痛みや不調がみえない病気にもやさしい職場づくり 「みえない多様性PROJECT」 |
片頭痛をはじめ、様々な病気によって引き起こされる痛みや症状。周囲から病気が理解されないことによる不安やつらさを抱える当事者と周囲の人が共に働きやすい職場づくりを目指し、2020年に企業・自治体・専門家が共同でプロジェクトを立ち上げた。
<みえない多様性PROJECT>
職場における「みえない多様性」
片頭痛をはじめとした頭痛、腰痛、生理痛などの痛みや不調は、時に仕事に支障をきたすことがある。しかし、その不調は周囲の人にはみえないことから理解してもらうことが難しく、人知れずつらさを我慢しながら働いている人たちがいる。このような“症状の可視化が難しく、つらさや支障の認知が低い健康課題”を「みえない多様性」と定義した。
このプレゼンティーイズム(出勤しているにもかかわらず、心身の健康上の問題から生産性が低下している状態)の問題は、個人のQOL低下のみならず、組織にとっては気づきにくい生産性損失でもあり、社会全体で取り組む課題と捉えた。
きっかけは「ヘンズツウ部」の取り組みから
社内外でのワークショップ開催
製薬企業の日本イーライリリーでは、多様な背景を持った人々が豊かな生活を送る「Live Your Best Life」という理念のもと、「たかが頭痛」と症状が軽視されがちな片頭痛の社内理解を促進する「ヘンズツウ部」を発足。体調に合わせた働き方が社内で認識されていくにつれ、周囲に理解されない不調で人知れず我慢しながら働いているのは片頭痛を持つ社員以外にも存在していることに気づいた。他企業と意見を交わす中で、「みえない多様性」はあらゆる職場で共通する課題であることを確信し、ヘンズツウ部の知見やみえない多様性の視点を地域や社会に広く還元していくために、健康経営を推進する企業・自治体・専門家と共同でプロジェクトを発足した。
<頭痛専門医師にも参加いただいた「ヘンズツウ部」の社内イベント>
健康の観点で多様な背景を持った人々が相互理解を深め、誰もが安心して働ける職場づくりを促進するカードゲームを開発しWeb上で公開。社内外のワークショップを中心に取り組みを広め、「我慢しながら働くのではなく、お互いの不調などを許容し合える職場環境に変えていこう」という意識変化のきっかけを創出。他社や医師からも賛同の声があがっている。
<「みえない多様性PROJECT」で開発したワークショップツールのストーリーカード>
Voice from STAFF
株式会社プラップジャパン 井出晃二
この活動を企業や地域、専門家のみなさまと一緒に広め、あらゆる健康課題を抱える人、その周囲の人、働く全ての人が、多様な背景を互いにわかり合うことで、もっと働きやすく生きやすい社会づくりを進めてまいります。