開催レポート:2026年3月4日実施

当協会が毎年実施している日本の優れたPR活動を称える「PRアワード」。
2025年度の受賞者による事例公開セミナーを2026年3月4日に開催し、約50名がご参加。
※「PRアワード2025」の表彰式・受賞者プレゼンテーションは2025年12月に実施
ご登壇
【グランプリ】
石川県『能登半島地震 命を守る災害対応リアルタイム広報』
【ゴールド】
金龍製麺『道頓堀 金龍のしっぽプロジェクト』
【シルバー】
サントリーウエルネス『Beサポーターズ!』
【ブロンズ】
くら寿司『回転レーンで世界つなぐ 万博プロジェクト』
【講評】
PRアワード2025審査委員長 田上智子 氏
※ご登壇はブロンズ/シルバー/ゴールド/グランプリの順
各プロジェクトの担当者からは12月のプレゼンテーションでは語られなかったプロジェクトの舞台裏を含め、より深掘りした内容でお話しいただき、参加者からの質疑にも丁寧にお答えいただいた。最後に田上審査委員長による講評が行われ、これからのPRに求められる本質が示された。
受賞事例の深掘り
事例1 <ブロンズ受賞>
回転レーンで世界つなぐ―70カ国の料理が巡る、「回転すし、魅力最・再訴求」万博プロジェクト
事業主体:くら寿司株式会社
エントリー会社:株式会社電通PRコンサルティング
回転レーンを「世界をつなぐ食のインフラ」へと再定義した事例。万博を機に、自社のアイデンティティを「寿司屋」から「世界の食を届ける蔵(インフラ)」へと拡張。各国大使館を巻き込み「本物の味」を再現することで、ステークホルダーをブランドの信頼性を担保するパートナーへと変え、圧倒的な説得力を生み出した。
質疑
・途中から人気がどんどん出てきた印象があるが、事前のティザー告知以降、開催後に工夫した点・苦戦した点・大変だったところとは?
・70カ国との交渉において、くら寿司が提供するナショナルメニューに対し、各国が参加する価値をどこに感じたのか/どのように感じさせたのか。
・マスメディアでの速報的露出と、SNS・自社メディアでの蓄積を含め、メディアフォーメーション設計はどう考えていたのか。
・PR会社はどのくらい企画段階から関与されたか。
など
事例2 <シルバー受賞>
人生 100 年時代をどう生きるか 介護施設のシニア 1 万人と紡ぐ「Be サポーターズ!」の幸せな物語
事業主体:サントリーウエルネス株式会社
エントリー会社:サントリーウエルネス株式会社
介護施設のシニアを「支えられる側」から、サッカーチームを「応援する側」へと転換させた。数年にわたり企業のパーパスを活動に落とし込み、現場のスタッフや地域住民を巻き込んだ「参加型」の解決策を提示。シニアの生きがい創出という社会課題に対し、スポーツを通じた血の通ったアプローチが評価された。
質疑
・PRのKPIは、最初に何を置き、途中で変えたか、今は何を重視しているか?また、「なぜやっているのか」への社内評価が変わった潮目はどこ?
・事業としてどう始まったか(起点・意思決定)
・全国展開(約30カ所~)のノウハウはどこに蓄積され、どう共有しているか
など
事例3 <ゴールド受賞>
人気スポット消失の危機を、笑いによる合意形成で地域を巻き込む物語に道頓堀 金龍のしっぽプロジェクト
事業主体:金龍製麺株式会社
エントリー会社:株式会社博報堂/株式会社オズマピーアール
看板撤去というネガティブな法的問題を、「笑いと物語」によってポジティブな合意形成の機会へと転換。単なる事務的対応ではなく、地域住民やファンを巻き込んだストーリーテリングを展開することで、危機をブランドへの愛着を高める好機に変えた、PRらしい「対話の設計」が光った事例。
質疑
・これをやった後に金龍側からの評価はどうだったのか?
・訴訟相手から何か反応はあったのか?
・社長への直談判はスムーズだったのか?
・カニ側への交渉はスムーズに受け入れてもらえたのか?
・取材対応時の 社長の振り付け(発言コントロール) はどうされたのか?
・キーワードの設定や、事前に想定問答を作ったのか?
など
事例4 <グランプリ受賞>
PRパーソンの未来予測を、災害対応に応用 『能登半島地震 命を守る災害対応リアルタイム広報』
事業主体:石川県
エントリー会社:株式会社博報堂/株式会社北陸博報堂/株式会社博報堂プロダクツ/
株式会社オズマピーアール/株式会社 レオン
「広報で命を守る」ことを実践し、自治体広報のあり方を根本から変えた。専門チームが行政の中枢に入り、正しい情報を「バズらせる技術」で拡散。自粛ムードを「応援消費」へ変える戦略で経済復興を牽引し、さらに職員のメンタルケアにまで広報が介入した。PRの領域を「命の守り手」へと拡張させた画期的な事例。
審査委員長 田上智子氏による講評・解説
本年度のPRアワード審査委員長である田上智子氏(株式会社シナジア代表)は、4つの受賞事例を高く評価しつつ、今年の審査観点とPRの未来について語った。
審査基準の基本は「PRアイデア」「戦略」「実行」「リザルト&インパクト」の4軸だが、今年は特に①オーセンティシティ(そのブランドらしさがあるか)、②マルチステークホルダーとの共創、③次世代に影響を与えるパイオニアシップ、の3点を重視したという。
近年の成功事例には「事業者とエージェンシーの垣根がない」共通点があると強調。ブリーフの質や予算よりも、個人の熱意や目的意識が突破力を生み、パブリックリレーションズの力を最大化するのだと語った。またPRは分断が進む社会において「人間にしかできない仕事」であり、関係者をつなぎ、共創し、瞬発力で物語を生み出す役割がますます重要になると述べた。
最後に、今回の事例が業界全体に勇気を与えるものであり、来年以降も新たな挑戦を期待すると締めくくった。