2025年3月17日に開催された会員限定講座、「234回定例研究会は、各業界の広報に関わるマネージャークラスの方を講師に迎え、広報部門のリーダーに求められるスキルやメディア対応の視点、法的リスク管理について学べる実践的な講座です。今回は『日本最大級のビジネス動画メディアのCOOが語る ~YouTubeと企業広報のあり方~』 と題して、PIVOT株式会社 取締役副社長 COO 木野下 有市氏を講師にお呼びして開催されました。

広報委員有志メンバーが当日のセミナーの模様をレポートいたします。

講師略歴

PIVOT株式会社 取締役副社長 COO 木野下 有市 氏
三菱商事を経て電通入社。メディアコンテンツ領域の企画・投資を専門とし、電通米国子会社の代表を5年間務める。大学時代の同級生であり当時「NewsPicks」初代編集長だった佐々木紀彦氏(現PIVOT代表取締役CEO)とともに、電通とニューズピックスの合弁事業「NewsPicks Studios」を設立起案。経済領域の映像コンテンツの制作・プロデュースに従事する。2021年にはビジネス映像メディア「PIVOT」を共同創業し、取締役COOに就任。

「PIVOT」とは?

「PIVOT」は、「日本をPIVOT(方向転換)する」をミッションに掲げるビジネス動画メディアです。現在の登録者数は300万人超、月間アクティブユーザーは720万人と、すでに国内有数のビジネスチャネルに成長しています。
オリジナルコンテンツは毎日3~4本無料で配信しており、プロのMCが専門家をインタビューする形式で分かりやすく伝えています。タイアップもほぼ毎日公開。オリジナルコンテンツのキャストやスタッフも制作にあたるところがユニークで、企業活動をリッチな番組コンテンツとして発信できることが強みです。

講演のポイント

映像・広告市場は、TV一極の終焉、またYouTube視聴者の変化やコネクテッドTVの普及などを受けて、大きく構造転換しつつあります。そのような環境下、PIVOTでは「難しすぎる」「他社と同じに見える」「キャッチ―じゃない」「オウンドメディアで発信しても見てもらえない」といった企業の広報課題に応えるソリューションを番組タイアップとして提供しています。従来の認知獲得施策にとどまらず、採用活動、IR、社内向けのコミュニケーションなど、様々な文脈で活用されています。

映像制作においては、「テーマ選定」「キャスティング」「構成/演出」の3つを重要視しています。中でもテーマが一番重要で、オリジナルコンテンツではビジネス、健康、マネー、教育といった現生利益に関するものの人気が高く、意識しています。サッカーも人気です。TVを「フォーマル」、YouTuberを「カジュアル」な制作スタイルとするならPIVOTは「スマートカジュアル」にあたると考えています。出演者個人への依存度は中くらいで、アドリブと台本を半々にして出演者の本音を引き出し、広告コストは比較的抑えています。

最後に、実際の成功事例をいくつか挙げていただきました。スタートアップ企業における採用広報の例では、半年で70名の採用にいたったとのことです。候補者は、質の高い動画を通して事業やミッション・ビジョン・バリューの理解を深め、その上で面接に臨むことができるため、ミスマッチを低減することができます。

質疑応答

ご講演の後は参加者から多くの質問が寄せられ、活発な議論となりました。いくつかご紹介します。

司会の教育委員会 副委員長 相川 貴之 氏(いすゞ自動車株式会社 広報部長)

「社内におけるブランディングに動画をどう活用すべきか?」「大手活字メディアの動画参入をどう見ているか?」「企業がYouTubeを活用する際、成功するためのポイントは?」「動画に社員が顔を出して発言することのリスクをどう考えるべきか?」「持論をYouTubeで展開するような配信者もいるが、メディアのあり方をどう考えているか」「スポークスパーソンの本音を引き出すコツは?」。

まとめ

今回の講座では、動画メディアの最新動向と併せて、企業・組織の動画活用について多くの学びが得られました。メディア環境が大きく変化する中、PRプロフェッショナルとしてどのように取り組んでいくべきか、情報収集をしながら継続的に考えていきたいと思います。

文責:塚田真己(広報委員会)

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