業務 61%
– オウンドメディアやソーシャルメディアの企画・運営 58%
– インフルエンサーを活用したコミュニケーション 56%
– 動画の制作・プロモーション 51%
– ダイバーシティ/インクルージョン関連コミュニケーション業務 51%
– CSR/CSV関連コミュニケーション業務 46%
– グローバル広報 46%
– インフルエンサー向けイベントの企画・運営 42%
– 広報・PR効果測定業務 40%
– パブリシティ企画実施 39%
– マーケティングコンサルティング業務 39%
– 情報収集分析 39%

◇前回からの伸びの目立つ、ニーズが増える業務トップ10(複数回答、伸び率)

– ダイバーシティ/インクルージョン関連コミュニケーション業務 +21%
– 一般消費者向けイベントの企画・運営 +20%
– グローバル広報 +20%
– (リアルでの)記者発表会/PRイベントの企画・運営 +18%
– (リアルでの)セミナー・シンポジウムの企画・運営 +17%
– インフルエンサー向けイベントの企画・運営 +15%
– 広報・PR効果測定業務 +13%
– CSR/CSV関連コミュニケーション業務 +12%
– マスコミ対応 +11%
– リテナーでのPRコンサルティング業務 +11%

・ニーズ増加項目では、SDGs/ESG、ダイバーシティ/インクルージョン、CSR/CSVなどの社会課題対応に関する業務や、コロナ後を見すえたリアルでの記者発表会・イベントなどに対するニーズの増加が今後見込まれている。

<広報・PR業務の重点課題/経営課題>

◇広報・PR業務の重点課題

広報・PR業務を進める上で今後の重点課題は、「人材育成・確保」「新しい広報・PR手法の開発」「業務そのもの質的向上」が上位を占めている。ただし、前回との比較でみるとPR手法の開発やサービスの多様化が前回よりも下がっているのに対して、質的向上や優良なアウトソーシング先の確保は増えており、業務の種類・量よりも質の向上をより重視していることがうかがわれる。

(複数回答、カッコ内は前回)

– 人材育成・確保 72%(70%)
– 新しい広報・PR手法の開発 58%(65%)
– 業務そのものの質的向上 54%(41%)
– 優良な協力会社・外注先の確保 51%(45%)
– 広報・PR効果測定方法の開発 47%(36%)
– サービス内容の多様化 44%(51%)

◇経営の重点課題

企業経営における重点課題については、「売上拡大」「社員のモチベーションアップ」「即戦力の中途採用者の確保」の順となっている。前回との比較では、「売上拡大」が下がっているのに対して、社員のモチベーションや働き方、人材確保など、人的資産の充実を課題として重視していることがうかがわれる。

 (複数回答、カッコ内は前回)

– 売上拡大 67%(77%)
– 社員のモチベーションアップ 65%(57%)
– 即戦力の中途採用者の確保 51%(33%)
– 働き方改革 51%(45%)
– 経営者の後継者育成 32%(26%)
– ※新卒者の確保(順位は9位だが大きく増えている) 19%( 4%)

※参考

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