ゴールド

事業主体:社団法人フィッシャーマン・ジャパン
エントリー会社:株式会社電通
応募部門:ソーシャル・コミュニケーション部門


新3Kを掲げる若き漁師集団、FISHERMAN JAPAN。次世代の担い手を増やすべく、若者と漁師の接点づくりが急務だった。海の上からのモーニングコールという意外な一手は、大きな話題を呼ぶとともに漁師のイメージまでも変えていった。

FISHERMAN CALLのイメージ画像
申し込みはWEBサイトで。個性豊かな漁師から選ぶこともできる
20年で半減。深刻な漁師不足

32.5万人が、16万人に。これは1993年と2016年の漁師人口の比較である。日本人の食文化が欧米化し魚をあまり食べなくなったこと、輸入量の増加、東日本大震災。要因は多々あるが、担い手不足は深刻な域に達している。

漁師の未来のため、立ち上がった若き漁師

宮城県石巻市に拠点を置くFISHERMAN JAPANは、漁業活性化のため立ち上がった漁師集団である。カッコよくて、稼げて、革新的。新3Kを合言葉に、次々と新プロジェクトをスタートさせていた。そうした流れの中で始まったのが、今回の「FISHERMAN CALL」。将来の担い手となる若者と漁師の接点を増やすための施策だ。企画の発端になったのは、漁師は朝に強く、若者は朝に弱いということ。いわば当たり前ともいえるインサイトだが、その分、幅広い若者に刺さるポテンシャルがあった。

PRにこそクリエーティブジャンプを

インサイトが当たり前な分、クリエーティブジャンプがなければ世の中には届かない。かといってジャンプしすぎても漁師という仕事の魅力が伝わらない。悩んだ末に閃いたのが「海の上からモーニングコール」である。インパクトもありつつ、若者と直接会話するきっかけになる。漁の合間なので、仕事の魅力もリアリティをもって語ることができる。

ユーザーを巻き込み、継続的なPRを実現

ローンチ後は、アナログなはずの漁師がモバイルサービスをつくったというユニークさでPR活動をスタート。第2段階として「なぜ漁師がモーニングコールを?」という背景ストーリーを積極的に打ち出し、意義のあるプロジェクトという空気を醸成した。第3段階では、申込時の熱意あふれる応募動機や漁師との電話でのやりとりなど、ユーザーの体験ストーリーをファクトとして活用。自分ゴト化しやすいエピソードは漁師への意識変容に大きく貢献してくれた。
結果として2016年には4人だった新規漁業就業者は、2017年度、11 人にまで増加した

文・(株)電通 藤田卓也


Voice from STAFF

(株)電通 コピーライター 藤田卓也

漁師のチャームポイントを探すこと。できれば、尊敬されるような。それが企画の始まりでした。辿り着いたのが「朝に強い」。普遍的な価値だから、表現は新しく。今、地方こそ面白い学びの宝庫。目から鱗が落ちるはずです。