PR業ワイガヤ会開催レポート

2026年7月17日、日本パブリックリレーションズ協会PR業部会主催の「ワイガヤ会」が、株式会社マテリアルオフィスにて開催されました。
若手・中堅PRパーソンの交流と学びの場として毎年好評をいただいている本企画。今回は、先月開催されたばかりのカンヌライオンズの最新動向を踏まえ、日本のパブリックリレーションズの方向性を議論する場となりました。
講師には株式会社電通PRコンサルティング エグゼクティブフェローの井口理氏、株式会社博報堂 執行役員/博報堂ケトル ファウンダー・編集者の嶋浩一郎氏が登壇されました。さらにロンドンから株式会社本田事務所 代表取締役/PRストラテジストの本田哲也氏がオンラインで飛び入り参加。モデレーターは株式会社マテリアル 取締役の尾上玲円奈氏が務められました。

危機を機会に変えた、グランプリ受賞作「The Kit Kat Heist」
セッション冒頭では、本田氏がPR部門グランプリ受賞作「The Kit Kat Heist」を紹介。

イースター前に大量のキットカットが盗難されるという危機に対し、事実を隠さずユーモアを交えて公表し、消費者が盗品を確認できるオンラインツールで参加を促した事例です。危機を「参加型捜索」へと転換し、エンゲージメントと売上向上を同時に実現した点が高く評価されました。講師陣からは、製造番号管理によるファクト設計が安心・安全を保証したこと、リテナー体制に支えられた即応力の重要性などが語られました。
トップのコミットメントとAI時代のヒューマニティ
続いて、Columbiaの「EXPEDITION IMPOSSIBLE」キャンペーンでは、経営トップ自らのコミットメントが評価軸として重視されている潮流が紹介されました。今後はCFO視点での財務的貢献の証明が求められるとの指摘もありました。また「HEINEKEN REAL FRIEND」については、AI活用が前提となる時代において、人間がリアルにカルチャーをつくることの価値が改めて注目されているとの議論が交わされました。
さらに、化石のDNA情報から生まれた人工皮革「T-REX LEATHER」についても紹介。本革かフェイクレザーかという二項対立を超え、博物館での発表というPR戦略によって、素材メーカーとしての新たな立ち位置を築いた事例として議論されました。
PRの評価軸はどう変わるのか
議論全体を通じて、PRの評価軸が「ファクトと成果数値」偏重から「カルチャー形成とコア層の納得感」へとシフトしていること、キャンペーン設計がPR単体ではなく複数部門を横断する傾向にあること、そして成果指標も露出量だけでなく売上や財務的貢献といった実体価値で測る必要性が高まっていることが共有されました。
報告会を終えたあとは、参加者同士の意見交換も交えたカジュアルな交流会を開催。若手・中堅のPRパーソンより講師陣への質問やリアルな感想をいただきました。

また、会場にお越しいただいたカンヌライオンズ2026PR部門審査員の酒井氏、特別ゲストのPRアワード田上審査委員長、ACCのPR部門伊東審査委員長からも、今後いかにしてベストプラクティスを作り上げていくか、そして日本勢が海外の賞をいかにして獲っていくかなどについて熱いお言葉をいただきました。
全体を通して、最前線のトレンドと実務に活かせる視点、他社PRパーソンとのつながりを得られる貴重な機会となりました。
文責:久保 圭太(talentbook株式会社)