パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社
 コーポレート広報センター コーポレート広報室 室長 齋藤博海氏

広報に携わって約20年、時代の変化とともに広報の役割も進化してきました。SNSの台頭、メディアの多様化、そして生成AIの登場。情報環境は複雑さを増す一方で、広報の本質は変わりません。それは「信頼を築くこと」です。
日本広報学会では、広報概念を次のように定義しています。
「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。」
ここに「経営機能である」と示す通り、広報とは単なる情報発信ではありません。社内外のステークホルダーとの信頼関係を築き、企業の姿勢や価値を社会に伝える「橋渡し役」です。だからこそ、私たち広報パーソンには、事実を正しく伝える力、文脈を読み解く力、そして何より“誠実さ”が求められます。
私自身、営業から広報に異動した当初は「広報は裏方の仕事」という印象を持っていました。しかし、危機対応や報道対応を経験する中で、広報が企業の存続に直結する場面を幾度も目にしました。広報は、企業の“顔”であり、“盾”でもあるのです。
社内で「広報の存在意義」を議論することがあります。当社グループらしい広報とは何か、マスコミ対応の重要性とは何か。こうした問いを繰り返しながら、広報の本質に立ち返ることが極めて重要だと考えます。広報は、経営戦略と一体となって企業価値を高める機能であることを、改めて認識する必要があります。広報は目立たないかもしれませんが、企業の信頼を支える“静かな力”として、現場の声に耳を傾け、広報の可能性を探求し続けたいと考えます。
日本パブリックリレーションズ協会は、広報の専門性を高める場として大きな役割を果たしています。これまで多くの企業・団体のPR関係者の皆様、そしてマスコミ関係の皆様にお世話になり、それらの御恩をお返しする意味でも、協会活動を通じて業界全体の価値向上や次世代育成に力を尽くしてまいります。引き続き、皆さまのご指導・ご支援をよろしくお願い申し上げます。