シルバー

事業主体:WWF JAPAN
エントリー会社:株式会社アサツー ディ・ケイ
応募部門:マーケティング・コミュニケーション部門


寄付文化の後進国である日本で、絶滅危惧種の保護活動を根付かせるには?注目したのは日本独自の「ハンコ文化」名字と野生動物が一緒になるスタンプを開発し、その購入代金の一部が寄付になる仕組みを構築ローンチから1週間で1万本を売上げた。

キャンペーン特設支援サイト(2017年12月31日生産終了)
キャンペーン特設支援サイト(2017年12月31日生産終了)
欧米諸国の108分の1という現実

日本は他国に比べ、野生動物へのドネーションに対する意識が著しく低く、寄付文化が根付いていない。その現状は1世帯あたりの寄付総額で換算すると、欧米諸国の約108分の1。そこでWWF JAPANは、毎日の暮らしの中で、誰でも気軽で簡単に、絶滅の恐れがある野生動物(=REDLIST Animals)の保護活動へ参加できる新しいスタイルを求めていた。

日本文化×ドネーション

日本では、古くから意思表明やアイデンティティのシンボルとして、サインの代わりに「ハンコ」を使うという独自の印章文化が根付いている。さらに、ハンコの赤色は不老不死の色ともいわれ、REDLISTのREDとカラーとの相性もいい。この2点から、日本人の誰もがひとつは持っている「ハンコ」に着目。日本独特の文化を活かして、日本に寄付を根付かせるための新たなソリューションを提案した。それが、自分の名字と絶滅危惧種の動物が一緒になった「ハンコ」が作成できる「WITH STAMP」キャンペーン。参加方法は特設サイトで名字を入力するだけ。自動的に、絶滅危惧種の動物シルエットが入ったオリジナルデザインの「ハンコ」が作成され、実際に購入できるようにした。その購入代金の一部が、WWFの環境保全活動へ寄付される仕組みを構築した。

多くの人を巻き込み、寄付総額は目標の10倍超え

「ハンコ」のデザインパターンは、2万2千種類以上。日本人の名字の約9割をカバーするデザインパターンを制作することで、より多くの参加者を生み出した。また、どんな動物が自分の名字と一緒になるか分からない仕立てにすることで、好奇心を掻き立てることに成功。絶滅危惧種の動物との新しい出会いのカタチをデザインした。NHKをはじめとする大手メディアでの露出やインフルエンサーによる投稿などで、SNSを中心に拡散。結果、Yahoo!における検索キーワードでは2位まで急上昇し話題に。目標販売本数だった2500本をたった3日で達成し、ローンチから1週間で1万本を売上げた。「ハンコ」という意思表明やアイデンティティのシンボルが、ドネーションのシンボルに生まれ変わった結果、プロジェクトを通した寄付総額は目標金額の10倍を超えた。

文・(株)アサツー ディ・ケイ 鈴木聡倫、原田堅介


Voice from STAFF

(株)アサツー ディ・ケイ
クリエイティブディレクター 増田総成

生活動線の中で、いかに負担なく自分ごと化してもらうか。今施策で最も重要視したのはトライアルからコンバージョンまでの動線です。絶滅危惧種の保護啓蒙に止まらず、寄付に至るまでの行動変化をゴールにしました。