2025年12月10日に時事通信ホールで開催された、PRアワード2025。今回は、その様子をレポートします。

当日の様子
今年から名称が「PRアワードグランプリ」から「PRアワード」へ変更され、それに合わせて新たに作られたというロゴマークがあしらわれたポスターがお出迎え。

エントランススペースには、歴代のグランプリ受賞プロジェクトの一覧がずらりと並んでいます。

また、アドミュージアムで昨年開催されていた、電通PRコンサルティングによる“PR”をテーマにした企画展「What is PR?~PRって何だろう?身近な活動から社会を変えるチカラまで」の展示も行われていました。



開会前にこれまでの受賞作やPRの歩みを改めて鑑賞することで、今年の受賞者プレゼンテーションへの期待もグッと高まります!
PRアワード2025、開会
はじめは、PRSJ理事長 山口恭正氏の開会の挨拶から。
昨年を上回るおよそ100件の応募があり、質もかなり向上しているとのことで、山口理事長が立ち会った審査会でも非常に白熱した議論が行われていたそうです。

審査プロセスも学びが多く、ぜひみなさんにもお見せしたい!とのことでしたので、密かに期待しております。
また、PRアワードを通じて、受賞した事業会社の認知や、広報PRに関わるポジションの向上に寄与できることを願っていると、開催に込めた想いも語られていました。
続いて、審査委員長の田上智子氏からの講評です。
今回私たちが目にしたのは、単なる作品ではありません。それは課題に真摯に向き合い、人々の心を動かし、社会を少しでも良い方向に導きたいと動いた、PRパーソンたちの魂の記録でした。

という熱い言葉から始まった講評。エントリーされた作品に触れ、審査員であることを忘れてしまうほど心を動かされる瞬間が多々あったそうです。そのような感情は一旦横に置きつつ、審査の中で冷静に問い続けたのは、「手法としてのPR」ではなく「思想としてのパブリックリレーションズ」。
社会をより良い方向に導くための未来志向の実践がなされたのかどうかという点を重視し、「真のPR」に向き合い続けた審査期間だったとのことです。
その「未来志向の実践」を評価するために、今年は基本の審査基準に加えて以下3つの観点から評価が行われました。
- オーセンティシティのある戦略
事業と社会を貫く「自分らしさ」で本質的な課題設定ができていたか - マルチステークホルダーとの共創
「対話」で社会を動かす「うねり」を作ることができていたか - パイオニアシップが導く業界の発展
その覚悟がある動きが、次世代のパブリックリレーションズを拓く「先鞭」となり得たか
その上で、
今年のエントリーには、社会の分断や危機といった難しいテーマを、PRが単なる情報発信に終わらずに、社会を融和して、そして未来を築くための実践的な行動指針になり得るんだということを証明してくれました。
と語ります。
最後は、「皆様の情熱と知恵が、これからのパブリックリレーションズの新たな地平を切り拓くことを心から祈念している」 という、未来への期待を込めた言葉で講評を締め括りました。

いよいよ、受賞者のプレゼンテーション
まずは、ブロンズ、シルバーのプレゼンテーションから。
ブロンズ受賞
- 人がいないなら呼んでこよう!市民の「手伝って」を伝えるプラットフォーム“ヒダスケ!”で年間1,500人の担い手を確保
- 業界の垣根を超えた難病支援プロジェクト「I know IBD」
- 回転レーンで世界つなぐ―70カ国の料理が巡る、「回転すし、魅力最・再訴求」万博プロジェクト
- 第三者推奨を起点とした従業員エンゲージメント向上プロジェクト 「おかんパン」
ブロンズ受賞の各プロジェクトは、予算や規模に関わらず、担当者の「ときに泥臭い熱量」や「ユニークな切り口」によって課題を解決している点が印象的でした。
シルバー受賞
- 中小企業の“賃上げ”の閉そく感を打破!福利厚生を活用した新たな賃上げ手法「第3の賃上げ」
- 物件探しを強化したいけど、お金も社内人的リソースも足りない…そうだ!お客様に地元の物件を探してもらおう!「バーガーキングを増やそう」キャンペーン
- 「助けたいから買う」 ― 貢献意欲を引き出し、食品ロスの削減につなげたファミマの『涙目シール』
- 人生 100 年時代をどう生きるか 介護施設のシニア 1 万人と紡ぐ「Be サポーターズ!」の幸せな物語
シルバーを受賞した4つのプロジェクトは、リソース不足や社会課題を、視点を変えることで「ポジティブなアクション」へと変換したことで、実際に人を動かすことにつながっている点が評価されていました。
ゴールドは、笑いの力で合意形成を実現した「金龍のしっぽプロジェクト」
ゴールドを受賞したのは、金龍製麺株式会社の『人気スポット消失の危機を、笑いによる合意形成で地域を巻き込む物語に 道頓堀 金龍のしっぽプロジェクト』。

看板の一部撤去というネガティブな裁判結果による分断を、大阪ならではの「笑い」の力でエンターテインメントに昇華、他社も巻き込み物語として拡張していった点が評価されました。
プレゼンテーション自体も非常にユーモアに溢れた内容で、連絡先もウェブサイトもない金龍ラーメンに対し、社長がいる誕生日パーティに勝手に潜入して直談判したという、”足で稼ぐ”PRパーソンらしい裏話には会場も大盛り上がりでした!
グランプリは、能登半島地震における「命を守る」広報
グランプリを受賞したのは、石川県の『能登半島地震 命を守る災害対応リアルタイム広報』です。

地震発生後迅速に組成された「知事直轄のプロボノチーム」が、東日本大震災での経験も踏まえ、以下の三つの広報を実施。
・被災者の命を守る、情報発信とカウンター広報
・支援者の命を守る、職員のメンタルをケアするインナー広報
・県民の命(=地域経済)を守る、経済回復させるプロジェクト
また、「想いの強い」PRチームを作ることも重視したとのことで、プロジェクトメンバー自身の石川県への想いや震災経験がプロジェクトを動かすエネルギーになっていたという点も印象に残りました。東日本大震災を経験したプレゼンターからも、その想いが感じられました。

プロボノチームと連携し、広報の基礎を最高次元で実践。災害大国日本における未来の公共サービスを切り拓く「パイオニアシップ」が評価され、グランプリ受賞となりました。
表彰式〜閉会の挨拶
最後は表彰式。
審査委員特別賞の発表と、ブロンズ、シルバー、ゴールド、グランプリの受賞者への表彰が行われました。プレゼンター以外のプロジェクトメンバーも登壇し、トロフィーと賞状の授与と写真撮影が行われます。



プロジェクトを推進してきたメンバーと笑顔でステージに登る様子は、見ているこちらも清々しい気持ちになりました。
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表彰式が終わり、式の最後はPRSJ顕彰委員会委員長の佐藤圭一氏からの閉会の挨拶で締めくくられました。
PRアワード2025では、昨年80のエントリーに対し、今年は98件のエントリーがありました。審査員のメンバーもかなり熱い議論を繰り返してこの選考を行っております。
PRアワードをはじめとした顕彰事業を通じて、このパブリックリレーションズ業界の認知向上や発展だけではなく、PRパーソンのモチベーションアップや、日々のお仕事への応用やスキル向上などにお役に立てればと考えております。

PRアワードを観覧して
2025年を代表するPR事例の数々が、受賞者自身の言葉で解説されるという、とても贅沢な時間でした。
人々の心を動かしたプロジェクトに隠された着眼点や発想の転換法を知れるのはもちろん、そこに込められた想いや熱量までもがリアルに感じられるのが、生でプレゼンテーションを聞けるPRアワードの何よりの醍醐味だと感じました。
災害対応からユーモアあふれる企業PRまで、PRの力で社会をどう動かせるかという「思想」と「実践」に触れ、世の中の動きや世相に対するアンテナを磨くのにもうってつけのアワード。
PRを学びたい方はもちろん、社会に対してより広い視野を持ちたいという方にも、非常に多くの学びがある機会だと思います。
文責:長谷川 怜奈 (株式会社サニーサイドアップ)
株式会社サニーサイドアップ様のサイト内でもプランナー目線でレポートいただいていますので併せてご覧ください!