グリーンウォッシュ

見せかけのエコイメージ

グリーンウォッシュは、企業や組織が自らの環境配慮や社会的責任について、実際には取り組んでいないか、取り組みが不十分なのに、誇大な主張や宣伝をしている場合に使われる用語。環境配慮の象徴的な言葉であるグリーンと、見せかけや隠ぺいを意味する英語「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語で、1986年に米国の環境活動家ジェイ・ヴェステルフェルト氏が、エッセイで用いたのが始まり。1992年の国連環境開発会議(リオサミット)前に、国際環境団体のグリーンピースが「GREENWASH」という本を出版し、この言葉を世界に広めた。

環境に対する消費者の意識の高まりを背景に、企業は広告やマーケティングで、自社の環境配慮を伝えることにより、ブランドイメージ向上を図ろうとする。その際に、事実と異なる情報を提供することがある。

問題化した事例

話題になった事例では、2015年に発覚したドイツのフォルクスワーゲン(VW)社による排ガス不正がある。問題となったのは同社が米国で出していた「クリーンディーゼル(環境にやさしいディーゼル車)」という広告。実際には排ガス値が高いにもかかわらず「クリーンで低燃費」とう印
象を与え消費者を欺いたとして、米連邦取引委員会は同社を提訴した。

また、アイルランドの航空会社ライアンエアーは2019年、「欧州で最も運賃が安く、環境負荷の少ない航空会社」という内容の広告を出した。しかし、消費者からの苦情を受けた英国の広告業界の自主規制機関である英国広告基準局は「二酸化炭素(CO2)排出量の計算方法などの情報が不足し、根拠が明確でない」と判断し、広告の禁止処分をした。

見分けるには

消費者がグリーンウォッシュに対抗するためには、信頼性のある第三者機関による認証や評価を持つかどうかを確認する、複数の情報源から情報を検証する、長期的で持続可能な取り組みであるかどうかを確認するなどの注意が求められる。一方、企業にとっても、グリーンウォッシュだと批判されることは大きなイメージダウンを招くため、取り組みや宣伝が実態と合っているかどうかを情報公表の前に入念に検証する必要がある。

SDGs への広がり

近年、SDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まり、多くの企業が SDGs への取り組みを公表している。これについても、実態を伴っていない「SDGs ウォッシュ」だと批判されるケースが出ている。

執筆=広報・マスコミハンドブック(PR手帳)2024 編集部