広報は「露出」ではなく「認識」を測る時代へ

株式会社 サニーサイドアップ パブリックリレーションズ事業本部
猪飼 真吾氏

広報活動の成果は、長い間「どれだけメディアに掲載されたか」という指標で評価されてきました。しかし、SNSや動画プラットフォーム、口コミサイトなど情報の接点が多様化した今、本当に知りたいのは露出量ではなく、「人々の認識がどう変わったか」ではないでしょうか。

例えば、企業が掲げるミッションやビジョンは、社内では明確に共有されていても、生活者には別のイメージで受け止められていることが少なくありません。「信頼できる企業」と思われたいのに、「価格が安い企業」という印象ばかりが広がっている。

あるいは、環境への取り組みを発信しているつもりでも、そのメッセージ自体がほとんど届いていない。こうしたギャップは、従来の広報指標だけでは見つけることが難しいものです。

近年、AIを活用したソーシャルデータ分析の進化によって、この「認識の現在地」を継続的に可視化できる環境が整いつつあります。SNSや検索、口コミなどに蓄積された膨大なUGCを分析することで、ブランドがどのような文脈で語られ、どのイメージが強く結び付いているのかを把握できるようになりました。

重要なのは、一度ブランドを定義して終わることではありません。市場や社会の変化に合わせてブランドも進化し続けるという発想です。この考え方を「ダイナミックブランディング」と呼び、ブランドを固定的なものではなく、変化を前提に継続的にマネジメントするフレームワークとして整理しています。このフレームワークでは、独自のAIツール等を利用してSNSなどからUGCのデータを収集し、生活者がブランドに対して持っているイメージの現状を捉えます。自社が発信しているMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の各要素が、生活者の認識のどの領域に位置しているのか、あるいは全く届いていないのかという「世の中の認識との距離感」を客観的に可視化することができます。

広報部門の役割も、情報を発信することから、社会との認識のギャップを発見し、経営へフィードバックすることへと広がっています。露出件数を報告するだけではなく、「生活者の認識はどのように変化したのか」「その変化は経営が目指すブランド像に近づいているのか」を説明できることが、これからの広報の価値になっていくのではないでしょうか。