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事業主体:ロコモ チャレンジ!推進協議会
エントリー会社:ロコモ チャレンジ!推進協議会(公益社団法人日本整形外科学会と株式会社博報堂のJV)
応募部門:ソーシャル・コミュニケーション部門


超高齢社会日本において、要支援・要介護の原因は運動器の障害がトップであることはあまり知られていない。日本整形外科学会では、国民に運動器の重要性を啓発すべく、博報堂とともに「ロコモ チャレンジ!推進協議会」を設立。社会課題の解決に向けたチャレンジを2010年に開始した。

ロコモ チャレンジ!推進協議会が策定したロコモ度テスト
ロコモ チャレンジ!推進協議会が策定したロコモ度テスト
超高齢社会が取り組むべき重要課題、それがロコモ

2007年に日本は高齢化率が21%を超えて超高齢社会となり、運動器の障害が原因で自立歩行できなくなる高齢者が急増。この事態に危機感を覚えた中村耕三氏(当時、整形外科学会理事長・東大教授)が「ロコモティブシンドローム」を提唱。しかし学会に啓発のための潤沢な広報予算はなく、また、医師主導の啓発活動には人的・時間的な限界がある。そこで2010年、整形外科学会は博報堂とともに、ロコモ関連商品・サービスを提供する企業を巻き込んで啓発活動に取り組む「ロコモ チャレンジ!推進協議会」を設立した(サポート企業は2017年現在24社)。

課題解決のための共創プラットフォーム

ロコモ対策という共通価値に生活者・整形外科医・企業・自治体等組織が相乗りして持続的活動を可能とするCSVプラットフォームである当協議会は、サポート企業の商品・サービスに監修・アドバイスを提供する一方で、全都道府県にロコモ啓発をリードする「ロコモアドバイスドクター」を組織化(約1,700名)、地域のエバンジェリスト(伝道者)となる「ロコモメイト」を育成(約3,000名)、生活者がロコモを自分ごと化するための尺度「ロコモ度テスト」を作成、そして診断ツールの提供等の様々な施策を実施している

認知向上と態度変容

2017年にはターゲットである70代女性のロコモ認知度が78%に到達。ロコモの認知度向上が目標のひとつとして掲げられた「健康日本21」中間報告や、訪日したWHOディレクターから高い評価を得た。また、ロコモ関連市場は1,354億円に成長。日本の整形外科医のモチベーションが大きく向上し組織内広報の成功事例にもなった。今後はロコモを史上初の「日本医学界が世界に発信するヘルスケア・キーワード」にすることを目指していきたい。

文・(株)博報堂 二荒雅彦


Voice from STAFF

ロコモ チャレンジ!推進協議会 委員長 大江隆史

毎月の協議会の定例会議では、診察・手術を終えた整形外科医の協議会委員が夜遅くまでロコモについて熱く討議している。一つの学会がこれほどまでに一丸となったことがあっただろうか? 関係者各位の情熱に頭が下がる思いである。