インターナルコミュニケーションの最前線 TOPPANホールディングス×YKK

「第3回 企業部会セミナー」開催レポート(11月17日実施)

2025年11月17日に「第3回企業部会セミナー」は、『理念を伝え、社員を動かす ~インターナルコミュニケーションの最前線~』と題して、TOPPANホールディングス広報本部宣伝部長である佐藤圭一氏とYKK株式会社 経営企画室 グローバルエンゲージメント統括グループ広報グループ長である井深緑氏を講師に迎え、開催されました。当日のセミナーの模様をレポートいたします。

講師略歴

佐藤 圭一氏
TOPPANホールディングス 広報本部 宣伝部長
広告会社の営業職を経て、2006年に凸版印刷株式会社(現TOPPANホールディングス)入社。以来ブランドコンサルティング部門にて数多くのブランディングプロジェクトに携わる。2017年から本社広報部門に異動し、2021年より現職。TOPPANのリ・ブランディングを推進している。著書に『選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方』(講談社)。日本パブリックリレーションズ協会 理事(顕彰委員会委員長)。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)

井深 緑氏
YKK株式会社 経営企画室 グローバルエンゲージメント統括グループ 広報グループ長
大学卒業後、都市銀行入行。秘書室配属、副頭取秘書となる。1999年~2002年 大学院でコミュニケーション論を学ぶ(修士号取得)2004年YKKに取締役副社長秘書として入社。2005年~2007年 大学院で経営学を学ぶ(MBA取得)2008年 経営企画室 広報グループ。2009年から現職

講演のポイント

TOPPAN

持株会社体制への移行や社名変更を契機にグループ理念(パーパス)を策定し、世界中の社員が参加したパーパス特設サイトや動画で共感を呼び起こしたTOPPANの取組みについて語っていただきました。企業としてのあるべき姿を掲げ企業活動そのものを変えていくにあたり、その担い手は従業員であるとの認識からインターナルコミュニケーションを重視。エクスターナルの強い発信による企業認知の拡大や話題化で、ブーメラン効果によって従業員の自覚や誇り、行動変容を強化したほか、パーパスの共有に向けた認知・理解・納得のための施策を細かく講じました。その結果、24年には国内従業員98%がパーパスを認知。翌25年には海外従業員への共有に向けて新たにグローバルサイトを立ち上げ、世界各国のキーパーソンによるインタビュー動画や、125名の一人一人が自分たちの生み出す「Culture」について紹介するコンテンツを発信しました。パーパスを強制するのではなく共有し自分事化することを重視し、従業員が自身のパーパスについて考え、未来の価値創造につなげ、会社を主体的に動かそうとするムーブメントを創り上げようとしています。

YKK

国内から海外まで、車座集会を粘り強く開催し、直接対話を重視したYKKの取り組みについて語っていただきました。YKKは創業者の企業精神である「善の巡環」に基づき全事業活動を行い、経営理念「更なるCORPORATE VALUEを求めて」、コアバリュー「失敗しても成功せよ/信じて任せる、品質にこだわり続ける、一点の曇りなき信用」の実践にも取り組んでいます。これらの理念を浸透させる活動は脈々と続いています。2008年には経営理念研究会を発足し、各事業からの若手主導で、次世代への理念継承のあり方を研究し経営理念浸透活動につなげています。また浸透活動としては、4万人社員フォーラムを開催したほか、経営トップ主導型の車座集会や語らいの場を設け、経営トップと社員が直接対話をすることで理念浸透を図っています。加えて、地域主導型としては、国内外の現地に自由に浸透活動を任せる手法をとっています。こうした浸透活動により理解・共感度(国内)は78%を実現しました。

対談

・理念浸透にあたり、グローバルレベルでの実行体制について:TOPPANでは、国内で制作したものを各事業部門の海外ビジネス担当者を通じて発信する仕組みをとり、YKKでは経営理念浸透チームとして各国/地域の担当200名が各地で浸透策を講じているとのことでした。
・インターナルコミュニケーション施策の課題と今後の展開:TOPPANでは、海外拠点のキーパーソンが集まるグローバル会議のような共有の場をつくり、対話によって理解や共鳴につなげる機会を創出したいと考えており、YKKでは現場にまでリージョントップではなく本社の社長のメッセージを届けるために、社内メディアの在り方を検討しているとのことでした。

まとめ

今回の講座では、経営理念の社員浸透策を、全く違うアプローチをとっている2社の方から、レクチャーと対談形式で語っていただきました。手法は異なりますが、ともに社員の心を動かし、経営理念に共感して自分事化していくプロセスを、戦略的に講じていることを学べた会となりました。