事業主体:くら寿司株式会社
エントリー会社:株式会社電通PRコンサルティング
回転すしの価値の提示/再拡張を目指して
1970年大阪万博で誕生した回転すしは、いまや日本を代表する食文化となった一方で、近年は“回らない回転すし”の主流化により、回転レーンを眺めながら直感で選ぶサプライズ体験が消えつつあった。また海外では回転すし自体の認知が十分でなく、将来的な海外展開に向けた回転すし自体の再認知と、「KURASUSHI」の浸透と差別化が課題だった。
日本で誕生して55年、回転すしは“日常使いの外食”として定着したが、その本質的な魅力である「レーンを介した偶然の出会い」や「視覚的に選ぶ楽しさ」は薄れつつあった。一方、世界に目を向ければ、回転すしという業態そのものが未体験である地域も多い。1970年万博が国内普及の契機となった歴史を踏まえ、2025年大阪・関西万博を、回転すしの価値を再提示し、世界へ拡張する第2の起点と位置付けた。
万博という舞台での挑戦―「世界を一つにするレーン」
くら寿司は万博を、回転すしの魅力を再拡張する舞台と捉え、2025年大阪・関西万博に史上最大規模の店舗を出店。すしと万博に参加する70カ国・地域の代表料理を一つの回転レーンでつなぎ、店舗のコンセプトである「回転ベルトは、世界を一つに」を具現化する体験を提示した。

70カ国・地域のメニューについては、商品開発部が実際に各国の料理を食べ歩き、ネット情報などを基に再現。さらに25カ国の大使館の協力を仰ぎ、実際に試食してもらい、メニューの変更や味、調理方法のアドバイスをもらうなどした。結果、文化的背景にも配慮した「大使館が認める味」として本格性を担保するとともに、各国大使館からの信頼を得ることにつながった。
店舗は338席、全長約135メートルの回転レーンを備えた史上最大規模とし、外壁や内装にはサステナブル素材を採用。「未来社会の実験場」という万博理念を体現する“最新の回転レストランモデル”を具現化した。さらに、各国大使館と連携した情報発信や大使のCM出演、それぞれの国の母国語での発信協力を通じ、単なるメニュー監修にとどまらない共創体制を構築した。

情報発信・期待醸成施策
万博開幕前の2024年9月より、随時情報発信を開始。各国大使も登壇する記者発表会やテレビCM、全国約550のくら寿司店舗を“ミニパビリオン化”し、開幕前に万博メニューを先行提供する「味の万国博覧会」を通じて、万博店と「そこでしか味わえないメニュー」への期待感を国内外で段階的に高めた。
2025年2月からは全国店舗でスタンプラリーや万博公式キャラクターとの連動企画を展開。くら寿司ファンのアーティストによる万博ライブ企画も発表し、万博協会と連携したエンターテインメント施策として話題を喚起した。段階的な情報解禁と参加型施策により、万博自体への関心醸成にも寄与した。
国内外での話題化と成果
その結果、開幕前後でテレビ・ソーシャルメディア・海外メディアで露出が拡大し、万博内飲食関連店舗で最多級の話題化を実現。
会期中も、ソーシャルメディア「X」では約8万件の関連投稿を記録し、万博内飲食店で最多の発話量となり来店30万人超を達成。米国・韓国・マレーシアをはじめとするメニュー提供国を中心に海外185メディアで報道され、トンガ国王、キューバ副首相など11カ国の政府関係者や、CNNを含む18カ国の報道機関が来店・取材を実施。万博会場内でも“最も予約が取れないレストラン”と称される存在となった。

サステナビリティとレガシー創出
閉幕以降も「世界の料理を楽しめる回転すし」として一部メニューを全国展開。万博で生まれた国際的ネットワークと信頼関係は、今後のグローバル展開に向けた確かな資産となっている。本プロジェクトは、回転レーンを通じて世界をつなぐという象徴的な体験を提示し、食を介したソフトパワーの可能性を実証した取り組みとなった。
審査委員 評価ポイント
出展に向けた70か国の料理の地道なリサーチ。25か国におよぶ大使館との連携。社内のメニュー開発部門から店舗スタッフとの議論。海外に開かれていく従業員の視野。
様々なステークホルダーとの双方向性コミュニケーションの積み重ねが結実した国際色豊かな新たな鮨の数々。
回転すしによる文化外交は、パブリックリレーションズそのもの。
受賞者コメント
大阪・関西万博という記念すべきタイミングで、回転すしならびにくら寿司様の本質的な魅力である、「お皿との予期せぬ出合い」を楽しく伝えられるプロジェクトとなりました。今後もくら寿司様のすてきな広報活動にご期待ください。
電通PRコンサルティング 碇山