無名だったBtoBのニッチな下請け町工場を、毎月2000人以上が殺到する人気企業に変えた“ファンづくり活動”

エントリー会社:株式会社 島田電機製作所
事業主体:株式会社島田電機製作所

2024年12月11日 受賞者プレゼンテーション

“事業活動はファンづくり”という基本理念のもと、従業員・顧客・社会をも丸ごとファンにする独自の取り組みで、中小企業が抱える課題を乗り越え、新たな働き方のモデルを提示した。

 

無名企業が人気企業に変わるまで

島田電機製作所は、1933年創業のエレベーター用意匠器具を手掛けるオーダーメイド企業である。しかし、BtoBの下請け町工場という性質から、社会的認知度が低く、人材や情報の不足、競争優位性の欠如といった外的課題に加え、従業員エンゲージメントの低さや受け身の社風という内的課題を抱えていた。こうした課題は、多くの中小企業にも共通するものであり、日本全体でも従業員エンゲージメントの低さが深刻な問題となっている。

そのような状況の中、島田電機は、社員・顧客・社会を“丸ごとファンにする”という新たな価値観のもと、企業価値の向上を目指した。特に、子どもたちの“ボタンを押したがる”という行動に着目し、同社製品のボタンをフックに活動を展開。インナーブランディングからアウターブランディングまで一体化したファンづくりを実現している。

働き方改革が生み出す新たな価値

島田電機の取り組みの基盤には、社員の参画意識を高める30以上の仕組みが存在する。「ラブレター採用」や「サイコロ金」といったユニークな制度に加え、働きたくなる環境をデザインの力で整備。また、全員広報の考え方を推進し、社員が自分自身の言葉で会社をPRすることで、企業ブランド力を向上させた。

その成果の集大成として、2024年7月には遊び空間「OSEBA」をオープン。「ボタンで社会をポジティブに」をコンセプトに掲げ、月間2000人以上が訪れる人気スポットとなっている。工場見学やカプセルトイの監修といった活動を通じて社会との接点を広げ、企業と社会を繋ぐ“発信基地”として機能している。

日本の中小企業を変える未来へ

島田電機の挑戦は、単なる企業変革に留まらない。従業員エンゲージメント(共感)を重視し、サークル型組織(円陣)を実現する『+エン』の働き方を提唱。これを中小企業の新しいロールモデルとして広め、日本全体の働き方改革に寄与することを目指している。

社会全体に行動変容を促し、“らしさ輝く世界”の実現へと歩み続ける島田電機。その姿は、企業が社会に与える影響力の可能性を示すロールモデルである。

ご担当者の声

「どんな無名企業だって人気企業になれる!」それを実現した私たちだから自信をもっていえます。
これからも「人中心の経営といえば島田電機!」と言われるように、私たちらしい取り組みで世の中にインパクトを与え続けます。

株式会社島田電機製作所 小倉 心愛

評価ポイント

経営トップの情熱を核に、従業員の密なコミュニケーションに基づく「全員広報」によるファンづくり活動の結果、BtoB企業にとって難しい認知度の向上とブランドイメージの確立を実現した。エンゲージメントを力強く推進するお手本となる取り組みである。