グランプリ
事業主体:ダイキン工業株式会社
エントリー会社:ダイキン工業株式会社
応募カテゴリー:コーポレート・コミュニケーション
2020年、コロナ禍で政府が要請する3密回避のための「換気」への注目が一気に高まる中、「正しい換気の方法が分からない」という生活者の課題を解決するため、空調専業メーカーの強みを活かした換気の情報づくりと発信に取り組んだ。
コロナ禍に「空気で答えを出す会社」がすべきこと
コロナ禍の不安が蔓延する中、ウイルス対策に関して分からないことも多く、様々な情報が錯綜する状況での情報発信はリスクを伴う。しかし、2017年より世の中の空気の困りごとを解決する「空気で答えを出す会社」の企業ブランディングに取り組んできた当社は、「今こそ生活者が必要としている空気の情報を発信すべし!」と決断。迅速に社内の知見を集め、自社Webサイトで“上手な換気の方法”を公開し、継続的な情報発信に取り組んだ。経営トップ自ら空気・換気のブランドの構築を目標に掲げており、全社一丸の取り組みだった。
部門の垣根を超えた、生活者視点の「換気」情報づくり
「空気で答えを出す会社」の企業ブランディングに取り組む広報、宣伝、営業のメンバーが、慣れない在宅勤務中の3月中旬にWeb会議で集合。生活者のためにPRを通じてできることは何か、検討を開始した。当社に寄せられるお客様の声やメディアからの問い合わせなどから、「換気」の情報ニーズが特に大きいと判断。一方で、世の中に存在する換気の情報のほとんどが、専門用語が多く難解で、いざ実践しようとしてもどうすればいいか分かりにくかった。そこで、窓開け換気の方法や住宅の24時間換気システムの使い方など、当社製品と関係のない内容も含め、生活者視点で分かりやすく有益な換気の情報をつくることから始めた。
空調専業メーカーだからできる情報発信
ポイントは、コロナ禍で生活者の役に立つため、「空気で答えを出す会社」を標榜する空調専業メーカーだからこそできる情報発信をしたこと。製品や経営に関する情報などの企業が伝えたいことを一方的に発信するのではなく、日常生活で意識されることが少ない空気に関心が集まっている時だからこそ、お客様や生活者、メディアの反応に目を向け、ニーズに応える情報の発信を心掛けた。
基本戦略は、正しい換気の情報を収集し、迅速にまとめ、タイムリーかつ継続的に発信するということ。「中学生でも理解できるWebコンテンツ」を合言葉に、徹底的に生活者視点に立ち、平易な文章とメディアへの提供も可能な写真やイラストで表現。制作開始からわずか2週間で、緊急事態宣言が全国に発令される前の4月10日に自社Webサイト上のコンテンツ“上手な換気の方法”として公開した。次に、多くの生活者に伝えるため、同じ情報を発信し続けるのでなく、夏場の換気やオフィスや店舗での換気など季節や生活者の意識変化に合わせた新たな情報をつくり、発信を継続した。また、自社SNS公式アカウントの活用や、テレビCM、交通広告、Webメディアの広告記事などの広告施策も同時に実行。「上手な換気の方法WEBで公開中」「換気のことなら、ダイキン。」のメッセージで、情報の拡散を図った。
社会貢献と事業貢献を両立した取り組みを実現
「上手な換気の方法」は、Web、新聞、テレビなどメディアで大きく取り上げられ、SNSでは生活者の「めっちゃわかりやすい」「最高に役に立つ!」「実践的」「目から鱗」といったつぶやきとともにシェアされた。当社が取り組んできた換気の情報発信は、社会的意義として新しい生活様式における「換気」の習慣化に貢献したと言えるのではないかと考えている。
また、家庭用エアコンの平均買い替えサイクルは約13年と言われ、お客様と当社のタッチポイントが限られる中、コロナ禍という未曾有の社会課題への取り組みを通じて様々なステークホルダーからのレピュテーションを獲得することができた。当社にとって社会貢献と事業貢献を両立する大きな成果となった。
文・ダイキン工業株式会社 垣永大輔
Voice from STAFF
ダイキン工業株式会社 垣永大輔
私たちの取り組みは、広報と広告宣伝部門だけでなく、営業や研究、開発、サービスなどの様々な部門や協力会社が連携し、「換気」に関する社内外の知見を収集することから始まりました。関係者が一丸となった必死の取り組みによって、このような栄えある賞をいただくことができ、メンバー一同、本当に嬉しく思っています。今回の受賞を励みに、これからも「空気で答えを出す会社」として生活の役に立つ情報を発信してまいります。
株式会社インテグレート 坪井康浩
10年以上取り組んできた「空気ブランディング」が、「空気で答えを出す会社」のプロジェクトの中で2020年に一つの大きな成果につながり、「PRアワードグランプリ2020」のグランプリとしてご評価いただけたことに、クライアントをはじめ関係者の皆様に深く感謝いたします。そして、感無量です。今後ますますサステナブルな社会貢献と事業貢献の両立が求められる中で、この取り組みのさらなる継続・進化に尽力したいと考えています。