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アルバイトの立ちっぱなし問題解決を目指す 「座ってイイッスPROJECT」 |
エントリー会社:株式会社 マイナビ / 株式会社 博報堂 / 株式会社 TBWA HAKUHODO
事業主体:株式会社 マイナビ
2024年12月11日 受賞者プレゼンテーション
多くの従業員にとって隠れた悩みの種になっているアルバイト中の“立ちっぱなし”問題。
その解決を目指し、座れるアルバイトを増やすことによって、従業員・雇用主双方にとっての快適なアルバイト環境を整備していくための取り組みとして2024年3月に開始したプロジェクト。
アルバイトの働き方改革の一環で「立ちっぱなし問題」に着目
日本で暗黙の慣習となっている「レジ接客中の立ちっぱなし問題」。海外のスーパーで座りながらレジ接客をしている姿を担当者が見かけたことをきっかけに、日本でも座って働ける価値観を普及することが、アルバイトにおける働き方改革の一環になると考え、本プロジェクトの発足にいたった。
働き手・雇用主双方と関わりの深い求人メディアである「マイナビバイト」が呼びかけることで、働き手にとっては快適なアルバイト環境を、雇用主にとっては人材確保や定着のきっかけを提供することを目指している。
アルバイトの3割強が、立ちっぱなし業務で「ネガティブな方面に影響」あり
プロジェクトの立ち上げにあたり行った実態調査※1によると、座っての接客が許されているアルバイトは 23.3%にとどまり、アルバイトの 32.2%がネガティブな方面に「業務に影響が出ている」と考えていることがわかった。一方で、雇用主がイスに座って接客をしても「いいと思っている」割合は 73.3%にのぼり、許可しない理由については 25.6%が「なんとなく」と回答しており、理由なくアルバイト業務が“立ちっぱなし”になっている実態がうかがえた。
さらに自身がお客さんの場合、イスに座って接客をされることについて 8 割近くが「気にならない、問題はない」と回答しており、座っての接客を受け入れる人が多いこともわかった。
また、雇用主の 19.7%が、「接客中の立ち仕事からくる肉体的な要因」によるアルバイトの退職を経験していることもわかった。座っての接客で「就労意欲が上がる」アルバイトは半数以上という結果から、雇用確保の面からも、“立ちっぱなし”問題の解消が必要といえる。
※1「パート・アルバイトの接客中の立ち仕事」に関する調査(マイナビバイト調べ)
座って働きやすいイスの開発。賛同企業を募り、試験導入の実施。
<マイナビバイトチェア>
プロジェクトを推進するために、座って働きやすいアルバイト専用イス「マイナビバイトチェア」を椅子メーカーと共同開発した。業務中でも動きやすいように「立ったり座ったりしやすい」、イスを自由に動かせスペースも取らない「軽くてコンパクト」、そしてお客さんからも好印象となるよう「姿勢よく座れる」デザインであることを重視した。
2024 年 3 月 28 日より、本プロジェクトの賛同企業6社100店舗に、約1カ月間試験導入を行った。
試験導入の結果、従業員の約7割が「今後も座って働きたい」と回答
試験導入店舗で働く従業員を対象に行ったアンケート※2では、7割以上が「今後も座って働きたい」と回答。また、座って働いてみた感想として「足や腰の負担が減った」「気分的にも楽になる」など身体的・心理的負担の軽減につながったという声や「落ち着いてお客様を見ることができた」など接客サービスの向上にもつながったという声、さらには「従業員に対して気遣える会社と思えた」「お客様からも『いいね』と言っていただいた」などの声が寄せられた。
一方で、「お客様の視線が気になる」「忙しい時は邪魔になる時がある」といった新たな課題も明らかになった。
※2 導入企業6社とその従業員85名を対象に行った「座って働くこと」に関するアンケート結果(マイナビバイト調べ)
<ドン・キホーテ浅草店>
従業員が不安に思うことなく「座って働く」選択ができる環境づくり
試験導入を終えて、2024年5月末頃より、本プロジェクトの賛同企業へ「マイナビバイトチェア」の販売を開始した。
試験導入企業の従業員からは「お客様の視線が気になる」という声があったことから、プロジェクトの理解を促進するため、店頭設置用のチラシやステッカーを制作し、イス導入企業へ無料配布を行っている。
今後も本プロジェクトの周知をすることで、従業員が不安に思うことなく「座って働く」選択ができる環境づくりに注力していきたい。
<店頭設置用ステッカー/チラシ>
ご担当者の声
本プロジェクトは、イス設置店舗の採用担当や広報部の皆様、さらには媒体社やSNSで応援いただいた多くの方々のご支援によって広げることができました。
今回の受賞を励みに、試験導入の結果や世間の声を雇用主にフィードバックし、働き手がより働きやすい環境を選べる社会の実現を目指します。この企画に限らず今後も固定観念にとらわれない新しい働き方の選択肢を広げ、多様なニーズに応える取り組みを推進していきます。
デジタルテクノロジー戦略本部 進学・バイトプロモーションチーム
鈴木 里彩子
評価ポイント
潜在的な社会課題を掘り起こし、“立ち仕事用のイス”というわかりやすいモノをフックにステークホルダーをしっかり巻き込んだ戦略性と実行力が素晴らしい。社会への提案と自社事業のブランディングを見事にマッチさせた好例である。