知の実験劇場「ACADEMIC THEATER」 ついに開幕!(協会ニュース 2017年5月号より)

学校法人 近畿大学 総務部広報室 室長

加藤 公代

 

17.05_kindai_P-12017年4月6日、近畿大学の新エリア「ACADEMIC THEATER」(アカデミックシアター)がオープンしました。総工費500億円を投じた「超近大プロジェクト」の一環で、2014年の竣工から2年半、ようやく完成の運びとなりました。 「ACADEMIC THEATER」は5つの建物から構成された文理融合型実学教育拠点です。 具体的には ・留学、国際交流、外国語教育を一体的に  行うインターナショナルフィールド ・就職を支援するキャリアセンター、産学連携を推進するリエゾンセンター、卒業生の窓口である校友課、自治体との連携に取り組む社会連携推進センターの機能をひとつのフロアに集約したオープンキャリアフィールド ・女性専用室を完備した24時間利用可能な自習室を備えたナレッジフィールド ・世界のニュースにリアルタイムに触れられる学習型カフェ「CNN Café」を有するアメニティフィールド――で構成。 そして中核施設となる「BIBLIOTHEATER」(ビブリオシアター)は、編集工学研究所所長の松岡正剛氏に監修を依頼した独自の図書分類による新図書館です。約7万冊の書籍を所蔵し、うち2万2千冊はマンガというとてもユニークなものです。ネット上では「近大にマンガ喫茶誕生 学生が堕落する」などと批判されることもあり、真実が伝わっていない部分もありますのでここで詳しく紹介します。

この図書館は1階が「NOAH33(ノア33)」と名付けられた33のテーマからなる一般図書中心のスペース、2階が「DONDEN(ドンデン)」の名称で、マンガ、新書、文庫が並んでいます。 1階の「NOAH33」はNew Order of Academic Home という意味で、新旧硬軟織り交ぜた文理を越えた本との出会いができる場です。 2階の「DONDEN」。2万冊以上のマンガがありますが、何も学生に「マンガを楽しみましょう」と言っているのではなく、活字離れ、読書離れが進む世代にマンガからでも紙に触れ、文字に触れ、そこからその隣にある新書、文庫へと手を伸ばすことができるようなストーリーが組まれています。

17.05_kindai_P-2例えば、大和和紀作の名作歴史マンガ「あさきゆめみし」の隣に田辺聖子著「新源氏物語」の文庫があり、さらには小池清治著「源氏物語と枕草子」の新書があると言えば分かりやすいでしょうか。また、書棚にはそれぞれ「大見出し」が付いているのですが、この書棚は「文学をマンガする」。他にも職業や就活についての書棚の大見出しは「近大生のためのハローワーク」で、日本の中間管理職をリアルに描いた弘兼憲史作「課長島耕作」シリーズが並び、酒井穣著「ビジネスでいちばん大事な心理学の教養」などのビジネス書が並んで置かれています。 このように、マンガから文庫、新書へ知識の海を泳いで渡るように工夫されています。 フロアの名前が「DONDEN」なのは、知と遊びの枝葉を広げ、世の中の既成概念をひっくり返すようなひらめきや発見に向かう場所、という意味があります。いわば「知のドンデン返し」が起こる場所なのです。そこはまるで、これまで数々の大学における「固定概念」をぶっ壊してきた、近畿大学の心意気とリンクするスペースのように感じています。

17.05_kindai_P-3松岡氏の言葉を借りれば「本を読むということは、本に託された可能性と出会って、想像力の翼を広げていくことを意味する」とのこと。オープンから数週間が経ちましたが、連日2階のみならず、1階も多くの学生が集っています。学生それぞれが想像力の翼を広げ、悠久の船に乗ってきた英知と出会っているように、誰もがうれしそうに、また真剣に、そして楽しそうにこのシアターを活用しています。 「アカデミックシアター」とは「知の実験劇場」という意味もあります。未来を輝かせる壮大な実験ドラマは今、幕を開けたばかりです。見学は随時受け付けていますので、皆さまもぜひ一度お立ち寄りください。

ちなみに、あまり読書家ではない私。マンガも最近読んでなかったですが、小学生時代から全巻を制覇していた長編少女マンガ美内すずえ作「ガラスの仮面」があることを知り、いつかまた一巻から読み返してやろうと、仕事を終えた帰り道にDONDENをのぞく毎日です(笑)。

 

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