実施日:2026年10月7日(水)

約30年記者を務め、2026年4月に広報部長へ転じた朝日新聞社延与氏。「取材する側」と「取材される側」の両方の視点から、社会部記者の考え方と広報対応のポイントを解説いただいた。
講師略歴
延与光貞 氏(朝日新聞社 広報部長・前社会部長)
1972年生まれ。1996年朝日新聞社入社。
津支局、一宮支局、名古屋本社社会部を経て、2002年9月から東京本社社会部で司法、遊軍などを担当した。2014年9月からは5年間、中国特派員を経験。広州・香港支局長として香港の民主化運動「雨傘運動」を取材し、中国総局(北京)では弁護士の一斉拘束事件などを取材した。

2019年9月に帰国した後は、東京本社社会部次長(デスク)、ゼネラルエディター(編集局長)補佐などを経て、2024年4月から社会部長。2026年4月に広報部長に着任、初めて編集局以外の仕事を担当。
社会部記者は何を見ているのか
本研究会では、新聞社の社会部がどのような体制で取材を行い、日々どのようにニュースの種を探しているのかについて解説いただいた。
社会部では事件や司法、教育、調査報道など担当が分かれており、発表資料やリリースを取材のきっかけとしながらも、多くの記者は独自の情報源を大切にしているという。過去の取材先とのつながりや専門家のネットワーク、家族や知人との会話、SNSや街中での気づきなど、情報との出会い方はさまざまだと紹介された。
また、社会部記者には、不正や理不尽な出来事への問題意識が強いこと、独自ダネを追い求める気質があることに加え、人の思いや背景が見えるエピソードに関心を寄せる傾向があることなども語られた。
有事対応と広報に求められる視点
後半では、企業や組織の有事対応について、実際の事例を交えながらお話しいただいた。 講演では、記者は嘘や隠蔽に敏感であり、十分な説明がない場合には別のルートから事実確認を進めることもあるとの説明があった。また、広報が一度説明した内容が後に変更されることや、問い合わせへの対応が滞ることは、その企業の印象が悪くなることにも触れられた。
さらに、近年の記者会見事例を振り返りながら、初動対応や情報共有のあり方についても解説がなされた。広報部門は、社外の視点を社内に伝える役割があるとの言及があり、そのためにも平時から社内各部署とのコミュニケーションや信頼関係が大切であると語られた。
質疑応答では、SNS上で拡散した情報への対応や、個人情報漏洩、AIをめぐる課題などについて意見が交わされた。