「変化する時代に、PRパーソンは何をアップデートすべきか」

日本マクドナルド株式会社 コミュニケーション&CR本部 広報部 部長
飯田 征樹 氏

 日本パブリックリレーションズ協会(以下PRSJ)会員の皆様で、“ポジ切り”をしたことがある方はどのぐらいいらっしゃるでしょうか。ポジ袋にダーマトグラフで合番をふり、堀内カラーからバイク便で戻ってきたデュープをマウントに挟み、清刷りとともにニュースリリースを郵送した経験のある方は、広報の現場でまだご活躍でしょうか。

 広告と広報の違いすら説明できない学生だった私が、企業の広報部門で職を得て25年以上が経ちます。

 この間メディア環境はもちろん、世間に流通する“情報”の意味合い、そして企業・団体に求められる情報発信の在り方も大きく変化しました。「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。」との定義(日本広報学会、2023年)を持ち出すまでもなく、PRパーソンのカバーすべき領域はより広範囲になり、また担う責任もより大きくなっていることは、多くの会員の皆様が実感されていることでしょう。

 さてこの間、PRや広報(部)の業務、価値についての理解は、どの程度進んだでしょうか。また私たちは自身の業務そのものを、時代に合わせてアップデートできているでしょうか。
2002年初版の『ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争』(講談社)は、国際舞台におけるPR会社同士の情報戦を克明に描いた名著として知られます。著者で元NHKディレクターの高木徹氏は、同著の出版にあたりあえて(世間的にわかりやすい)“広告代理店”をタイトルに使用したと伺います。仮に今、同じような書籍が出版されるとして、出版社はタイトルに“PR”“広報”という言葉を用いるでしょうか。

 私はいまだに母親に「お前はCMを作っているの?」と尋ねられます。また“PR”を“プロモーション”の略だと誤解している社内のステークホルダーに“PRリリース”という表現への違和感を指摘したところで、「なんでもいいから露出とってきて」と返されるのがオチでしょう。個人の情報発信力はますます高まり、国境や言語の壁が低くなる一方で、本当に「信頼できる」情報の流通を担保し、社会をよりよい方向にアップデートするため、企業・団体やPR業、そしてメディアの果たす役割は決して小さくないと考えます。

 このたびの「第15回通常総会」にてPRSJ理事、ならびに国際・交流委員会 副委員長を拝命し、あらためて身の引き締まる思いです。皆様どうぞよろしくお願いいたします。