シルバー

事業主体:黒保根おいしいお米をつくる会
エントリー会社:株式会社電通
応募部門:マーケティング・コミュニケーション部門


農業人口の減少と高齢化が進み、後継者探しが大きな課題に。群馬県桐生市の米農家遠藤初夫さんもその一人。まだ見ぬ後継者とのマッチングを行うべく、お米を買うと農家による農業体験に参加できる新しいブランド米、求人米「あとりりむすこ」を生産販売した。

店舗で販売される求人米あととりむすこ

農家の跡継ぎ問題に向き合って

農林水産省によると、日本の農家の平均年齢は67歳。29歳以下はたった3%しかいない。群馬県桐生市の米農家、遠藤初夫さんも日本トップレベルの米生産者だが、このままだと将来 作り手がいなくなってしまう。そこで、つくった美味しいお米そのものを、求人広告に。食べる、農業体験する、跡継ぎ候補になる。この一連の体験を、ひとつの商品としてデザインした。

お米を買って農業体験に参加

ファーマーズマーケットやマルシェなど食への関心の高い人の集まる都内の複数店舗で販売。ネーミングとパッケージの面白さから取材も増え、話題になったことで、生産した 450kgのお米は完売。東京から150km離れた田んぼで行った田植えと稲刈り体験には、のべ300人以上が参加した。

プロダクトそのものにPR視点を内包

広告・PRの視点を内包した商品開発を行うことで、商品そのものが話題の中心になる装置になった。商品としては、パッケージのデザインを変えただけで、毎日・読売新聞やYahoo! ニュースなど、たくさんのメディアに取材をいただき、農家個人の話だけでなく、「農家の後継者問題」という課題を改めて知ってもらうきっかけになった。

サステナブルな取り組みに

地元のNPOと一緒に取り組むことで、一過性ではないサステナブルな取り組みに。集まった跡取り候補の農業体験によって生産された「あととりむすこ」が翌年精米されて、次の跡取り候補をまた田んぼに呼んでくる。この繰り返しが生まれる。 販路も拡大し、2018年にはネット通販を開始。田んぼオーナー制を販売する、新しい「あととりむすこ」の手法も検討中だ。

文・(株)電通 中川諒


Voice from STAFF

(株)電通 中川諒

「PRの視点を商品に内包させる」が個人的なテーマでした。 当初はパッケージデザインの相談でしたが、実際に田んぼでお手伝いしながら取材を重ねていくなかで後継者問題を知 り、この企画は生まれました。「あととりむすこ」を少しでも多くの人に知ってもらうことで、跡取りが見つかりますように。